東京株式市場では半導体銘柄が取引の中心となるなか、個人投資家の間では9月30日を基準日とする株主優待・配当の権利取り、いわゆる「権利付き最終日」への関心が高まっています。
3月期決算の企業にとって9月末は中間期末にあたり、配当や株主優待の権利が発生する銘柄が数多く並ぶタイミングです。
そのなかで注目したい一つが、有料多チャンネル放送・配信サービスを主力とするWOWOW<4839>です。
同社は2026年9月30日時点で所有株式数100株以上、かつ1年以上継続保有する株主を対象に、視聴料の無料化などから選べる株主優待を実施しています。
ただ、同社の配当は期末配当のみで、中間配当はありません。優待の獲得には1年以上の継続保有が条件となることも併せて、9月に新たに株式を購入する株主は、この2点に注意してください。
ここでは、7月31日に発表された最新の四半期決算から同社の稼ぎ頭となっている事業をひも解いたうえで、株主優待の内容を詳しく解説していきます。
1. 最新決算からひも解く企業の強み
WOWOWが7月31日に発表した2027年3月期第1四半期(2026年4月〜6月期累計)決算では、売上高が176億4,400万円(前年同期比▲5.6%)、営業利益が9億2,100万円(同▲21.7%)、経常利益が13億6,700万円(同▲3.8%)、純利益が9億9,200万円(同▲0.5%)となりました。
売上高・営業利益・経常利益・純利益のいずれも前年同期を下回る減収減益の決算です。一方で、通期の会社予想(売上高745億円、営業利益7億5,000万円、経常利益10億円、純利益6億円)と比べると、第1四半期の3カ月間だけで営業利益は予想額の122.8%、経常利益は136.7%、純利益は165.3%にそれぞれ達しており、売上高の進捗率23.7%とは対照的に、利益面ではすでに通期予想を上回るペースとなっています。
もっとも、有料放送・配信事業ではスポーツ中継の放映権料や大型コンテンツの制作費が下期に偏って計上されるケースもあり、四半期ごとの利益は変動しやすい傾向があります。進捗率の高さだけで通期の上振れを見込むのではなく、今後の費用計上の動向や通期予想の修正有無を見極める必要があります。
1.1 売上高の9割超を稼ぐ「メディア・コンテンツ」事業とは
WOWOWの事業はセグメント別に「メディア・コンテンツ」と「テレマーケティング」の2つに分かれています。
2027年3月期第1四半期の外部顧客向け売上高は、メディア・コンテンツ事業が160億2,100万円(前年同期比▲4.9%)、テレマーケティング事業が16億2,200万円(同▲12.5%)で、連結売上高176億4,400万円のうちメディア・コンテンツ事業が9割超を占めています。
同事業の中核は、放送衛星(BS)を使ったデジタルフルハイビジョンの有料多チャンネル放送(2K3チャンネル)で、加入者から受け取る視聴料が主な収益源となっています。加えて、放送同時配信・ライブ配信・アーカイブ配信を行う「WOWOWオンデマンド」も同事業に含まれており、放送とネット配信の両輪で会員基盤を維持する事業モデルです。
セグメント利益でみても、メディア・コンテンツ事業は10億100万円(前年同期比▲9.1%)を稼ぎ出しました。一方のテレマーケティング事業は、連結子会社によるコールセンター運営や自社メディアの企画運営などを担う受託事業で、セグメント間の内部取引を含む売上高は23億6,000万円(同▲11.0%)まで減少し、セグメント損益は7,800万円の赤字に転落しました(前年同期は7,200万円の黒字)。
連結営業利益9億2,100万円のほぼ全てをメディア・コンテンツ事業が稼ぎ出し、テレマーケティング事業の赤字分を吸収する構図になっています。
2. 会員収入の動向がカギを握る事業構造
5月15日に発表した2026年3月期通期の決算では、会員収入が減少した一方でグループ会社を含めた事業収入が増加したことにより、売上高は771億2,400万円(前期比0.5%増)となったものの、営業利益は14億7,500万円(同▲27.6%)、経常利益は22億7,600万円(同▲24.1%)の減益でした。
純利益は12億9,600万円と前期比103.3%の増益となりましたが、これは4Kチャンネル「WOWOW4K」の放送サービス終了に伴う減損損失を計上していた前期(2025年3月期)の反動によるものです。
直近の第1四半期決算でも会員収入の伸び悩みがメディア・コンテンツ事業の減収要因になっており、放送衛星による有料放送とオンデマンド配信を合わせた加入者基盤の動向が、同社の業績を見るうえでの重要な指標になっています。