終活を行うメリットはいろいろあるのですが、親にとってはもしものときに子どもの負担を減らせるというのが大きいようです。
一人っ子も多い現代では、葬儀の準備や遺品の整理などを1人で行わなくてはいけないという状況も多いもの。終活によって、そんな子どもの負担をやわらげたいと思っている親世代も多いのです。
また生前整理を行うことによって、持ち物を減らして生活の管理がしやすくなるというメリットもあります。家の中に物が多い状態では、掃除などの家事もしづらいもの。また持ち物を把握しきれないために、無駄な買い物も増えてしまうという悪循環を解消する手段にもなります。
親の終活を一緒に進めることは、死後の相続問題を回避することにもなります。資産の整理や遺書の作成などを、オープンに進めることで資産の状況や親の意思を事前に知ることができます。このことが親族間の争いを避けることにつながるのです。
子どもにとっては、考えたくない親の終末期の準備を進めることで、もしものときの心の準備ができます。物理的な準備や備えだけではなく、精神的な準備ができるというのもメリットです。
終活で必要な行動
1.持ち物の整理
親が亡くなったあとにもっとも時間をとられるのが、遺品の整理です。思い出の物や貴重品などが混ざっている遺品は、1つ1つ確認をして整理しなくてはいけません。親が亡くなったあとの失意の中で行わなくてはいけない遺品整理の負担を軽くするために、持ち物の整理はとても大切になります。もしものときを意識して、持ち物の整理とともに貴金属の場所もはっきりとさせておきましょう。
また配偶者が亡くなったときに、一人暮らしをするためや子どもと同居するための引越しの際にも、荷物が少ないほうが楽になります。
2.資産のリストを作る
親の死後、相続問題が起こらないように遺書を作成することを勧めたいという方も多いですが、なかなか言い出しにくいというのが現実。そんなときには資産のリストを作ることから始めましょう。親が持っている資産をはっきりとオープンにすることで、相続による争いを少なくすることができます。
また資産のリストを作ることで、親が遺書を作成する必要性を感じて、自主的に遺書を書いてくれるようになることもあるようです。
3.葬儀や墓の準備をする
最近では昔ながらの葬儀だけではなく、自分らしい葬儀を望む方も増えています。また一般的な葬儀でも、その規模や予算などを自分で決めておきたいという方も多いもの。どんな葬儀をどのような規模で行うかを先に決めておくことも大切です。
また樹木葬や散骨など、埋葬の方法も多様化しています。墓の購入や埋葬の方法などの希望もはっきりさせておくことで、いざというときにあわてることが少なくなりますよ。
墓を事前に予約・購入したり、葬儀にかかる料金を用意したりすることも、重要です。必ず葬儀や墓の希望と一緒に考えておきましょう。
4.エンディングノートを用意する
終活という言葉とともに、有名になった「エンディングノート」。さまざまな様式の物がありますが、終活に必要な行動や手続きが書かれている物や、1~3の内容を明記することができる物など、終活を進めるのに便利なアイテムの1つです。
終活の話をいきなりするのではなく、エンディングノートの話題からゆるやかに話を進めるというのもおすすめですよ。
親の終活を行うときの注意点
1.無理に持ち物を捨てない
終活を親と一緒に行うときに喧嘩になりやすいのが、持ち物の整理。子どもにとっては必要のない物でも、親にとっては思い入れがあり捨てたくないと思う物も多いのです。そんな持ち物を断捨離のように捨ててしまうと、親の気持ちを傷つけてしまうことにもなりかねません。
また持ち物が減り、物の場所が変わってしまうことで、住環境が激変してしまうこともあります。このような変化は高齢な親にとって負担になりがち。認知症になるリスクも含んでいるので気をつけましょう。
生前にすべての荷物を整理するのではなく、死後に業者などを使って整理するということも視野に入れて、無理をしないようにすることが大切です。
2.老いを感じる前に切り出す
親の終活を始めるにあたって、話を切り出すのが1番のハードルと思っている方も多いですよね。しかし年齢が上がるにつれて、親も子どもも死を意識するものです。死への意識が高まるほど、終活は切り出しにくくなります。
まだ老いを強く感じる前に、気軽に切り出すのが親にとっても子どもにとっても負担が少なくおすすめですよ。
上手な終活で幸せな人生を
親が亡くなったときの準備を行う終活。決してハッピーな行為ではないですが、親と子どものこれからの人生を幸せにするというメリットもあります。
ぜひ早めに話し合って、無理のない終活を行うことで、家族みんなが幸せな時間を持てるようにしてくださいね。
フェミエール