2019年8月9日に行われた、株式会社ファンコミュニケーションズ2019年12月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

スピーカー:株式会社ファンコミュニケーションズ 代表取締役社長 柳澤安慶 氏

2019年12月期 第2四半期 ポイント

柳澤安慶氏:代表の柳澤でございます。それでは、第2四半期の決算説明会を開始いたします。

まず、第2四半期のポイントを3点挙げています。四半期売上高は、対直前四半期対比で104パーセントとなり、2四半期連続の増収増益という結果となりました。一方、昨年第2四半期対比では、売上高が97パーセント、経常利益が86パーセントの減収減益という非常に厳しい状況にあります。

3点目に、主力事業として約5年取り組んできたリターゲティングDSPの「nex8」を年内で終了することを決定いたしました。リソースの最適化をさらに進めていきたいと考えています。

連結損益計算書

続きまして、連結の損益計算書です。第2四半期累計で、売上高は177億9,511万円と、昨年対比でマイナス3.3パーセント。営業利益は19億7,364万円で、昨年対比でマイナス13.4パーセント。経常利益は19億9,316万円で、昨年対比でマイナス17.6パーセント。親会社株主に帰属する四半期純利益は12億9,088万円で、昨年対比でマイナス20.5パーセント。

売上高経常利益率は11.2パーセントと、昨年と比較してマイナス1.9ポイントとなっています。1株当たり四半期純利益は17.04円で、昨年と比較して19.4パーセント減という結果でした。

連結貸借対照表

続きまして、連結のB/Sです。今回は、数字上大きな変化があった項目はございませんでした。純資産の合計が、第2四半期末で198億9,724万円という状態です。細かい数字は資料でご確認ください。

連結業績予想

続きまして、連結の業績予想です。売上高は342億円、営業利益は37億円、経常利益は37億2,000万円、四半期純利益は25億8,000万円という通期予想を立てていますが、それに対する進捗が、売上高は52.0パーセント、営業利益は53.3パーセント、経常利益は53.6パーセント、四半期純利益50.0パーセントで、通期予想に対しては、やや計画を上回る進捗という状況になっています。1株当たりの期末配当金は、19円の予想です。

売上高、経常利益、経常利益率の推移 (連結・四半期ベース)

四半期ベースでの各種経営指標をご説明いたします。まず、連結の売上高・経常利益・経常利益率の推移です。

売上高は、冒頭で申し上げたとおり、2四半期続けての増収で、90億7,000万円という結果になっています。経常利益も2四半期続けての増益で、10億2,500万円です。売上高経常利益率は11.3パーセントと、3四半期続けてほぼ変わっていません。

従業員数の推移(連結・四半期ベース)

続きまして、グループ全体の従業員数の推移です。第2四半期は526名で、前年同期比で20名増員、直前四半期から17名増員となっています。第2四半期に新卒の社員を迎えていることによって、直前四半期から少し数字が大きくなっています。

原価率、販管費比率の推移(連結・四半期ベース)

続きまして、四半期ベースの原価率・販管費比率の推移です。第1四半期と数字は同じで、売上高原価率が77.0パーセント、販管費比率が11.9パーセントという結果でした。

販管費(連結・四半期ベース)

その中身についてです。まず販管費は、第1四半期との比較で数字が動いているのは人件費です。4月からの昇給、および先ほど申し上げました新卒の入社等で、人件費が上昇しています。

売上原価(連結・四半期ベース)

売上原価は、「成果報酬」という項目が直前四半期に比較して大きくなっていますが、これは、「A8.net」の売上増加に伴って仕入れも増加したという状況です。

報告セグメント別の売上高の内訳 (連結・四半期ベース)

それでは、それぞれのサービス区分に応じて、事業の概要をご説明いたします。まず、報告セグメント別の売上高の内訳をご説明します。

当社は、CPA型アドネットワーク事業区分と、CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業区分、そしてその他という3つの項目に分かれています。

まず、CPA型アドネットワーク事業区分については65億3,395万円で、昨年対比でマイナス4.9パーセントという結果でした。CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業は23億3,428万円で、昨年対比で0.5パーセント増という結果でした。その他は子会社のシーサー株式会社の売上ですが、2億205万円で、昨年より2割ほど増収という結果です。

それぞれの区分のシェアは、CPA型が72.0パーセント、CPC/ターゲティング型アドネットワーク区分が25.7パーセント、その他が2.2パーセントという結果です。

報告セグメント別の売上高の推移(連結・四半期ベース)

