2026年も半ばを過ぎ、梅雨の季節を迎えました。

日々の食費や光熱費など、物価の上昇が家計に影響を与えていると感じる方も多いのではないでしょうか。

特に年金で生活されている方にとっては、少しでも暮らしの助けになる情報が求められることと思います。

実は、普段受け取っている年金に加えて、国から「年金生活者支援給付金」というお金が支給される制度があることをご存知でしょうか。

この制度は、年金の収入などが一定の基準を下回る場合に、生活を支援する目的で年金に上乗せして支給されるものです。

この記事では、どのような方が対象になるのか、いくらくらい受け取れるのか、そして手続きはどのように進めるのか、といった疑問について一つひとつ丁寧にご説明します。

ご自身が対象となるか、この機会にぜひ確認してみてください。

1. 年金生活者支援給付金の基本を解説

年金生活者支援給付金制度について1/11

年金生活者支援給付金制度について

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入や所得が一定の基準額に満たない方の生活を支えるための制度です。

一度きりの給付金とは異なり、要件を満たす限り年金に上乗せされる形で継続的に支給されるのが特徴です。

この給付金は、受け取っている基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

制度の利用には初回の申請が必要ですが、その後は条件を満たしていれば、年金と同じように2ヶ月に1度、定期的に支給されます。

2. 年金生活者支援給付金の支給対象となる条件

ここでは、年金生活者支援給付金を受け取るための具体的な支給要件について、詳しく見ていきましょう。

2.1 障害・遺族年金生活者支援給付金の対象者

まず「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」は、それぞれ障害基礎年金または遺族基礎年金を受給していることが前提です。

その上で、前年の所得が479万4000円以下であることが条件となります。

重要な点として、この所得計算には、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれないことを覚えておきましょう。

また、扶養しているご家族の人数などによって、所得の基準額が引き上げられる仕組みになっています。

2.2 老齢年金生活者支援給付金の対象者

年金生活者支援給付金制度について2/11

年金生活者支援給付金制度について

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

一方、老齢年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税である
  • 前年の公的年金などの収入額と、給与所得や利子所得といったその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である

老齢年金生活者支援給付金の場合は、ご本人の所得だけでなく世帯全体の状況も要件に含まれる点に注意が必要です。なお、こちらの判定においても、障害年金や遺族年金などの非課税収入は計算に含まれません。

また、所得が基準額をわずかに超えたために給付の対象外となる方との公平性を保つため、「補足的老齢年金生活者支援給付金」という仕組みが設けられています。

この対象となるのは、「昭和31年4月2日以降に生まれた方で所得合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方」、または「昭和31年4月1日以前に生まれた方で所得合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方」です。

3. 最新データで見る、年金生活者支援給付金の平均支給月額

厚生労働省が公表した『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、実際に支給されている年金生活者支援給付金の平均月額を確認してみましょう。

2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円という結果でした。

※この金額は、2025年3月時点で認定されている方の平均給付月額です。

さらに、年齢別の平均額も見ていきます。

3.1 【年齢層別】老齢年金生活者支援給付金の平均月額

  • 70歳未満:4905円(対象件数:43万9628件)
  • 70~74歳:4374円(対象件数:56万1362件)
  • 75~79歳:4092円(対象件数:85万9446件)
  • 80~84歳:3936円(対象件数:95万453件)
  • 85~89歳:3989円(対象件数:82万8270件)
  • 90歳以上:4045円(対象件数:86万5282件)

3.2 【年齢層別】障害年金生活者支援給付金の平均月額

  • 30歳未満:5692円(対象件数:26万6276件)
  • 30~39歳:5668円(対象件数:31万6202件)
  • 40~49歳:5655円(対象件数:37万1772件)
  • 50~59歳:5671円(対象件数:46万8876件)
  • 60~69歳:5749円(対象件数:38万4626件)
  • 70~79歳:5880円(対象件数:26万4423件)
  • 80歳以上:6033円(対象件数:10万4991件)

3.3 【年齢層別】遺族年金生活者支援給付金の平均月額

  • 20歳未満:4190円(対象件数:5687件)
  • 20~29歳:5310円(対象件数:529件)
  • 30~39歳:5310円(対象件数:7881件)
  • 40~49歳:5310円(対象件数:3万4072件)
  • 50~59歳:5310円(対象件数:2万7828件)
  • 60歳以上:5310円(対象件数:1710件)

