「偶数月の15日に振り込まれる年金を見て、いつもため息をついている」——そんなシニアに朗報であり、同時に強い警鐘となる制度があります。

それが、低年金者の生活を一生涯ベースアップし続ける『年金生活者支援給付金』です。

2026年度、この給付金は昨今の物価高対応として「3.2%の引き上げ改定」が実行されました。しかし、この制度は、条件を満たしていても申請しなかった人には1円も振り込まれない点にあります。

本記事では、次の年金支給日である8月14日に上乗せ給付を受け取れる人の詳細な条件と、これから受給権を得る人が絶対に踏むべき手続きを解説します。

今のシニア世代のリアルなデータと比較しながら、「もらえるはずのお金」を確実につかみ取ってください。

齊藤 慧
本記事は、編集部が厚生労働省および日本年金機構が公表する「年金生活者支援給付金制度」の最新一次資料、および2026年度(令和8年度)年金額改定の公式通知をページ確認の上、執筆・検証しています。

1. 2026年度の「年金生活者支援給付金」はいくら支給される?

年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入や所得が一定基準以下の人を対象に支給される制度です。

対象となる年金は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類で、給付金は年金に上乗せする形で2カ月ごとに支払われます。

また、給付額は公的年金と同様に毎年度見直しが行われています。

1.1 2026年度は3.2%の増額

年金生活者支援給付金の支給金額1/8

年金生活者支援給付金の支給金額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度の年金生活者支援給付金は、前年度から3.2%引き上げられることが決定しました。

増額後の金額は、2026年6月に支給された4月分・5月分の給付金から反映されています。

2026年度の月額は以下のとおりです。

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

なお、老齢年金生活者支援給付金は基準額をもとに、保険料納付済期間などを反映して実際の支給額が決定されます。

2. 年金生活者支援給付金の対象者はどんな人?要件をチェック!

年金生活者支援給付金には、「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ支給要件が定められています。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件を見る

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

2.2 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件を見る

  • 障害基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

2.3 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件を見る

  • 遺族基礎年金の受給者である
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

いずれの給付金も、前年所得が重要な判定基準となります。

また、支給要件を満たしていても自動的に受給できるわけではなく、請求手続きが必要です。

3. 「年金生活者支援給付金」の申請方法

年金生活者支援給付金の対象となる人には、日本年金機構から請求書が送付されます。

ただし、給付金は自動的に支給されるものではなく、受給するためには所定の手続きが必要です。

請求書の送付時期や手続き方法は、年金の受給状況によって異なるため、ここでは代表的な2つのケースを確認していきましょう。

3.1 ケース1:65歳になり老齢基礎年金を初めて請求する人

  • 65歳になる3か月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前送付用)」に同封して送付
  • 必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と併せて年金事務所に提出

3.2 ケース2:すでに基礎年金を受給している人

  • 毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送される
  • 2025年1月以降に65歳に到達し、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は電子申請を利用できます
  • 電子申請を利用しない場合は、必要事項を記載し、切手を貼ってポストに投函

なお、支給要件の確認が必要な人には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得状況届」が送付されます。

3.3 年金生活者支援給付金はいつ振り込まれる?

年金生活者支援給付金は、原則として偶数月の年金支払日に支給されます。

支給回数は年6回で、15日が土日や祝日にあたる場合は、その前の営業日に振り込まれます。

振込先は年金の受取口座と同じですが、年金本体とは別の入金として扱われます。

また、支給時には原則として前月までの2カ月分がまとめて支払われます。

たとえば、6月の支給日には4月分と5月分の給付金が振り込まれます。

4. シニア世代は毎月どのくらいの年金を受け取っているのか

年金生活者支援給付金に加えて、現在の高齢者が実際に受け取っている年金額も確認してみましょう。

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均受給額は次のとおりです。

4.1 厚生年金の平均年金月額はいくら?

厚生年金の平均年金月額7/8

厚生年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:15万289円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

4.2 国民年金の平均年金月額はいくら?

国民年金の平均年金月額8/8

国民年金の平均年金月額

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万9310円

  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

厚生年金の平均受給額を見ると、男性と女性の間には約6万円の差があります。

厚生年金は現役時代の給与水準や加入期間が年金額に反映されるため、勤続年数や生涯賃金の違いが受給額の差につながりやすいことが要因の一つです。

一方、国民年金は保険料の納付期間を基準に計算されるため、男女による差は比較的小さくなっています。

また、厚生年金の受給額は月額2万円未満から30万円超まで幅広く分布しており、現役時代の働き方や加入期間によって受給額に大きな個人差が生じていることがうかがえます。

5. 年金生活者支援給付金の申請を忘れずに

給付金という名前がついていますが、これは一時金ではありません。要件を満たし続ける限り、生きている間ずっと振り込まれ続ける“第二の年金”です。

今年度、所得の変動などで新たに受給対象となった方の元には、毎年9月頃に日本年金機構から「簡易な請求書(はがき型)」が封筒で届きます。

あなたが取るべきネクストアクションは以下の2点だけです。

  1. 郵便受けに入った「日本年金機構からの封筒(またはハガキ)」を家族で共有し、即座に開封する
  2. 太枠の中に「氏名・提出日・電話番号」を記入し、切手を貼ってポストへ投函する

たったこれだけの作業で、年間数万円のベースアップが約束されます。「いつもの年金のお知らせだろうと破棄してしまい、時効(5年)を迎えた」ということにならないように気をつけてください。

6. 【監修者のコメント】この記事の総括とこれからの実務上の注意点

齊藤 慧

年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金の受給額そのものを底上げする重要な恒久制度です。気を付けたいのは『案内書類の放置による受給漏れ』です。

日本年金機構は、前年の所得データをもとに『今年から対象になる人』へ自動的に案内を送付します。ところが、本人が『年金の通知=いつもの定期便』と思い込み、開封せず破棄してしまうケースもありえます。

だからこそ、ご自身やご家族の『前年の所得』が支給基準を下回った可能性がある場合、毎年9月頃に届く封筒には細心の注意を払ってください。

『3.2%増額』の恩恵を取りこぼさないよう、まずは今年の住民税決定通知書とお手元の年金手帳を机に出して確認してみましょう。

参考資料