老後の生活を支える大切な収入源である「公的年金(国民年金・厚生年金)」は、毎月ではなく2カ月に1回支給され、次回は2026年8月14日に振り込まれます。

厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」では、公的年金・恩給だけで生活している高齢者世帯は41.3%となっており、多くの人にとって年金は暮らしを支える重要な柱となっています。

一方で、年金だけで十分な生活を送れるかどうかは、世帯ごとの状況によって異なります。

本記事では、2026年度(令和8年度)の年金額改定や直近の支給スケジュール、平均受給額、年金を受け取るための基本手続きについて解説します。

また後半では、2026年8月から日本年金機構より順次発送される「公金受取口座登録の意向確認書」の概要や注意点についてもまとめました。

年金制度は複雑に感じることもありますが、支給日や改定内容、手続きのポイントを知っておくだけでも、将来の資金計画は立てやすくなります。今回は、直近の支給日から新たに始まる手続きまで、知っておきたいポイントを確認していきましょう。

1. この記事の3つのポイント

  •  年金受給は自ら請求する「申請主義」が原則:本来の65歳から受給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選択すれば、1カ月遅らせるごとに0.7%(最大84%)の割合で年金が生涯増額されます。
  •  2026年8月から「公金受取口座登録の意向確認書」が順次発送される:同意すれば、現在年金を受け取っている口座を国の「公金受取口座」としてスムーズに登録・連携できます。
  •  新制度に便乗した特殊詐欺にだまされない対策を:公的機関がATMの操作を指示したり、電話で暗証番号を聞き出したりすることは絶対にありません。不審な勧誘には厳重に警戒しましょう。

2. 年金だけで老後は暮らせる?家計の実態から考える年金生活

老後の生活を考えるうえで、まず知っておきたいのが「年金はどのような役割を果たしているのか」という点です。

年金だけで生活している人はどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省の最新データから、その実態を見ていきます。

2.1 公的年金が家計収入のすべてという高齢者世帯は41.3%

厚生労働省が公表した「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のうち、公的年金・恩給が家計収入の100%を占める世帯は41.3%となっています。

一方で、残る約6割の世帯は、就労収入や事業収入、資産収入、貯蓄の取り崩しなどを組み合わせながら生活していることが分かります。

このデータから見えてくるのは、公的年金は老後生活を支える重要な柱ではあるものの、それだけで十分な生活を送れるかどうかは、世帯ごとの状況によって大きく異なるということです。

2.2 年金額を知ることが、老後準備の第一歩

年金は誰でも同じ金額を受け取れるわけではありません。

現役時代の働き方や加入していた年金制度、保険料の納付状況によって受給額は変わります。そのため、「自分はいくら受け取れるのか」を早いうちから把握しておくことが、老後資金を考える第一歩になります。

毎年届く「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用すれば、ご自身の加入状況や将来の年金見込額を確認できます。漠然とした不安を抱えるよりも、まずは数字を知ることが大切です。

2.3 「年金だけで暮らせるか」ではなく「どんな老後を送りたいか」を考える

親世代を見ていると、「年金だけで何とかやっている」という声を聞く一方で、「旅行に行くとき」や「家の修繕費が必要になったとき」は貯蓄を取り崩しているという話も少なくありません。

老後のお金を考える際は、「年金だけで生活できるか」という視点だけではなく、「趣味を楽しみたい」「旅行に行きたい」「住まいを維持したい」といった、ご自身がどのような老後を送りたいのかまで考えておくことが大切です。

その理想と年金見込額との差を知ることが、資産形成や家計管理を始めるきっかけになります。そして、その差を早く知るほど、備えられる選択肢も広がっていくでしょう。

では年金の支給について、具体的にみていきましょう。

3. 2026年度の年金額改定で何が変わる?支給スケジュールも確認

公的年金は毎年度見直しが行われますが、2026年度(令和8年度)は物価や賃金の上昇を反映し、国民年金は前年度比1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げとなりました。

2026年度の受給額の目安は、次のとおりです。

  • 国民年金(満額):月額70608円(前年度比+1300円)
  • 厚生年金(標準的な夫婦2人分):月額23万7279円(前年度比+4495円)

今回で4年連続のプラス改定となりましたが、物価上昇率(3.2%)には及んでおらず、実質的な購買力は低下しています。そのため、これまで以上に計画的な家計管理や資産形成を意識することが大切です。

年金は原則として偶数月の15日に、前2カ月分がまとめて後払いで支給されます。

なお、15日が土日・祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。2026年後半の支給スケジュールは以下のとおりです。

【2026年度】年金支給日カレンダー

出所:日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」などをもとに筆者作成

  • 2026年 8月14日(金):2026年6月・7月分
  • 2026年10月15日(木):2026年8月・9月分
  • 2026年12月15日(火):2026年10月・11月分

次回の振り込みは8月14日(金)です。

6月支給分から新しい年金額が反映されているため、次回の入金時には金額に変更がないか、ご自身の受給額を改めて確認しておくと安心でしょう。

4. 平均受給額はいくら?「ねんきん定期便」で将来の年金額を確認しよう

日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっており、現役時代の働き方や収入、加入期間によって受給額には大きな差が生じます。

4.1 厚生年金・国民年金の平均はいくら?

令和6年度(2024年度)時点の平均受給月額は以下の通りです(厚生年金は第1号被保険者のデータ※注)。

厚生年金(※国民年金部分を含む)

厚生年金

厚生年金《平均月額の男女差・個人差に着目》

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 男女全体:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

(※注)厚生年金の被保険者は第1号から第4号まで区分されています。今回紹介している「第1号」は民間企業の会社員などを指し、「第2号」は国家公務員、「第3号」は地方公務員、「第4号」は私立学校教職員と分類されています。

国民年金

  • 男女全体:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

厚生年金は、現役時代の収入や加入期間が受給額に反映されるため、出産や育児などで離職・短時間勤務を経験する人が多い女性は、男性と比べて約6万円の差が生じています。

一方、国民年金は男女差こそ小さいものの、平均受給額は約5.9万円にとどまっており、保険料の未納期間や免除期間などの影響で、満額受給に至っていない人が少なくないことが分かります。

将来受け取れる年金額を把握するためには、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を積極的に活用しましょう。

なお、今のシニア世代の「受給額分布」や「60歳代~90歳以上の各年齢の平均額」などの実際の受給額事情については、『【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金』で詳しく解説しています。

5. 監修者からのコメント

熊谷 良子

毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」は、50歳を境に記載される年金額の基準が変わります。

50歳未満の場合は「これまでの実績」をもとにした金額が記載されます。今後の納付分が含まれていないため少なめに表示されますが、今後も払い続ければ実際の受給額は増えていきます。

一方、50歳以上になると、今の状況のまま「60歳まで納め続けたと仮定した見込額」が表示されるようになります。より現実に近い金額がわかるため、老後の生活設計に役立てやすくなります。

また「ねんきんネット」を使えば、スマホやパソコンからいつでも最新の加入記録や年金見込額をチェックできます。早いうちから将来もらえる年金の目安を把握して、老後の資金づくりに活かしていきましょう。