株価が下落すると、質への逃避ということで、格付けの高い国債をリスクヘッジとして買うのが従来の国際分散投資のセオリーでした。
ところが、ここ10年は各国の金利が下がりっぱなしで、米国でさえ長期金利が1%台となっています。つまり、何らかのリスクイベントが起こってリスクヘッジしようとしても、リターンが低すぎる債券はもう買えない状況です。では、どうやって株価下落リスクをヘッジすればいいのでしょう。
最近、金が注目されている
ここ最近、メディアでもよく報道されていますが金価格が上昇しています。その背景には株価下落によるリスクヘッジを金で行っている運用会社や投資家が増えてきているとの観測があります。
図表1からわかるように、確かに金価格は最近の底値から回復してきています。かつ、2019年に入って株価が乱高下する状況では、金が退避資金の受け皿として利用されてもおかしくありません。一部の機関投資家やヘッジファンドが資産の一部を金に運用したとしても、むべなるかなです。
こうした背景もあり、日本でも金に対する関心がじわじわ高まっているようで、お昼のワイドショーなどで金の相場動向を専門家が語ったりしています。
では、本当のところ金は儲かるのでしょうか。
まず、金取引の特徴を見ていきましょう。
- 金は現物資産(モノ)です
- 金利や配当は付きません(有価証券ではありません)
- 金価格は米ドル建てで取引されています(日本で買う場合は円建てですが、米ドル/円の為替レートによって円建て金価格が変動します)
- 現物ですので、業者に保管を頼むか、貸し金庫や自宅で保管することになります(保管料がかかるが、自宅に置くのは危険)
- 小口だと売買の際、手数料がかかる(1%〜3%、投資信託のような信託報酬はない)
- 売却時の譲渡益があった場合は譲渡所得(50万円を限度とする特別控除額あり)となり、給与所得等と総合課税となる
今では、さまざまな金取引業者がスポット買い(不定期にまとまった金額の金を買う)や積立購入(毎月3000円程度から)を提供して、インターネットでの取引も可能になっています。色々な条件は付いてくるものの、金は身近な投資対象になりつつあると言えるでしょう。