3. 雲行きが怪しいAmazonと、危険シグナルが点灯するOracle

Alphabet、Microsoft、Metaの3社が余裕を持って投資を続ける一方で、残りの2社には異なる景色が広がっています。

3.1 Amazon:AWS拡張の宿命と急縮小するFCF

Amazonも本業の営業キャッシュフローは右肩上がりで伸びており、一見すると絶好調です。しかし、設備投資の規模が他社を圧倒しています。

「アマゾンのキャペックスは150ビリオンを超えてる。だから設備投資は、これまで見た3社のどこよりもしてる」

年換算(TTM)で1,500億ドル(約24兆円)を超える巨額の設備投資を行った結果、フリーキャッシュフローは急縮小し、直近ではマイナスに転落してしまいました。

Amazonのキャッシュフロー分解(FCF=塗り面/Capex=棒/OCF=黒線)2/3

Amazonのキャッシュフロー分解(FCF=塗り面/Capex=棒/OCF=黒線)

出所:SEC EDGAR XBRL(companyfacts)を基にイズミダイズム作成

なぜAmazonはこれほどまでに投資がかさむのでしょうか。「AWS(Amazon Web Services)の拡大性を担保するためのコストが上がっているのでは」という疑問が投げかけられると、泉田氏は次のように分析します。

「逆にこの設備投資の競争に乗らないと自分たちのポジショニングがどんどんどんどん薄まっちゃうから。かたや周りはAIを活用したデータセンターじゃない。この人たちはデータを預かるデータセンターだったから、ちょっと種類が違うんだよね」

Amazonはクラウド市場のトップランナーとして、既存のデータセンター網を維持・拡大しながら、さらにAI対応の新たな設備投資競争にも追随しなければならないという「受け身」の立場にあると指摘します。

ただし、Amazonは過去にも物流網の構築などで巨額の先行投資を行い、2022年前後にもフリーキャッシュフローが赤字になった時期がありました。そのため、これが将来の成長を見据えた「意思ある赤字」である可能性も十分にあります。

3.2 Oracle:急激な投資拡大による赤字転落

さらに厳しい状況にあるのがOracleです。Oracleの営業キャッシュフローは緩やかな伸びにとどまっているにもかかわらず、2025年に入ってから設備投資が急激に増加しています。

その結果、フリーキャッシュフローは明確に赤字へと転落しました。

Oracleのキャッシュフロー分解(FCF=塗り面/Capex=棒/OCF=黒線)3/3

Oracleのキャッシュフロー分解(FCF=塗り面/Capex=棒/OCF=黒線)

出所:SEC EDGAR XBRL(companyfacts)を基にイズミダイズム作成

「こういう投資の仕方はちょっとやっぱり危険な香りはしますね」

他のハイパースケーラーに遅れをとるまいと、手元の現金を切り崩して無理に投資競争に食らいついているような状況であり、財務的なリスクが高まっていると言わざるを得ません。