2018年8月6日に行われた、東レ株式会社2019年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料
スピーカー:東レ株式会社 代表取締役社長 日覺昭廣 氏
2019年3月期第1四半期連結損益概要
日覺昭廣氏:本日は、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
また、みなさまには、日頃から当社の経営ならびに事業活動につきまして、ご理解をいただいておりますことに、改めて御礼を申し上げます。
これより、2019年3月期第1四半期決算の概要と2019年3月期業績見通しについて、ご説明申し上げます。
はじめに、2019年3月期 第1四半期決算の概要です。3ページをご覧ください。
当第1四半期の売上高は、5,508億円となり、前年同期比で8.4パーセントの増収となりました。
営業利益は339億円で、12.8パーセントの減益。経常利益は352億円で、11.5パーセントの減益。当期純利益は228億円で、12.5パーセントの減益となりました。
営業外収支
4ページは、営業外収支についてです。
当四半期の営業外収支は13億円で、前年同期比で4億円改善しました。営業外収益は、受取利息と配当金の増加を主因に、8億円増加しました。
一方で、営業外費用は、炭素繊維複合材量事業等の新規設備操業開始費用の増加を主因に、4億円増加しました。
特別損益
5ページは、特別損益です。
ネットの特別損益はマイナス5億円となり、前年同期比で3億円改善しました。
資産・負債・純資産
6ページは、資産・負債・純資産についてです。
6月末の資産合計は2兆6,010億円となりました。季節性要因による棚卸資産の増加や、設備投資に伴う有形固定資産の増加を主因に、前期末比で251億円増加しました。
負債合計は1兆4,167億円となり、有利子負債が増加したことを主因に、前期末比で100億円増加しました。
純資産合計は1兆1,843億円となり、純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前期末比で151億円増加しました。
自己資本は、1兆1,055億円です。有利子負債残高は8,368億円となり、D/Eレシオは0.76となりました。
設備投資額・減価償却費・研究開発費
7ページは、設備投資額・減価償却費・研究開発費についてです。
当第1四半期の設備投資額は305億円となり、前年同期比で21億円減少しました。
減価償却費は250億円で、19億円増加しました。研究開発費は176億円で、17億円増加しました。
営業利益増減要因分析
8ページのグラフは、当第1四半期の連結営業利益が、前年同期に比べて50億円減益となった要因を分析したものです。
数量差は、拡販に伴う生産量・販売量の増加によって、プラス52億円となりました。
また、原料価格上昇に対する販売価格の転嫁を進めましたが、原料価格の上昇基調が継続したため、価格差はマイナス32億円となりました。
費用差他は、拡販に伴う費用や研究開発費等の増加により、営業費が増加したことが主因でマイナス72億円となりました。
セグメント別売上高・営業利益
9ページに、セグメント別売上高と営業利益の実績を示しました。
繊維と機能化成品は、前年同期比で増収増益となりましたが、炭素繊維複合材料、ライフサイエンスおよびその他は、増収減益となりました。また環境・エンジニアリングは、減収減益となりました。
セグメント別業績(繊維)
10ページ以降は、セグメント別の状況をご説明します。
最初は、繊維です。
繊維セグメントの売上高は、2,210億円となり、前年同期比で9.9パーセントの増収。営業利益は185億円となり、4.9パーセントの増益となりました。
医療用途では、糸綿、テキスタイル、製品一貫型ビジネスを推進。産業用途では、エアバッグ用テキスタイルなどの自動車関連や衛生材料向けPPスパンボンドが、総じて堅調に推移したこともあり、原料価格上昇の影響をカバーしました。
セグメント別業績(機能化成品)
11ページは、機能化成品セグメントです。
売上高は、2,124億円となり、前年同期比で11.1パーセントの増収。営業利益は172億円で、3.4パーセントの増益となりました。
全般的に原料価格高騰の影響や営業費の増加がありましたが、樹脂・ケミカル、フィルム等の拡販でカバーしました。
それぞれの事業の状況については、次のページでご説明します。
樹脂事業は、ABS樹脂やPPS樹脂などを拡販するとともに、原料価格上昇に対する価格転嫁を推進しました。
ケミカル事業は、基礎原料の市況改善により、堅調に推移しました。
フィルム事業は、リチウムイオン二次電池向けバッテリーセパレータフィルムやMLCC離型用フィルム等が堅調に推移しました。
電子情報材料事業は、有機EL関連材料の需要鈍化の影響を受けました。
セグメント別業績(炭素繊維複合材料)
13ページは、炭素繊維複合材料セグメントです。