4. 給付金を受け取るための手続きの流れ

それでは、実際に給付金を受け取るには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。

年金生活者支援給付金6/11

年金生活者支援給付金

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金」

「手続きが難しそう」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、給付金の支給対象と判断された方には、日本年金機構から請求に関する書類が送付されます。

基本的には、その書類に必要事項を記入して返送するだけで手続きは完了しますので、ご安心ください。

ただし、対象となる方の年金の受給状況によって書類の形式や手続きのタイミングが変わります。ここでは3つのケースに分けて、手続き方法を解説します。

4.1 ケース1:これから老齢年金の受給を開始する方

まだ年金を受け取っておらず、これから受給を開始する方には、受給開始の約3ヶ月前に緑色の封筒で「年金請求書(事前送付用)」が届きます。

この封筒の中に、「年金生活者支援給付金請求書」が同封されています。

必要事項を記入し、年金の請求書とあわせて提出しましょう。ただし、この請求書は年金の受給が始まる年齢の誕生日前日以降でないと提出できない点にご注意ください。

4.2 ケース2:すでに年金を受給中の方

年金生活者支援給付金請求書の封筒8/11

年金生活者支援給付金請求書の封筒

出典:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)送付用封筒」

すでに基礎年金を受け取っている方でも、所得額が変わったことなどにより、新たに給付金の対象となる場合があります。

こうした方々には、毎年9月1日からうす緑色の封筒で「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)9/11

令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)

出典:日本年金機構「令和7年度の年金生活者支援給付金請求書(はがき型)の送付について」

はがきに必要事項を記入し、同封されている目隠しシールを貼付します。その後、差出人欄にご自身の住所・氏名を書き、切手を貼ってからポストに投函してください。

※支給要件に該当するかどうか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況を確認するための書類が届く場合があります。

4.3 ケース3:老齢基礎年金を繰上げ受給している方

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用10/11

年金生活者支援給付金の請求書封筒、繰上げ受給中の人用

出典:日本年金機構「65歳の誕生日を迎えた方で、老齢基礎年金を繰上げ受給している方」

最後に、老齢基礎年金を繰上げ受給している方のケースです。

給付金の受給対象になると見込まれる場合、65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの方は前月の初旬)に、うすだいだい色の封筒で「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

書類が届いたら、必要事項を記入して同封の目隠しシールを貼り、切手を貼ってポストに投函しましょう。

※こちらも、支給要件に該当するか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況を確認するための書類が届くことがあります。

一度手続きをすれば、その後は支給要件を満たしている限り、継続して給付金を受け取ることができます。

もし途中で支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き、給付金の支給は停止されます。

なお、2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が届いた方は、マイナポータルを利用した「電子申請」も可能です。

電子申請で提出した場合は、郵送での提出は不要となります。

5. 高齢者世帯の生活実態:半数以上が「生活に苦しさ」

高齢者世帯の生活実態に目を向けると、半数以上が「生活が苦しい」と感じているというデータがあります。

厚生労働省の『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』を参考に、高齢者世帯の生活意識について見ていきましょう。

この調査によると、高齢者世帯における生活意識の割合は以下のようになっています。

5.1 高齢者世帯における生活意識の割合

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせると55.8%にのぼり、半数以上の世帯が生活に何らかの苦しさを感じている実態がうかがえます。

また、「普通」と回答した世帯よりも、生活が「苦しい」と感じている世帯の割合の方が多い状況です。

6. まとめ

今回は、年金生活者支援給付金について、その仕組みから具体的な手続き方法まで詳しく解説しました。

この制度は、ご自身の所得や世帯の状況によって対象となるかが決まります。

もし対象になるかもしれないと感じた方は、日本年金機構から案内が届いていないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

物価の上昇が続き、将来の生活に不安を感じることも少なくないかもしれません。

しかし、このように国が用意している支援制度を正しく理解し、活用することで、少しでも家計の負担を和らげることができます。

ご自身の状況と照らし合わせ、利用できる制度は積極的に情報を集めていくことが、これからの暮らしをより豊かにする第一歩となるでしょう。

参考資料

※当記事は再編集記事です。

石津 大希