6月5日に総務省が公表した「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)4月分」によると、消費支出は1世帯当たり328,969円(前年同月比実質0.5%の減少)となりました。

日々の家計のやりくりに関心が向く中、老後の生活設計を考えるうえで、「将来どのくらい年金を受け取れるのか」は多くの人が気になるテーマです。

しかし、公的年金には国民年金と厚生年金があり、現役時代の働き方や加入期間、収入によって受給額は大きく異なります。

私はかつて地域に密着してお客さまの資産運用や介護のご相談に乗ってきましたが、まずはご自身の状況を知ることが将来の安心への第一歩だとお伝えしています。

本記事では、日本の公的年金制度の基本的な仕組みを整理したうえで、働き方別の年金額の目安や、現在のシニア世代が実際に受け取っている厚生年金・国民年金の平均受給額を年代別に紹介します。

1. 日本の公的年金の仕組みをおさらい

日本の公的年金には、「老齢年金」のほか、病気やけがで生活や仕事に支障が生じた際に支給される「障害年金」、一家の生計維持者が亡くなった場合に遺族へ支給される「遺族年金」があります。

年金というと老後に受け取る老齢年金を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、公的年金にはこうした保障の役割も備わっています。

1.1 国民年金と厚生年金の違い

日本の年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と、その上乗せとなる「厚生年金」の2階建て構造となっています。

将来受け取る年金額は、現役時代の働き方や加入状況によって異なります。

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厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

1.2 1階部分《国民年金》の基本を整理

加入対象者は?

  • 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)

年金保険料は?

  • 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)

老齢年金の受給額は?

  • 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる

※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円

1.3 2階部分《厚生年金》の基本を整理

加入対象者は?

  • 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)

年金保険料は?

  • 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)

老齢年金の受給額は?

  • 加入期間や納付した保険料により個人差が出る

このように、加入対象や保険料の仕組み、受給額の計算方法は国民年金と厚生年金で異なります。

そのため、現役時代の加入状況によって、老後に受け取る年金額にも個人差が生じます。

※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

1.4 【参考】2025年度の年金支給スケジュール

公的年金は、原則として偶数月の15日(※5)に、前々月分と前月分の2カ月分がまとめて支給されます。

参考として、2025年度(昨年度)の支給日は次のとおりです。

  • 2025年6月13日(金) :4月・5月分
  • 2025年8月15日(金) :6月・7月分
  • 2025年10月15日(水) :8月・9月分
  • 2025年12月15日(月) :10月・11月分
  • 2026年2月13日(金):12月・1月分
  • 2026年4月15日(水):2月・3月分

※5 「15日」が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しされる

2. 働き方別に見る「将来の年金額」の目安

将来どのくらいの年金を受け取れるのか気になる人も多いでしょう。

厚生労働省では、ライフコース別の年金額(概算)を公表しています。

多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」

2.1 ケース①:厚生年金加入期間が長い男性

《年金月額》17万3457円

  • 平均厚生年金期間:39.8年
  • 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
  • 基礎年金:6万8671円
  • 厚生年金:10万4786円

平均年収約610万円で約40年間会社員として働いたモデルでは、老齢基礎年金と老齢厚生年金を合わせて月額17万3457円となります。

2.2 ケース②:国民年金加入期間が中心の男性

《年金月額》6万2344円

  • 平均厚生年金期間:7.6年
  • 平均収入:36万4000円
  • 基礎年金:4万8008円
  • 厚生年金:1万4335円

2.3 ケース③:厚生年金加入期間が長い女性

《年金月額》13万2117円

  • 平均厚生年金期間:33.4年
  • 平均収入:35万6000円
  • 基礎年金:7万566円
  • 厚生年金:6万1551円

2.4 ケース④:国民年金加入期間が中心の女性

《年金月額》6万636円

  • 平均厚生年金期間:6.5年
  • 平均収入:25万1000円
  • 基礎年金:5万2151円
  • 厚生年金:8485円

2.5 ケース⑤:第3号被保険者期間が中心の女性

《年金月額》7万6810円

  • 平均厚生年金期間:6.7年
  • 平均収入:26万3000円
  • 基礎年金:6万7754円
  • 厚生年金:9056円

ライフコースごとの年金額を比較すると、受給額は厚生年金への加入期間や現役時代の収入によって大きく変わることが分かります。

また、国民年金を中心に加入していたか、それとも厚生年金に長く加入していたかによっても、老後に受け取る年金額には大きな差が生じます。

3. 【年齢別】「厚生年金」の平均受給額を確認

現在のシニア世代は、実際にどのくらいの厚生年金を受け取っているのでしょうか。

ここでは、厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、年齢ごとの平均年金月額を見ていきます。

まずは、国民年金(老齢基礎年金)を含む厚生年金の平均受給額です。

3.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表をチェック

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。

3.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表をチェック

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

3.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表をチェック

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

3.4 【90歳以上】厚生年金の年金月額一覧表をチェック

  • 90歳以上:16万4027円

65歳以降の厚生年金の平均受給額は、おおむね月14万~16万円台で推移しています。

4. 【年齢別】「国民年金」の平均受給額を確認

続いて、国民年金(老齢基礎年金)の平均受給額を見ていきましょう。

4.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表をチェック

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。

4.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表をチェック

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円 

4.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表をチェック

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

4.4 【90歳以上】国民年金の年金月額一覧表をチェック

  • 90歳以上:5万5633円

65歳以降の国民年金の平均受給額は、おおむね月5万~6万円台となっています。

5. 【ねんきんネット・ねんきん定期便】自分の年金見込み額はどう確認する?

ここまで紹介したモデルケースや平均受給額は、将来の年金額を考える際の参考になりますが、実際に受け取れる金額は一人ひとり異なります。

年金額は、現役時代の働き方や収入、厚生年金への加入期間、保険料の納付状況などによって決まるため、モデルケースや平均受給額と同じ金額になるとは限りません。

自分の年金額を確認する方法として、まず活用したいのが毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」です。

ねんきん定期便では、これまでの年金加入期間や保険料の納付状況、加入実績などを確認できます。

また、50歳以上の人には、老齢年金の種類と見込み額も記載されています。

さらに、より詳しく確認したい場合は、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」の利用がおすすめです。

パソコンやスマートフォンから24時間いつでも利用でき、最新の年金加入記録や保険料の納付状況を確認できるほか、今後の働き方や受給開始年齢を変更した場合の年金見込み額を試算することも可能です。

モデルケースや平均受給額は制度を理解するための目安として活用しながら、自身の受給見込み額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認することが大切です。

こうした情報を把握しておくことで、老後資金の準備や家計の見直しも進めやすくなるでしょう。

6. 年金制度を理解し、自分の受給見込みを確認しよう

本記事では、公的年金の仕組みや働き方別の年金額の目安、現在のシニア世代の平均受給額を紹介しました。

将来受け取る年金額は、現役時代の働き方や加入期間、収入によって大きく異なります。

また、平均受給額はあくまで目安であり、実際の受給額には個人差があります。

将来の生活設計に役立てるためにも、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で自身の受給見込み額を確認し、早めに老後資金の準備を進めていきましょう。

参考資料

筒井 亮鳳