株式市場の振り返り-環境改善で4日ぶりに反発。ECB理事会待ちの一日。
2016年3月10日(木)の東京株式市場は4日ぶりに反発しました。日経平均株価は前日比+1.2%の上昇、TOPIXは+1.4%の上昇で引けています。また、東証マザーズ総合指数は+1.2%の上昇となりましました。
日経平均株価は、前日比+168円高の16,811円で寄り付きました。欧米市場が堅調だったことや、ドル円がやや円安で推移したこと、原油価格が上昇したことなどが背景にありました。その後、利益確定などの売りが出てやや軟調となったものの、結局、前場は前日比+163円高の16,806円で引けました。後場は概ね前場を上回る水準で推移し、一時は前日比+245円高となる場面が見られました。その後は上値が重くなり、前日比+210円高の16,852円で引けています。
東証1部で上昇したのは1,680銘柄、値下がり198銘柄、変わらず65銘柄でした。東証1部の出来高は19億8,326万株、売買代金は2兆431億円(概算)となっています。売買代金は2兆円割れ寸前となり、今年最低の薄商いを記録しました。
上セクター動向と主要銘柄の動き-31業種が上昇、電気・ガス業が大きく売られる。
東証で上昇したのは31業種、下落したのは2業種でした。上昇率上位は、パルプ・紙+3.3%、ゴム製品+2.9%、繊維業+2.7%でした。一方、下落したのは、電気・ガス業▲3.8%、不動産業▲0.3%のみでした。
関西電力(9503)は高浜原発の運転差し止めの影響を嫌気して大幅下落し、年初来安値をつけました。他の電力株も一様に大きく売られています。また、東芝(6502)の子会社、東芝メディカルシステムズの売却先として選ばれたキヤノン(7751)は材料出尽しで売られました。値動きの激しい小型株では、連日高騰していたマネーパートナーズグループ (8732)は、前日(9日)に続き大きく値を下げています。
本日のポイントと注目テーマと関連業種-大震災から5年を迎える日、“嵐の前の静けさ”が最終局面へ?
10日の東京市場は、原油価格の上昇などから堅調に推移しましたが、売買代金が今年最低となるなど、相場の活気が低下したままです。正しく、「閑散に売りなし」という状況でした。これはECB理事会、その後のECBドラギ総裁の会見待ちが強まったこと、また、11日(金)のメジャーSQ算出を控えていることから、様子見スタンスが顕著になったと考えられます。
さて、様子見スタンスが強い、強いと言っているうちに、いつの間にか、国内外の金融政策に関するイベントが“てんこ盛り”になっています。10日:ECB理事会(欧州)、14~15日:日銀の金融政策決定会合、15~16日:FOMC(米国)、18日:1月の金融政策決定会合の議事要旨公表、等々目白押しです。これだけ多くのイベントがあるならば、株式市場には何らかの動きが起きて然るべきでしょう。しかも、上昇にせよ、下落にせよ、大きな動きになる可能性は十分あります。逆に言うと、今週に入って顕著となった薄商いは、“嵐の前の静けさ”だったのかもしれません。いよいよ、この静けさも終焉を迎えるのでしょうか。
11日(金)の東京市場は、ECB理事会の結果で動きが大きくなる可能性はありますが、来週のイベントを控えて、引き続き、最後の“嵐の前の静けさ”となる可能性が高そうです。そのような中、10日は不振だった不動産セクターの反発、同じく10日に値を下げた電機セクターの一角の買い戻しなどに注目しましょう。
さて、本日11日で、東日本大震災の発生からちょうど5年が経過します。奇しくも、5年前の3月11日も金曜日でした。もしかしたら、昨今の静寂な相場は、この巡り合わせと何らかの関係があるのかもしれません。未曾有の大災害で犠牲になった方々に対し、改めて哀悼の意を表すると同時に、1日も早い復興を祈りたいと思います。
【2016年3月10日 投信1編集部】
■参考記事■
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LIMO編集部