続きまして、報告セグメント別の四半期ごとの売上推移です。(グラフの)ピンクの部分がCPA型ですが、季節的な要因もあり、「A8.net」が第2四半期は売上高が高まる傾向にあるため、例年と同様の傾向で比率が大きくなっています。それ以外には、とくに大きな変化はございません。

「A8.net」主要サマリー

「A8.net」について、事業の現況をご説明いたします。第2四半期の売上高は60億6,203万円で、昨年対比でマイナス4.6パーセントという着地でました。稼働広告主ID数は3,439件で、昨年対比で32件増加しています。登録パートナーサイト数は262万9,693サイトで、昨年対比で7.0パーセント増加しています。

「A8.net」(四半期ベース)

四半期ベースの「A8.net」の売上高の推移です。「A8.net」としては、昨年の第4四半期が一番底となっており、そこから少しずつ売上を積み上げて、第2四半期は昨年に引き続き売上高60億円を突破しました。

前回の決算説明会でもご説明したとおり、(2019年)3月以降、検索エンジンのアルゴリズムが大きく変更されていまして、当社でネットワークしていただいているメディアさまが大きく影響を受けていますし、広告主さまもその変更に対して大きな影響を受けています。当社としても、検索エンジンのアルゴリズムの変更の影響を受けて、売上高が伸び悩んでいるという状況です。

「A8.net」成果報酬に占めるスマートフォン割合の推移(月次ベース)

続きまして、「A8.net」の成果報酬に占めるスマートフォンからの比率です。こちらは月次ベースで表示していますが、現状ではスマートフォンからが6割弱で、大きな変化はございません。

「A8.net」稼動広告主数と登録パートナーサイト数の推移(四半期ベース)

続きまして、稼働広告主数と登録パートナーサイト数の四半期ごとの推移です。先ほどご説明したとおり、登録パートナーサイト数はいままでのトレンドどおり、順調に増加していますが、稼働広告主のID数が直前四半期よりも減少しています。

これは、先ほども申し上げました検索エンジンのアルゴリズムの変更や、ネット上の商取引、とくに健康食品や化粧品等の薬機法に関わるeコマースが非常に厳しく表現等を見られるようになってきた結果、広告主として事業を撤退する、あるいは会社をたたむといった事業者さまがやや多く見受けられたということで、第2四半期は直前四半期に対して稼働広告主ID数が減少するという結果となってしまいました。

数字の推移は、2017年の第4四半期以降、検索エンジンのアルゴリズムの変更もございますが、AppleのITPの対応で、ネット広告業界・EC業界にかなり混乱がございまして、グラフを見ていただくとお分かりのとおり、それ以降、やや広告主の数の増加が停滞している状況です。なお、第2四半期の海外の広告主の稼働数は235件で、直前四半期から13件増加しています。

「A8.net」広告主の新規稼動、解約数の推移

新規の広告主の稼働数と解約数の推移です。こちらのグラフに顕著に表れていると思いますが、第2四半期に解約された広告主さまが262件です。先ほど申し上げたように、競争環境が非常に厳しくなった結果、事業の休止・撤退をされるという事例が、とくに通信販売系のeコマースさまにやや多く見られました。新規稼働が208件とやや振るわなかったこともございまして、稼働数が減少してしまいました。

「A8.net」新規メディア会員登録・退会の月次平均推移

新規のメディア会員さまの登録の月次平均は1万4,398人で、過去最高の数値になっています。この会員登録数が増加している理由につきましては、検索アルゴリズムの変更が幸いしたのかどうか分かりませんが、当社の「A8.net」がアフィリエイト等のキーワードで非常に上位に表示される機会が増えた結果、登録者さまがオーガニックで増加しました。

「A8.net」1広告主あたり月次売上高平均推移

1広告主あたりの月次の売上高平均推移は58万8,000円と、やや上昇しています。母数である稼働数が減ったこともありますし、第2四半期はやはり季節的な要因もあって、エステ等の一部大型予算を持つ広告主さまが活動したことで、若干数値が上がっています。

「seedApp」売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、同じくCPA型アドネットワーク事業区分の中にある「seedApp」というサービスの売上高の推移です。「seedApp」は、スマホのアプリのダウンロードベースで広告料金を課金させていただくアドネットワークで、クローズド型で運用しています。

第2四半期の売上高は約5億円まで数字が積み上がってきています。「seedApp」は引き続き、直前四半期に対して増収というトレンドを描いていきたいと考えています。

「nend」主要サマリー

続きまして、CPC/ターゲティング型アドネットワーク事業区分の中の主力サービス「nend」のサマリーです。「nend」は、スマホのアドネットワークです。売上高は16億908万円と、昨年対比で14.8パーセント減。稼働広告主数は240件で、こちらも3割減。登録パートナーサイト数は96万110件と、こちらは8.2パーセント増です。

