6. 【元証券マンからのアドバイス】50歳代からのNISA活用で押さえておきたいこと

筆者はこれまで、50歳代のお客様から「今から始めても遅くないか」というご相談を数多く受けてきました。

記事冒頭で確認したとおり、実際にはNISA口座数がもっとも多いのは50歳代であり、「遅い」と感じて始めない選択の方が、むしろもったいないというのが実感です。

とはいえ、50歳代からの資産形成には、20歳代・30歳代とは異なる注意点もあります。現場での経験と、現在も個人投資家として運用を続けている実感を踏まえ、3点に整理してご紹介します。

「取れるリスク」の大きさが、現役世代とは違うことを理解する

50歳代は、定年までの運用期間が15年前後と限られています。20歳代・30歳代であれば、一時的に大きく値下がりしても、時間をかけて回復を待つ余裕がありますが、50歳代ではその余裕が小さくなります。

本記事で確認した利回り3%〜7%というシミュレーションも、あくまで一つの前提にすぎません。年齢が上がるほど、値動きの大きい商品に資産を集中させすぎないよう、意識することをおすすめします。

つみたて投資枠と成長投資枠、それぞれの役割を分けて考える

新NISAでは2つの枠を併用できます。

生活の土台となる資産はつみたて投資枠で堅実に積み立て、余裕資金の範囲で成長投資枠を活用するなど、役割を分けて考えると、リスクとリターンのバランスが取りやすくなります。

65歳で「積立をやめる」ではなく「取り崩し方を決める」準備をしておく

65歳まで積み立てた資産は、そこで運用が終わりというわけではありません。

老後の家計を安定させるには、準備した資産をどのペースで取り崩していくかも同じくらい重要です。

筆者自身も、50歳代のお客様には、積立を始める段階から「65歳になったら、どのように使っていくか」まで、あらかじめイメージしておくことをお伝えしていました。

50歳代は、資産形成に使える時間が限られる一方で、まだ十分に非課税制度を活用できる年代です。

「もう遅い」と考えるのではなく、残された時間のなかでできる範囲の積立を、できるだけ早く始めることが、老後資金づくりの現実的な一歩になります。

7. まとめ

金融庁の調査によると、NISA口座数がもっとも多い年代は50歳代です。老後資金への備えが気になり始めるこの世代にとって、新NISAの非課税メリットをどう活用するかは、決して他人事ではないテーマといえます。

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用でき、運用益が非課税になることに加え、非課税保有期間の無期限化や、非課税枠の再利用といった特徴があります。

50歳から65歳までの15年間でも、積立額や運用利回りによっては数百万円から1000万円超の資産形成を目指すことができ、限られた時間のなかでも準備を進める余地は十分にあります。

一方で、大切なのは「積み立てて終わり」ではないことです。準備した資産をどのように使っていくかまで含めて、早い段階からイメージしておくことが、老後の家計の安定につながります。

「もう遅い」と考えるのではなく、まずは無理のない金額から、できるだけ早く積立を始めてみてはいかがでしょうか。

中本 智恵
銀行の窓口でも、50歳代のお客様から資産形成のご相談を受ける機会は多くありました。年齢を重ねるほど「もう遅いのでは」と感じやすいものですが、非課税制度をどう使うかは、始めるタイミングよりも続け方が重要です。つみたて投資枠を土台にしながら、ご自身のリスク許容度に合わせて成長投資枠を組み合わせ、65歳以降の取り崩し方まで見据えて準備を進めていただければと思います。

参考資料

加藤 聖人