2019年7月31日に行われた、日本電気株式会社2020年3月期第1四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:日本電気株式会社 代表取締役 執行役員副社長 CFO 森田隆之 氏
セグメント変更の概要
森田隆之氏:みなさん、こんにちは、CFOの森田でございます。本日は多数の方にお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。2019年度第1四半期決算概要について説明させていただきます。
本日は最初に第1四半期の実績をご報告し、次に業績予想、最後にトピックスについて説明いたします。
なお、当社は2019年4月の組織再編にともない、2019年度第1四半期決算からセグメントの一部を変更しています。本日のご説明はこの新セグメントを踏まえて行います。過去実績についても組み替えて表示しております。
まず、セグメント変更の概要です。2019年4月の組織再編にともなう主な変更は、スライドに示しているとおりでございます。
《参考》セグメント変更の影響について
5ページは参考です。セグメント変更前後における2017年度実績、2018年度実績と、2019年度業績予想の変化を一覧にしたものでございます。
《参考》調整後当期利益実績(2017年度、2018年度)
また、6ページは四半期ごとの調整後当期損益の情報をお示ししています。
第1四半期 実績サマリー
第1四半期の売上収益は6,539億円、調整後営業利益は76億円となりました。税引前利益は58億円、調整後当期利益は58億円となりました。
売上収益はパブリック事業及び「その他」事業以外のセグメントで増収となり、前年同期に比べて6.7パーセントの増加になりました。調整後営業損益は「その他」事業を除く全セグメントで増益となり、全体で159億円の改善となりました。
日本航空電子工業株式会社において前年比で15億円の悪化、一過性要因によるNECネッツエスアイ株式会社の30億円の悪化がありましたが、構造改革効果で75億円、オペレーションで130億円が改善しました。
《参考》営業損益の調整項目について
8ページ、会計上の営業損益と調整後営業損益との調整項目の詳細についてお示ししています。ご参考としていただければと思います。
1Qの構造改革効果
9ページでは、構造改革の効果を示しています。2019年度第1四半期の構造改革効果は、総額で75億円となり、第1四半期から効果が割と出ていると考えています。
国内事業の動向
10ページでございます。第1四半期の国内事業の受注動向について説明させていただきます。パブリック・エンタープライズ・ネットワークサービスとも、第1四半期の受注は良好な結果となりました。
パブリックではマイナンバー関連の中間サーバ更新案件の獲得をはじめ、自治体・中央官庁・医療機関・放送局向けが好調でございました。
エンタープライズでは金融向けを中心として引き続きITサービスが堅調に推移しています。
また、ネットワークサービスは5Gの導入を睨んだ伝送路の整備が進んだため、固定ネットワークへの投資が活発化しており、国内の固定キャリア向けを中心に伸長いたしました。
パブリック
それでは次にセグメント別の実績を説明させていただきます。
(11ページはパブリックについてです。)売上収益は中央官庁、自治体、医療機関に向けたITシステム、放送局向けの設備で増加したものの、日本航空電子工業株式会社が減収となったことにより、前年同期に比べて1,803億円減少しました。
営業損益は、自治体向けITシステムや放送局向けの設備の売上増により、前年同期に比べて22億円改善し、52億円の利益となりました。
エンタープライズ
次にエンタープライズです。売上収益は、特殊要因としての内部の商流変更により「Office 365」を中心に約100億円計上されています。しかしながらそれを除いても、2019年度第1四半期は約6パーセントの増加となりました。
内訳としては金融業向けが10パーセント強の増加、製造業向けと流通サービスはほぼ前年並みとなっています。
営業損益は売上増により前年同期に比べて29億円増加し、67億円の利益となりました。なお、商流変更にともなう増益は軽微でありまして、前年同期に比べてSIサービスにおける収益性が改善していると考えています。
ネットワークサービス
