一年の折り返し地点間近の6月下旬、周りの人は「どれくらい貯蓄があるのか」つい気になる方もいるかもしれません。国税庁の調査(確定申告者が対象)をもとに、日本の累進課税による納税の現状や、一般世帯における貯蓄の平均値と中央値の違いについて解説します。
周囲の数字に惑わされず、自身の将来を守るために今からできる具体的な資産形成の第一歩について一緒に考えていきましょう。
1. 【所得税の負担構造】2割の確定申告者が所得税の88.5%を負担
「隣の芝生は青い?」という言葉通り、他人の懐事情は気になるものです。国税庁の「申告所得税標本調査(令和6年分調査)」によると、日本の申告納税者(確定申告を行った人)のうち所得が1000万円を超える層は全体の20.2%です。
そして、彼らの納税額は全体の88.5%を占めています。日本は所得が高くなるほど税率が上がる「累進課税制度」を採用しているため、このような結果となっています。それぞれの層が所得に応じた形で税制を支え合っているのが現状です。
1.1 《所得階級別の比較》
所得「200万円以下」の層は全体の10.5%を占め、負担税額の割合は0.2%となっています。このデータからは、所得に応じた税率が適用される仕組みと、それぞれの層が所得に応じて社会を支えている構造が具体的にみることができます。
2. 【隣の芝生は青い?】金融資産1億円以上「新富裕層」が増える《年収3000万円の壁》
博報堂富裕層マーケティングラボの「新富裕層調査2025」によると、世帯年収3000万円以上を境に、金融資産1億円以上の「資産富裕層」へ変化する割合が51.6%と過半数を超えます。「会社経営者・役員」の比率も約2割(18.0%)に急増します。
彼らは年収に比例して「タイパ志向」や「健康志向」が高まるだけでなく、年収3000万円超で「家事の外注志向」や、背景を重視する「ストーリー消費志向」が際立ちます。効率と精神的豊かさを両立させるのが特徴です。
3. 【二人以上世帯】平均貯蓄「2059万円」より実態に近いのは中央値「1264万円」
ここまでは少し遠い世界の話のように感じる方もいたかもしれませんが、ここからはより身近な暮らしに視点を移してみましょう。総務省の「家計調査報告(家計収支編2025年平均結果の概要)」によると、二人以上世帯の消費支出は月平均31万4001円(実質0.9%増)の一方、単身世帯は実質1.5%減と生活防衛の姿勢が見えます。
3.1 平均貯蓄額「2059万円」過去最高
一方、貯蓄面では、二人以上世帯の平均値が2059万円と過去最高な一方、実態に近い「中央値」は1264万円。約3分の2(66.1%)が平均以下であり、一部の高額貯蓄層が平均を押し上げる傾向にあります。
つまり、ニュースなどでよく目にする「平均2000万円」という高い数字に焦る必要はなく、より現実的な中央値の1264万円を基準に自分の足元を見つめ直すことが大切です。周囲のデータに振り回されることなく、ご自身の暮らしを守るための生活防衛や将来への備えを、まずはできるところからマイペースに始めていきませんか。
4. まとめにかえて
今回は、国税庁や総務省などの調査結果をもとに、確定申告者の納税データや一般家計の貯蓄動向について解説しました。データの通り、一部の資産が多い層が平均値を押し上げる傾向があるのが統計上の現状です。「周りはみんな2000万円も貯めているんだ」と焦る必要はありません。大事なのは、平均値ではなくより実態に近い中央値の1264万円を参考に、ご自身の足元を見つめ直すことです。
他人の数字を気にするよりも、まずはご自身のこれからのライフプランに目を向けてみましょう。だからこそ、まずは少額からでもNISAなどを活用し、自分で資産を守り育てる準備を始めることが大切です。今のうちに家計のバランスを整え、未来の自分への投資を始めてみてはいかがでしょうか。小さな一歩が、数年後のあなたを助ける大きな安心に繋がっていくはずです。
参考資料
- 国税庁「申告所得税標本調査(令和6年分調査)調査結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2025年(令和7年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」
- 博報堂富裕層マーケティングラボ「新富裕層調査2025」
村岸 理美