売上高は457億円となり、前年同期比で7パーセントの増収。営業利益は31億円となり、45.7パーセントの減益となりました。
一般産業用途やスポーツ用途で販売数量は増加しましたが、原料価格の上昇や競合激化の影響を受けました。また、営業利益の修正が、減益の大半を占めています。
これは、下期に向けた航空企業との増販計画に沿ったグループ会社間での取引に係る未実現利益が増加したことが主因ですが、TenCate Advanced Composites Holding B.V.の株式取得に伴う関連費用等も、この営業利益の修正に含まれています。用途別の状況については、次のページでご説明します。
炭素繊維複合材料のサブセグメント別売上高
14ページでは、炭素繊維複合材料セグメントのサブセグメントごとの売上高、ならびにその構成比と対前年同期比の増減率を示しています。
航空宇宙用途は、航空機向けサプライチェーンでの在庫調整が完了したことを受け、需要は概ね堅調に推移しました。しかし、出荷のタイミングや顧客の生産計画変更等によって、一時的に出荷が減少しました。
スポーツ用途は、釣り竿用途の末端の需要は低調に推移しました。しかし、他の用途においては、末端在庫の調整が完了し、自転車・ゴルフ等の汎用品分野を中心に、需要が回復傾向となりました。
一般産業用途は、圧縮天然ガスタンクや風力発電翼など、環境・エネルギー関連向けを中心に、全体として需要が回復傾向となりました。
また、パソコン筐体や燃料電池車用の電極基材向けのコンポジットの出荷は、引き続き堅調に推移しました。
セグメント別業績(環境・エンジニアリング)
15ページの環境・エンジニアリングセグメントは、売上高が549億円、前年同期比で3.5パーセントの減収でした。営業利益は、19億円で、56.7パーセントの減益となりました。
水処理膜事業は、国内外で逆浸透膜などの需要が概ね堅調に推移しました。
国内子会社では、前年同期に集中したエンジニアリング子会社のプラント工事やエレクトロニクス関連装置の出荷が減少しました。
セグメント別業績(ライフサイエンス)
16ページは、ライフサイエンスセグメントです。
売上高は126億円となり、前年同期比3.6パーセントの増収。営業利益は2億円で、81.8パーセントの減益となりました。
医薬事業は「ドルナー」が海外向けに数量を拡大したものの、国内では、後発医薬品や薬価改定の影響を受けました。
「レミッチ」は、後発医薬品発売を控え、流通在庫調整の影響を受けました。
医療機器事業は、ダイアライザーの出荷が国内外で堅調に推移しましたが、国内における保険償還価格の引き下げと、原料価格上昇の影響を受けました。
また営業利益の減益は、グループ会社間の取引に係る未実現利益の実現額が減少したことが主因です。
主要子会社・地域の収益状況
17ページでは、主要子会社・地域の収益状況を示しております。
東レインターナショナルは、繊維を中心に堅調に推移しました。
東レエンジニアリングは、前年同期に集中したプラント工事や液晶カラーフィルター製造装置の出荷が減少しました。
東南アジアの子会社では、繊維事業は一部の子会社で低調に推移したものの、衛生材料向けPPスパンボンドやエアバッグ用テキスタイル等が堅調に推移しました。
機能化成品事業では、ABS樹脂や自動車向け樹脂コンパウンド等が堅調に推移しました。
中国の子会社では、繊維事業は縫製品や医療用テキスタイルの拡販、および高付加価値化により、総じて堅調に推移しました。
機能化成品事業では、樹脂コンパウンド事業が拡販と原料価格上昇に対する価格転嫁を推進しました。
その他の事業では、水処理膜事業が拡販を進めました。
韓国子会社では、繊維事業が国内事業の低迷と競争激化、原燃料価格上昇等の影響を受けたものの、輸出事業での拡販を進めるとともに、価格転嫁を推進し、堅調に推移しました。
機能化成品事業は、モバイル機器向け高機能材料等の拡販が低調に推移しました。
2019年3月期連結業績見通し
次に、2019年3月期の連結業績見通しについてご説明いたします。19ページをご覧ください。
2019年3月期業績見通しにつきましては、第1四半期の業績動向に加え、事業環境の変化等を踏まえ、5月10日に公表した見通しを修正しました。売上高は、2兆4,500億円とし、営業利益・経常利益・当期純利益については据え置きます。なお、7月以降の為替レートは、1ドル110円を前提としております。
セグメント別連結業績見通し
20ページには、2019年3月期の連結業績見通しをセグメント別に示しました。
上段に売上高、下段に営業利益、右端に期初見通しとの差異を示しました。
セグメント別営業利益の期初見通しとの差異
21ページでは、2019年3月期の通期の営業利益の期初見通しと、今回見通しの差異をセグメント別にブレイクダウンし、その要因を表の右側に示しています。
繊維セグメントでは、各用途での拡販に加え、製品の高度化とコスト削減を推進します。
炭素繊維複合材料セグメントでは、原料価格上昇の影響や一部子会社における費用の増加を見込んでいます。
ご説明は以上です。どうもありがとうございました。