13ページはネットワークサービスについてです。売上収益は、先ほどご説明したように5G導入を見据えた固定ネットワーク整備の活発化により増収となったことに加え、子会社のNECネッツエスアイ株式会社も増加しました。またITサービス領域も増加し、この結果、前年同期に比べまして11.6パーセント増加し、1,001億円となりました。楽天モバイル向けのビジネスも2019年度第1四半期の増収に寄与しています。
営業損益は、先ほど申し上げたようにNECネッツエスアイ株式会社で一過性の損失があったものの、売上増により前年同期に比べて37億円改善し、12億円の利益となりました。
システムプラットフォーム
次に、システムプラットフォームでございます。売上収益は、企業向けのパソコンを中心としたハードウェアと保守サービスが増加したことによって、前年同期に比べて14パーセント増となる1,143億円となりました。
営業損益は構造改革効果23億円に加え売上が増加し、2018年度の新製品立ち上げにともなう拡販費用が縮小したことにより、前年同期に比べて74億円改善し、47億円の利益となりました。
グローバル
15ページはグローバルについてでございます。売上利益は、KMDの新規連結により前年同期に比べ27.2パーセント増加し、1,142億円となりました。
営業損益はセーファーシティ、サービスプロバイダソリューション、ワイヤレスソリューション、海洋システムなどの各領域で改善し、前年同期に比べて60億円改善し、7億円の損失となりました。
グローバル事業の状況
グローバルの第1四半期実績は、全体では計画どおりの改善となっています。グローバルについてもう少し詳しく説明させていただきます。左の棒グラフはグローバルに含まれる主要事業の売上規模のイメージでございます。
セーファーシティはKMDの新規連結により前年同期に比べて大幅増収となりました。オーガニックは横ばいでございますが、こちらは第2四半期以降、空港IDの展開による増収を期待しています。また、海洋システムとエネルギーは2018年度の受注増を受けて増収となっています。
一方、年間の損益見込みにつきましては、エネルギーの収益改善状況とディスプレイの市場環境を考えるとリスクがあるため、先ほど申し上げたとおり収益改善計画についてはほぼオントラックで行こうと考えています。
フリー・キャッシュ・フローの状況
第1四半期のフリー・キャッシュ・フローは、前年同期に比べて大きく改善しているために、少し要因を説明させていただきます。
主な改善要因は営業キャッシュ・フローによるもので、調整後営業利益が160億円、期末債権残の回収にともなう運転収支が約180億円改善しました。加えて、IFRS第16号の適用により130億円の影響がありますが、これは実質的な改善ではありません。
これらの結果、フリー・キャッシュ・フローは前年同期に比べて473億円の改善となりました。
業績予想サマリー
続いて、2019年度の業績予想について説明させていただきます。19ページをご覧ください。
年間の業績予想は4月26日に公表した計画から変更ありません。セグメント別の内訳は7月10日に公表したセグメント変更を反映したものとなっています。
経営トピックス
最後にトピックスを紹介させていただきます。まず、経営トピックスでございます。本日、NAJホールディングス株式会社と日本アビオニクス株式の公開買付けに対する応募契約を締結いたしました。この公開買付けが成立した場合、日本アビオニクスはNECの連結子会社から外れることになります。NECの業績に対する影響は軽微と考えています。
本件によって、日本アビオニクスがNECグループ外でのさらなる事業拡大を果たし、さらに成長を実現することを期待しています。
事業トピックス
事業のトピックスについていくつかご報告したいと思います。NECはスターアライアンスと、顔認証を活用した本人確認プラットフォームの開発において協業を開始いたしました。今後、スターアライアンスとの共同開発を進め、2020年3月までにサービスを開始する予定でございます。
そのほかに当社は、2019年5月に開催されたEU首脳会議の要人入場管理向けの顔認証システムを提供するなど、セーファーシティ事業拡大に繋がる成果が着実に増加していると考えています。
国内でも主要6空港で利用される、顔認証を活用した税関検査場の電子申告ゲートを受注しており、今後の国内外での事業拡大の足掛かりにしたいと考えています。
また、ヘルスケア事業強化につきましてはノルウェーのバイオテクノロジー企業を買収しました。OncoImmunity AS社の機械学習を応用した、ソフトウェアを活用したがん抗原の予想サービスと、NECの創薬事業とのシナジー創出をさらに進めてまいります。
私からのプレゼンテーションは以上でございます。ご清聴ありがとうございました。