25日、ソフトバンクグループ(9984)が再び年限35年の個人向けハイブリッド債を準備していることが明らかとなりました。

4月に4,180億円が発行された前回債と同一スキームであり、今回の予定額は2,600億円です。本債券は形式上の満期こそ35年ですが、発行から5年が経過した時点で発行体の判断により元本を払い戻すことができる「期限前償還条項」が付帯されています。そのため、投資実務上は「5年債」に近い性質を持つのが大きな特徴です。

提示された利率の仮条件は4.80~5.60%。前回債の4.97%を上回る水準が意識されていますが、その背景には市場金利の上昇があります。指標となる5年国債利回りは、前回条件決定時の4月には1.7~1.8%台でしたが、足元では一時2%を超えたのち1.9%台半ばで推移しています。

このように、法的弁済順位が低い「劣後特性」への対価(リスクプレミアム)に加え、市場全体の金利上昇分も反映された条件提示となっています。投資家は、高い利回りと発行体の信用リスクを冷静に天秤にかける必要があるでしょう。

条件決定は6月5日、申込期間は2026年6月8日~18日。

取扱証券会社はSMBC日興証券と三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SBI証券、野村証券、みずほ証券、東海東京証券、水戸証券、岩井コスモ証券の8社です。

次のページではハイブリッド債の注意点をみていきましょう。

今回の新発債の正式名称は「第9回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」です。

一般的な普通社債よりも高い利回りが期待できる反面、あらかじめ知っておくべき特有の「注意点」が3つあります。

  • 普通社債に比べて返済順位が低い(劣後特約)

万が一、同社(以下、発行体)が経営破綻などを起こした場合、通常の社債や借入金への返済が優先され、この債券への返済は後回し(劣後)になります。投資元本が戻ってこないリスクが通常の社債より高い分、金利が上乗せされています。

  • 利息の支払いが「停止(先送り)」される可能性がある(利払繰延条項)

発行体の財務状況などによっては、発行体の任意の判断で利息の支払いがストップ(繰り延べ)される可能性があります。毎期決まった利金収入を確実にあてにしている方は注意が必要です。

この「停止」は、基本的には支払時期が「繰り延べ(後回し)」になる仕組みであり、後回しにされた期間分も追加で利息が計算されます。ただし、目論見書には「未払金額の全部の支払を受けることができない可能性」についても明記されており、発行体の業績等によっては、最悪の場合、繰り延べられた利息の一部または全部が最終的に支払われない(消滅する)リスクも潜んでいる点には十分な注意が必要です。

  • 最長35年間資金が拘束される可能性がある(実質的には5年想定)

最終的な満期は35年後となる2061年です。ただし、5年後の2031年に発行体の裁量で早期償還(元本返済)できる特約が付いています。5年後に償還しないと金利が上がる仕組みがあるため、実質的には「5年債」として扱われるのが一般的ですが、最悪の場合は長期間換金しづらくなるリスクも考慮しておく必要があります。

ソフトバンクグループの劣後債の発行要項案1/1

ソフトバンクグループの劣後債の発行要項案

出所:提出書類より筆者作成

参考資料

高原 祥子