株式会社マイナビが2026年6月24日に発表した「シニアのアルバイトに関するライフエンゲージメント調査」によると、60〜70代のアルバイト就業者のうち「働かなくてもいい状況であっても働きたい」と考えるシニアは、年齢とともに増加傾向にあることが分かりました。

働く目的としては「生活費」のみならず、「健康維持」や「社会とのつながり(孤独感の解消)」を挙げる声が多く、実際に約6割のシニアが「アルバイトによって生活の質が向上している」と実感しています。

このように、経済面だけでなく生きがいや健康のために働く意欲の高いシニア世代にとって、長く安心して働き続けるためには、年金に加えて「公的な支援制度」を正しく把握しておくことが非常に重要です。

実は、老齢年金以外にも、自分から申請しなければ受け取れないお金が数多く存在します。

この記事では、働き続けるシニアを支える「雇用保険からの給付金」3種類と、年金に上乗せされる「給付金・年金」2種類の、合計5つの公的給付について詳しく解説します。ご自身やご家族が対象になっていないか、この機会にぜひ確認してみましょう。

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1. 働き続けるシニア必見!「雇用保険」でもらえる3つの給付金

ここでは、働く意欲のあるシニア世代をサポートするために、雇用保険から支給される3種類の給付金を紹介します。

1.1 65歳未満】早期の再就職でお祝い金がもらえる「再就職手当」

再就職手当とは、失業された方が一日でも早く安定した仕事に就けるよう支援するための制度です。失業期間が短いほど、手厚い手当を受け取れる仕組みになっています。

再就職手当を受け取るための条件

  • 対象者:雇用保険の受給資格者で、基本手当の受給資格を持つ方
  • 支給要件:基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある方が、雇用保険の被保険者として再就職するか、事業主として被保険者を雇用する場合など、定められた要件を満たした際に支給されます。

再就職手当の給付率は?

  • 手当の額:就職日の前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数に応じて、給付率が変わります(1円未満は切り捨て)。
    • 所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合:「支給残日数の60%」
    • 所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合:「支給残日数の70%」

再就職手当の計算方法について

なお、再就職手当を受給し、新しい勤務先で6カ月以上雇用され、その間の賃金が離職前の賃金を下回る場合には、「就業促進定着手当」の対象となる可能性があります。

1.2 【60歳代前半向け】給与ダウンをカバーする「高年齢雇用継続給付」

高年齢雇用継続給付は、60歳以上65歳未満で働き続ける方を対象とした給付金制度です。60歳時点の賃金と比較して、現在の賃金が一定の割合まで低下した場合に支給されます。

高年齢雇用継続給付の支給対象となる条件

  • 対象者:雇用保険の被保険者期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の雇用保険被保険者
  • 支給条件:賃金が60歳到達時の75%未満の状態で働き続ける場合

高年齢雇用継続給付の支給額はどのくらい?

  • 支給額:最高で賃金額の10%(※)に相当する額
    ※2025年3月31日以前に高年齢雇用継続給付の支給要件を満たした方は15%

【2025年4月1日以降】高年齢雇用継続給付の支給率早見表

老齢年金を受け取りながら厚生年金に加入し、「高年齢雇用継続給付」を受給する場合、在職による年金の支給停止に加えて、最大で標準報酬月額の4%(※)相当額が支給停止となるため注意が必要です。
※2025年3月31日以前に支給要件を満たした方は6%

1.3 【65歳以上】退職時に一時金が受け取れる「高年齢求職者給付金」

高年齢求職者給付金とは、65歳以上の雇用保険加入者が仕事を辞めた場合に、一時金として受け取れる給付金のことです。

高年齢求職者給付金を受け取るための条件

  • 対象者:高年齢被保険者(65歳以上の雇用保険加入者)で失業状態にある方
  • 支給要件:以下のすべての条件を満たす必要があります。
    1. 離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上あること
    2. 失業の状態にあること(就職への積極的な意思と能力があり、求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態)

高年齢求職者給付金の支給額について

  • 支給額
    • 被保険者であった期間が1年未満の場合:基本手当の30日分に相当する額
    • 被保険者であった期間が1年以上の場合:基本手当の50日分に相当する額

65歳未満の方が受け取る「失業手当」が4週間に一度の失業認定を経て支給されるのに対し、高年齢求職者給付金は一括で支給される点が大きな特徴です。

2. 老齢年金に上乗せ!知っておきたい「給付金・家族手当」2種類

シニアの生活に深く関わる公的年金には、基本となる老齢年金を補完する制度がいくつか用意されています。

ここでは、老齢年金を受給している方が特定の要件を満たすことで、年金に上乗せして受け取れる2種類の給付について解説します。

2.1  所得が一定基準以下のシニアを支援「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受け取っていて、なおかつ所得が一定基準以下の方を対象とする給付制度です。老齢・障害・遺族の各基礎年金に対応した給付金があります。

今回は、特にシニアの生活と関わりの深い「老齢年金生活者支援給付金」について詳しく見ていきましょう。

老齢年金生活者支援給付金の対象となる条件

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下(※2)であること

※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれで合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

老齢年金生活者支援給付金の基準額と計算方法

2025年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は、月額5620円(前年度から170円増)です。

ただし、これはあくまで基準額であり、実際の支給額は保険料の納付状況に応じて計算されます。

2.2 年間約40万円上乗せも?年金の家族手当「加給年金」

「加給年金」は、「年金の家族手当」とも呼ばれることがある制度です。

老齢厚生年金を受給している方が、年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、一定の要件を満たすと年金額に上乗せして支給されます。

加給年金が支給されるための条件

  • 厚生年金の加入期間が20年(※)以上ある方:65歳到達時点(または定額部分の支給開始年齢に達した時点)
  • 65歳到達後などに被保険者期間が20年(※)以上となった方:在職定時改定時や退職改定時(または70歳到達時)

※共済組合などの加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が、40歳(女性や坑内員・船員は35歳)以降に15年から19年ある場合も含まれます。

上記のいずれかの時点で、「65歳未満の配偶者」または「18歳に達する年度の末日までの子ども、もしくは1級・2級の障害がある20歳未満の子ども」がいる場合に、年金に加算されます。

ただし、配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金や退職共済年金を受け取る権利がある場合、または障害年金などを受給している場合は、配偶者加給年金は支給されません。

加給年金の支給額はいくら?

加給年金の支給額5/5

加給年金の加給年金額

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

2025年度における「加給年金」の年金額は以下の通りです。

  • 配偶者:24万3800円
  • 子ども(1人目・2人目):各24万3800円
  • 子ども(3人目以降):各8万1300円

さらに、老齢厚生年金受給者の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万6000円から17万9900円の特別加算が上乗せされます。

加給年金は、対象の配偶者が65歳になると支給が終了しますが、その配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の条件を満たせば「振替加算」として配偶者自身の年金に加算されることがあります。

3. 【まとめ】もらい忘れに注意!公的給付を賢く活用して豊かな老後を

冒頭のマイナビの調査が示すように、「健康維持」や「社会とのつながり」を目的に働き続けたいと考えるシニア層は増加傾向にあります。

さらに、2025年成立の年金制度改正法により、在職老齢年金の支給停止基準額が月65万円へ大幅に引き上げられるなど、シニア世代が年金を減らされずに働きやすい環境も整いつつあります。

「老後のお金」といえば貯蓄や資産運用に意識が向きがちですが、長く働くキャリアプランとともに、今回紹介した「申請すればもらえる公的給付」をしっかり把握・活用することも重要です。

制度を賢く利用して経済的な安心感を得ながら、社会参加を通じた豊かなシニアライフを実現していきましょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料