「nend」に関しては、主要広告主にスマホのゲームベンダーさんが多く、スマホのゲームがいまひとつ振るわないということで予算も縮小され、結果として広告出稿していただける広告主さまの数が減っているという状況です。

売上高は14.8パーセント減で、当初の予算を若干下回っています。その理由としては、「nend」はディスプレイ型の広告を配信するネットワークで、非常にシェアも高かったのですが、最近ではディスプレイ型の広告の予算が縮小傾向にあり、また広告の表示形態にもさまざまなルールの変更があり、表示も非常に難しくなってきています。

そのディスプレイ広告に代わって動画広告の比率を増やしていきたいということで、動画広告の比率を増やしているのですが、ディスプレイ型の広告の売上高の減少に、動画抗告の売上の上昇がまだ追いついていないということで、結果として昨年対比で15パーセントほどのマイナスとなっています。

「nend」 売上高の推移(四半期ベース)

この「nend」の売上高を四半期ベースで見ていただくと、現状がお分かりいただけると思ういます。スマホのディスプレイ型の広告は、スマホの普及と歩調を合わせて、あるいはスマホのゲーム市場の拡大に歩調を合わせて、売上を伸ばしてきましたが、スマホが飽和していく中で、残念ながら「nend」の売上高も少しずつ下がってきています。

その中で、私どもは「nend」の売上高を再び伸ばすために、さまざまな広告のフォーマットやさまざまな手法に対策として取り組んできていますが、現状としては、再び上昇のトレンドに乗せることができていません。

とはいえ、足元では、先ほど申し上げたディスプレイ型の減少の部分を、動画という新しい素材で少しずつ補ってきていますので、そろそろ四半期ベースでも底をつく売上高になってくるんじゃないかと私どもでは見ています。

「nend」 稼動広告主数と登録パートナーサイト枠数の推移(四半期ベース)

「nend」の稼働広告主数とパートナーサイト数の推移については、先ほども申し上げたとおり、稼働している広告主さまの数が減ってしまっているという状況です。

「nend」 1広告主あたり月次売上高平均推移

1広告主あたりの月次売上高平均推移は223万5,000円で、だいたい200万円前後で推移しています。

「nex8」 売上高の推移(四半期ベース)

続きまして、「nex8」です。こちらは冒頭で申し上げましたとおり、12月をもってサービスの停止・撤退を決定しています。このサービスは、リターゲティングを中心に、スマホ中心に展開していたDSPですが、残念ながらApple社のITP対応ということで、リターゲティングの環境が非常に厳しくなりました。

また、それだけではなく、ユーザーさまからもターゲティングの精度に対する満足度がなかなか高まらないということで、このままサービスを続けていても変化を待つ余裕はないということで、この第2四半期に撤退を決断いたしました。

現状、「nex8」で持っている機能やネットワークは、当社のアドテクノロジーを中心とした非常に大きな資産ですので、これらは他のサービスで引き継ぐということで、人員を含めたリソースの最適化を図っていきたいと考えています。

以上が、事業の概要です。

株式会社アドジャポン

連結グループの事業の概要についてご説明いたします。まず、子会社の株式会社アドジャポンは、海外の広告主さまに対して代理店的な機能で事業を展開している会社です。

第2四半期の売上高が15億8,913万円、営業利益が1億850万円、四半期純利益が8,789万円で、昨年通期は赤字でしたが、第2四半期までは順調に事業を伸ばすことができています。

シーサー株式会社

もう1社の子会社がシーサー株式会社で、「Seesaaブログ」などのメディアの運営を中心に行っています。第2四半期の売上高は4億1,146万円、営業利益がマイナス6,941万円、四半期純利益がマイナス1億770万円のです。

こちらは、本体のアドネットワーク関連の事業と同様に、スマホ広告市場の環境の変化や検索エンジンのアルゴリズムの変更などの影響を大きく受けて、残念ながら第2四半期までは赤字という結果で推移しています。

株式について 個人持株比率、外国人持株比率推移

事業の概要は以上ですが、最後に当社の株式についての概況をご説明申し上げます。2019年6月の株主数は8,521名という状況です。内訳は、個人の持株比率が18.27パーセント、外国人持株比率が27.19パーセントで、昨年(2018年)12月、6ヶ月前と比較して、個人・外国人の持株比率が若干上昇しています。

第2四半期決算の概況のご説明は以上です。

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