3. 退職後の老後生活の毎月の「収入」と「支出」を計算しよう
50歳代のおひとりさまは、あと10年ほどで年金を受け取る側にまわる世代です。現役のうちに貯めることに加えて、貯めたお金をどう使っていくか、取り崩しの視点も今から少しずつ持っておきたいところです。金融機関に勤めていた立場から、準備のポイントを整理します。
まず「退職後の生活費」として、毎月の「収入」と「支出」の見当をつけます。ねんきん定期便やねんきんネットで自分の年金見込み額を確認し、いまの生活費と照らし合わせて、毎月どれくらい不足しそうかをつかみます。ひとり世帯は、この不足を自分の貯蓄だけで補うことになります。
次にその不足額をもとに、老後資金が何年もちそうかをおおまかに計算します。たとえば毎月の不足が3万円なら、1年で36万円、20年で720万円ほどを貯蓄から取り崩すことになります。
その上で、当面使わないお金があれば、新NISAなどの制度で運用を続け、物価の上昇に備える選択肢もあります。ただし投資には元本割れのリスクがあり、金融商品や投資方法などによってリスクが異なるため、生活防衛資金を預貯金で確保したうえで、無理のない範囲で考えることが基本です。退職金がある場合は、その使い方も含めて早めに方針を決めておくと安心です。
今の貯蓄ペースや退職金があっても足りなそうであれば、それに対して「今から貯蓄をどう備えていくか」を考えることになります。これに関しても、たとえば老後を65歳からと定め、「65歳までに〇万円貯めるには毎月〇万円貯める必要がある」「もし運用を取り入れて〇%で運用できれば、〇万円になる」などのシミュレーションをしてみましょう。
このように必要額を具体的な数字にすると、老後の生活がイメージできたり、いま何を準備すべきかが見えたりしてくるでしょう。
なお、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によれば、65歳以上単身無職世帯のひと月の家計収支は実収入13万1456円、支出16万1435円であり、ひと月の赤字は2万9980円が平均です。
4. 老後の生活費を計算してマネーやライフプランの計画を
ひとりの老後は、収入も支出も自分次第で見通しを立てやすいのが利点ではあります。より老後を具体的にイメージするためにも、まずは老後の生活費を試算してみましょう。
その上で具体的な貯蓄計画を立て、それによりマネープランやキャリアプラン、ライフプランを考えるといいでしょう。
最近では長く働く高齢者も増えています。働く時間や職種、働く場所も昔に比べれば多様化しました。年齢を重ねてできる仕事について情報取集してみるのもいいでしょう。また新NISA制度のように、生涯使える非課税制度もあります。リスクはあれど、「お金に働いてもらう」資産運用は心強いもの。お金を稼ぐ、増やす選択肢は複数もっておきたいものです。
定年までの時間は老後の準備にあてられる貴重な期間ですから、これを機に考えてみてくださいね。
参考資料
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」
- 厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
宮野 茉莉子