8月14日は、2カ月に一度の年金支給日です。

2026年度の年金額例では、標準的な夫婦世帯に支給される2カ月分の年金は約47万5000円となりますが、この金額は全ての夫婦が受け取れる平均額ではありません。

また、2026年8月からは、年金受給者の一部を対象に、公金受取口座の登録意向を確認する「意向確認書」の発送も始まっており、あわせて注目を集めています。

筒井 亮鳳
「支給日にまとまった金額を受け取る=余裕がある」と誤解されるケースは少なくありません。2カ月分という支給サイクルも含めて、実態を正しく押さえておきましょう。

公的年金は、全員が加入する国民年金と、会社員や公務員などが上乗せして加入する厚生年金の「2階建て」で構成されており、加入期間や現役時代の収入によって実際の受給額は異なります。

本記事では、2026年度の年金額やモデル夫婦の条件、実際の平均受給額を詳しく見ていきます。

記事後半では、「まとまった資金があり運用方法に迷う」という、会社員の方に多い悩みに現役FAがアドバイスをお送りします。

※本記事は、一部のデータを『【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説』から引用しています。

1. この記事の3つのポイント

  •  「意向確認書」は45日以内に返送がなければ自動で「同意」扱いに。便乗詐欺にも要注意
  •  2026年度、標準的な夫婦世帯が8月の支給日に受け取る年金額は2カ月分で約47万5000円
  •  厚生年金の平均月額は男性約17万円・女性約11万円、国民年金は男女とも6万円前後

2. 年金受給者に届く「意向確認書」、8月からの対象と注意点

年金振込口座を公金受取口座として登録するかどうかを確認する「意向確認書」が、2026年8月から日本年金機構より順次発送されます。

送付対象となるのは、2026年4月15日時点で65歳以上(1961年4月16日以前生まれ)の年金受給者です。ただし、すでに公金受取口座を登録済みの方や、国外に居住している方など、一定の要件に該当する場合は送付されません。

2.1 手続きは「同意」か「不同意」かで異なる

登録を希望する場合(同意)は特に手続きは不要で、そのままにしておくと年金振込口座の情報が自動的にデジタル庁へ提供されます。登録を希望しない場合(不同意)は、意向確認書の下部にある「公金受取口座登録不同意申出書」を切り離し、返送期限までに返送する必要があります。

2.2 押さえておきたい3つの注意点

「45日」を過ぎると自動的に同意扱いになる

意向確認書を受け取ってから45日以内に不同意申出書の返送がない場合、登録に「同意」したものとみなされ、自動的に公金受取口座として登録されます。

不在等で受け取れなかった場合は登録されない

不在等により書類自体を受け取れなかった場合は「意向確認ができなかった」ものとして扱われ、口座が勝手に登録されることはありません。

不同意申出書を紛失した場合は「専用ダイヤル」へ

不同意申出書は再発行できません。ただし、任意の様式で提出できる場合があるため、紛失した際は速やかに「意向確認書照会専用フリーダイヤル」へ相談しましょう。

2.3 発送スケジュールと相談窓口

意向確認書は、2026年8月から2027年2月(予定)にかけて順次発送されます。手続きに関する問い合わせ窓口として、2026年8月4日から「意向確認書照会専用フリーダイヤル」が開設されます。

  • 意向確認書照会専用フリーダイヤル:0120-74-0011
    ※フリーダイヤルが利用できない場合は 050-3524-7372
  • マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178

市区町村の窓口や年金事務所の窓口ではこの件に関する対応を行っていません。確認や相談は、必ず上記の専用フリーダイヤルへ行いましょう。

出所:【年金】8月から送付開始「意向確認書」の簡易書留《届く人・届かない人》の条件とは?公金受取口座の登録手続きと注意点を解説

3. 国民年金・厚生年金はいくら受け取れるのか

公的年金は、原則として「偶数月の15日(※)」に支給されます。

したがって、次回の支給日となる8月14日(金曜日)には、「6月分・7月分」の2カ月分がまとめて振り込まれます。

厚生労働省が公表した2026年度の年金額例を確認してみましょう。

※15日が土日祝日の場合、直前の平日に前倒しされます。

  • 国民年金(老齢基礎年金):7万608円(1人分※1
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円
※2 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準

