4.3 国民年金の受給額:男女別の平均と金額の分布

国民年金の平均額(全年齢)11/13

国民年金の平均額(全年齢)

出典:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

4.4 国民年金の受給額分布(1万円ごと)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は男女全体、男性・女性ともに5万円台です。上のグラフが示すとおり、「月額1万円未満~7万円以上」と分布していることがわかります。

国民年金では満額が固定されていることから、厚生年金ほどばらけることはありません。

ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」となっており、多くの人が満額を受け取れていることも読み取れます。

5. 高齢者世帯における平均所得額とその内訳

高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」という資料を参考にします。

なお、資料内における高齢者世帯とは「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯」と定義されます。

5.1 高齢者世帯の平均所得はどのくらい?

厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯の総所得は314万8000円 です。総所得に占める金額や割合も見ていきましょう。

5.2 高齢者世帯の所得構成

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
    • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円 (4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)

月額に換算すると約26万円の所得のうち、3分の2となる約16万6000円が「公的年金」となります。次いで約5万5000円の「雇用者所得」が続きます。

高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。

雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む

6. 自営業・フリーランスは必見!国民年金を増やす「付加年金」の仕組み

働き方の多様化する中で、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業の方なども増えています。

一方で、国民年金しか受け取れないとなると、老後の年金が少なくなる傾向にあります。

国民年金の受給額を増やす方法のうち、今回は「付加保険料の納付」について解説します。

国民年金付加年金制度13/13

国民年金付加年金制度

出典:日本年金機構「国民年金付加年金制度のお知らせ」

付加年金とは、「付加保険料(月額400円)」を定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に上乗せで支払うことで、将来の年金額を増やすことができるしくみです。

6.1 付加保険料を納付できる対象者

  • 国民年金第1号被保険者
  • 65歳未満の任意加入被保険者

6.2 付加保険料を納付できないケース

  • 国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
  • 国民年金基金の加入員である人

個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金には、同時に加入することができます。ただし、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合もあるので注意が必要です。

6.3 シミュレーション:40年間付加保険料を納付した場合

20歳から60歳の40年間、付加保険料を納付したとしましょう。

65歳以降に受け取れる「付加年金額」は「200円×付加保険料納付月数」で試算できます。

  • 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
  • 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)

40年間に納付した付加保険料は19万2000円。毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされることから、2年で元が取れる計算です。

7. まとめ:統計の「平均」に惑わされず、自身のデータから逆算した生活設計を

今回は、いまのシニアが受け取っている年金額について詳しく見てきました。

厚生労働省によると、2026年度の年金額は前年に比べて国民年金が1.9%増の月額7万608円、厚生年金が2.0%増で月額23万7279円(※夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)となっています。

昨今は、物価高等の影響で生活コストが上がっていますからこのように年金額の見直しがされて少しでも年金額が増えるのはありがたいことですよね。

ただし、年金額は増えていても物価高をカバーできるほど増額されているという訳ではありませんので、「年金生活は厳しい…」と感じているシニアも少なくないようです。

また、老後に心配なのは年金額が少ないということだけではありません。

介護や住宅の修繕など数百万円から数千万円単位のまとまったお金が必要になるかもしれないリスクにも備えておく必要があります。

年金生活に入る前に、数千万円単位の預金を準備できていたとしても、緊急のまとまったお金の出費で預金が0になることも十分ありえます。

まずは、具体的な老後のライフプランを立てて将来に向けた資産形成を始めましょう。

8. 【監修者のコメント】この記事の総括と実務上の注意点

齊藤 慧
公的統計が示す「平均年金受給額」を確認するうえで、気をつけていただきたいのは、年金は「受給し始めた後も、インフレに対して完全にスライドして増えるわけではない」という点です。

現在の日本の年金改定ルールでは、物価や賃金が上昇しても、少子高齢化を反映した調整(マクロ経済スライド)が行われるため、購買力という実質的な価値は目減りしていく仕組みになっています。つまり、たとえ「平均値」以上の年金額を確保できていたとしても、生活水準を現役時代と同じまま維持しようとすれば、いずれ家計は破綻する可能性があります。

老後設計の基本は、自身の「正確な将来の受給見込額」を把握したうえで、不足する部分を『新NISAやiDeCoによる私的資産形成』や『定年後の継続就労』によって能動的に補填する計画を立てることにあります。

特定の平均データやネットの悲観論に振り回される必要はありません。具体的な受給見込みや受給開始時期の選択(繰り下げ受給など)については、自己判断せず、必ず事前に管轄の年金事務所などの公式窓口へ相談し、正確な事実に基づいてご自身の防衛ラインを構築してください。

参考資料

鶴田 綾