世界的な地政学リスクの台頭やインフレ基調が続く中、インフレに強い「実物資産」として金(ゴールド)への注目度が増しています。

金は株式のように配当を生まないものの、その歴史的な希少性から価値がゼロにならない点が大きな強みとされています。

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出所:田中貴金属工業「金価格推移」をもとにLIMO編集部作成

出所:田中貴金属工業「金価格推移」をもとにLIMO編集部作成

今回は、過去の特定の10年間において定期的な積立投資を行った場合、資産がどのように推移したのかを実際の実データを用いて客観的に振り返ります。将来に向けた多様な資産形成のあり方を考える一助として、市場の足跡を確認してみましょう。

1. 【実データ検証】2016年からの10年間における純金積立の運用パフォーマンス

値動きがある資産に対して、購入時期を分散して一定額を買い続ける積立投資(ドル・コスト平均法)は、長期的な資産形成の定番アプローチです。

ここでは、2016年春からスタートした10年間の具体的なシミュレーション結果を公開します。

金価格の歴史的な高騰が、毎月の積立成果にどのような影響を与えたのか、実数値を詳しく見ていきましょう。

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LIMO編集部作成

LIMO編集部作成

1.1 シミュレーションの基本条件と期間

  • 開始・終了:2016年4月 〜 2026年3月
  • 積立期間:10年間
  • 毎月の積立額:5,000円 
  • 投資元本(合計):600,000円

購入手数料1.7%で試算

1.2 購入価格と現在の買取価格の比較

  • 期間中の平均購入価格:1gあたり8,889円
  • 現在の金買取価格:1gあたり25,664円

1.3 最終的な運用実績と資産の推移

  • 最終的な評価金額:1,702,858円
  • 運用による利益:1,102,858円
  • 資産の増加率:183.8%増

ご紹介したデータ通り、対象期間における金相場の上昇基調を背景に、最終的な評価金額は投資元本を大きく上回る結果となりました。このように長期にわたって資産を保有し続けた場合の影響が、明確な数値として表れています。

2. 利益確定前に要チェック!金投資の窓口によって変わる税金と優遇制度

金投資によって得られた運用益(売却益)には、当然ながら税金が発生します。

ただし、どのような投資手段や取引窓口を選択するかによって、課税される所得の区分や計算方法、さらには税制優遇制度が受けられるかどうかの条件が大きく異なります。

それぞれの性質を事前に把握し、自身の投資スタイルに適した窓口を選ぶことが大切です。

2.1 純金積立(現物・銀行系積立)

手物での引き出しや現物保管を伴う一般的な純金積立では、売却によって得た利益は原則として「譲渡所得」の対象となります。

この区分では、年間50万円までの特別控除が認められているほか、保有期間が5年を超えた状態で売却すると、課税対象となる所得額が半分に減額されるという強力な税制優遇が存在します。ただし、投資優遇制度であるNISA口座の利用は対象外となっています。

2.2 金ETF・投資信託

証券口座を通じて市場で売買する金ETFや、貴金属を対象とした投資信託の場合、得られた利益は「申告分離課税」の対象です。

上場株式や他の投資信託などの譲渡損益と相殺(損益通算)できる点がメリットです。

さらに、税制優遇制度であるNISA(成長投資枠)を活用して購入できるため、一定枠内であれば得られた利益をすべて非課税に抑えることができます。

2.3 金CFD(レバレッジ)

一定の証拠金を預けることで比較的少額からでも大きな金額の取引ができる金CFD(差金決済取引)は、高い資金効率が特徴の取引手法です。

発生した売却益は「申告分離課税」に分類されますが、現物積立のような長期保有(5年超)に伴う所得の半減優遇措置などは適用されません。また、NISA口座での取引を行うこともできません。

3. ポートフォリオにおけるゴールドの役割!シミュレーション結果をどう捉えるか

今回の10年間にわたるシミュレーション結果は非常に高いパフォーマンスを示しましたが、これはあくまで金価格が堅調に推移した特定の過去データによるものです。

金投資は市場の混乱や物価上昇へのリスクヘッジとして機能する一方で、それ自体が配当や利息を生まない資産であるため、エントリーするタイミングや為替・世界情勢の変動によっては、元本を割り込むリスクがあることも忘れてはなりません。

健全な資産形成においては、ひとつの資産に資金を偏らせるのではなく、預貯金や国内外の株式、債券などといった異なる性質を持つ資産と適切に組み合わせ、分散投資を図ることが基本となります。

各種制度の税制面におけるメリット・デメリットを冷静に比較衡量し、自身の生活基盤や許容できるリスクの範囲内で慎重に検討を進めていくことが推奨されます。

【免責事項】

  • 投資にはリスクが伴います。
  • 本記事は、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。

参考資料

ファイナンス部