厚生年金のモデル世帯における夫婦の年金額は、月額23万7279円です。

この金額には「1人分の老齢厚生年金」と「2人分の老齢基礎年金」が含まれています。

実際の支給時には2カ月分がまとめて支払われるため、この夫婦世帯が8月14日に受け取る年金額は、合計47万4558円です。

では、年金支給日に「約47万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」とは、どのような世帯を指しているのでしょうか。

4. 年金支給日に「約47万5000円」を受け取る夫婦の条件をおさらい

厚生労働省は、年金支給日に「約47万5000円」を受け取る「標準的な夫婦」について次のように定義しています。

男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45.5 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

引用:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします ~年金額は前年度から国民年金(基礎年金)が 1.9%の引上げ 厚生年金(報酬比例部分)が 2.0%の引上げです~」

このモデル額には、夫の老齢厚生年金と夫婦2人分の満額の老齢基礎年金が含まれており、妻自身の老齢厚生年金は含まれていません。

こうした夫婦の年金額は合計で月額23万7279円となり、支給日には2カ月分が一括で支払われます。

ただし、老齢年金からは、住民税や介護保険料などの税金・社会保険料が特別徴収されることも少なくありません。

差し引かれる項目や実際の振込額については、6月に送られる「年金振込通知書」などで確認できます。

1回の支給額が「約47万5000円」と聞くと多く感じるかもしれませんが、1人あたりの月額に直せば、必ずしも余裕がある金額とはいえないでしょう。

また、現役時代の給与とは違い、年金は2カ月に一度受け取る定期収入であり収入が入る間隔が変わるため、家計を管理するサイクルにも注意が必要です。

筒井 亮鳳
年金は毎月ではなく2カ月に一度の支給である点も、家計管理を難しくする要因の一つです。月々の支出と支給サイクルがずれないよう、あらかじめ資金の配分を計画しておくことをおすすめします。

5. 実際の年金受給額をデータで確認

ここからは、厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、受給者が実際に受け取っている年金額をグラフとともに確認します。

受給額の個人差や、男女による平均年金月額の違いにも注目してみましょう。

5.1 「厚生年金」の平均年金月額はどのくらい?

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数3/4

厚生年金:年金月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金部分を含む

5.2 「国民年金(老齢基礎年金)」の平均年金月額はどのくらい?

国民年金:年金月額階級別の受給権者数4/4

国民年金:年金月額階級別の受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

国民年金部分を含む厚生年金の平均月額は、男性が約17万円、女性が約11万円です。

国民年金では、男女ともに平均月額が6万円前後となっています。

公的年金は2カ月分が一度に支給されるため、振込額だけを見ると多く感じる場合もあるでしょう。

しかし、1カ月分に換算すると、年金収入のみで生活をまかなえる世帯が多数を占めるとは限りません。

また、これらの金額は受給権者全体の平均値であり、グラフからも分かるように、実際の受給額には大きな個人差があります。

夫婦それぞれが将来受け取れる年金の見込み額は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用して確認しておきましょう。

筒井 亮鳳
平均月額だけを見て一喜一憂するのではなく、ご自身の加入記録に基づいた見込み額を確認することが何より大切です。相談の現場でも、実際の数字を見て初めて具体的な対策を考え始める方が多い印象です。

6. モデル年金・平均受給額だけでなく、自分の年金見込み額を確認しておこう

本記事では、2026年度の公的年金額と、年金支給日に約47万5000円を受け取る標準的な夫婦世帯の条件について解説しました。

約47万5000円という金額は、夫が平均標準報酬45万5000円で40年間働き、妻が国民年金のみを受給するケースを想定した2カ月分・2人分の年金額です。

実際の受給額は、国民年金の納付期間や厚生年金の加入期間、現役時代の収入などによって異なります。

平均受給額だけで老後の家計を判断せず、夫婦それぞれの見込み額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておきましょう。