そう考えると、夫婦がお互いのよき理解者であるにこしたことはありませんが、それは長い夫婦生活で必須項目ではない、と筆者は思います。

筆者の友人で、自他共に認める仲良し夫婦がいます。先日、その夫婦の奥さんと喋っていると、彼女がふとこんなことをもらしました。
「私ね、夫のことがまったく理解できないの。だから、一緒にいて面白いの」なるほど、そんな考え方もあるのか…とうなずく筆者。

長い人生を共に過ごすのに、相手が自分と同じ価値観や考え方を持っている方が確かに楽。でも、残念ながらそんなケースはまれで、「なんでわかってくれないの」と思ってしまうパターンに陥る方が圧倒的に多いはずです。

そんなときには少し視点を変えて、「じゃあこう伝えればわかってくれるかな」「どうすれば相手のことを理解できるかな」と考えることが、夫婦円満の秘訣なのかもしれません。もしくは、「へぇそんな風に思うんだ、面白いな」なんて思える心の余裕が持てたなら…最高ですよね。

夫婦はしょせん他人

まったく別の環境で育ったふたりが協力して、新たな家庭を築くにあたり、衝突が生まれるのは必至。しかい、互いに衝突したときに、「こうされるのはイヤ」「こういう言い方をしてほしい」とお互いの気持ちを話し合うことこそが大切なのではないでしょうか。夫婦が「何も言わなくてもわかる」域に達するまで、長い時間を要するもの。

それはいつか?…もしかしたら、どちらかの人生が終わったときに「あぁ、なんやかんやであの人は私のことをわかってくれていたな」と、初めて実感するのかもしれません。

大中 千景