結論から言うと、カーシェアリングは急成長しています。以下、全国のカーシェアリングの車両台数と会員数の推移を見てみましょう。
- 2006年: 118台、 1,712人
- 2010年: 1,265台、 15,894人
- 2013年: 8,831台、 289,497人
- 2015年:16,418台、 681,147人
- 2017年:24,458台、1,085,922人
- 2018年:29,208台、1,320,794人
- 2019年:34,984台、1,626,618人
このように市場は急拡大しており、特に人口減少が不可避となった2010年以降の拡大ペースが顕著であることが分かります。登録されている約163万人の会員全員がカーシェアリングを利用しているわけではないと思われますが、今後の活用に興味を持っていると考えられます。
“クルマを所有するのは大変だけど、クルマは何かと便利だ”という人には、最適のシステムなのかもしれません。
消費増税がさらなる拡大の起爆剤になるか?
一方で、ここ1~2年は、車両台数や会員数が大きく拡大しているものの、その増加ペースがやや緩やかになってきました。また、カーシェアリング事業の最大手(車両台数の約78%)である「タイムズ カー プラス」を運営するパーク24(東証1部 4666)が公表する月次報告データを見ても、爆発的な伸びは一巡して、やや頭打ち傾向になっています。
これは、都心部を中心とした地価高騰などにより、ステーション数の開発(増加)に苦戦しているためと推測されます。地価高騰を吸収して事業がさらに拡大するためには、カーシェアリングの認知普及を徹底させて、いっそうの会員数の増加が必要不可欠と言えましょう。
今年10月に消費増税が実施され、家計を預かる主婦の方を中心に、家計コストの見直しが行われると思われます。この見直しによって、クルマの維持費がコスト削減の対象となり、カーシェアリングがさらに拡大するトリガーになるのかどうか注目しましょう。
葛西 裕一