ある証券会社の支店で働くCさんも、セクハラ被害に遭っていました。彼女の場合は、上司に対して「うまくやれ」と同僚男性や先輩から指示されていたと言います。「上司のお酌は当然」から始まり、「上司に体をくっつけて座れ」とか「胸元が見えるようにお酌をしろ」などという前時代的な指示です。やらないと「今日の支店長の機嫌はどうだったのか」「なぜそうとろくさいのか」「そんなことではこの先、キャリアはない」などと言われる日々。
ウンザリしたCさんは、その様子を日記に書き続けました。また、同性の同僚に協力してもらって目撃者をふやし、支店内で指示してくる同僚男性と先輩のことが噂されるようになったと言います。そのうえで人事部に相談。感情的な話は一切抜きにして、「こう言われました」「ああ言われました」という客観的な事実だけを日記を見せつつ述べるにとどめました。
感情的になると聞き入れてもらいにくいのであえてそうしたというCさん。支店の人たちが一人ずつ本社に呼び出され、聴取が始まったと言います。全社的にもハラスメントの警告メールが流れ、ハラスメント防止策に会社が全面的に乗り出したとのことでした。
目撃者と協力者を作る
ハラスメント行為に対しては、目撃者を作るのが一番手っ取り早い対策です。筆者の同僚や先輩も、セクハラやマタハラの被害に遭っていましたが、同性同士で結託して目撃者をふやしたり、お互いに「〇〇先輩に何か言われているときは遠くから呼ぶね」「〇〇部長のセクハラ発言が始まったらお客さんからの電話を装って声をかけるね」などと協力していました。
筆者も、ある女性社員がセクハラ発言をされているのを聞き、電話がかかってきたフリをしてその場から被害女性が離れられるようにしたことがあります。このような連携プレーも含め、自衛する手段を講じることも必要です。ただ、職場の同性が協力してくれなかったり、そもそも同性が圧倒的に少なかったりしてそうはいかない場合もあるでしょう。そのときには人事部や上司に相談したり、外部機関に頼るなどの手もあります。
まとめ
昨今はハラスメント被害が告発されるケースも出てきてはいますが、被害に遭っても我慢している人も少なからずいるでしょう。悲しいことではありますが、何もしないままではなかなか変化は起きません。少しでもいいので、できることから始めてみてください。
大塚 ちえ