金利上昇の話題が増えるなか、「預金以外で安全に資産を置いておく方法はあるのか」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
そうした中で注目されているのが、日本政府が発行する「個人向け国債」です。
個人向け国債は、元本と利息の支払いを国が行う仕組みで、安全性を重視した資産運用先として利用されています。
本記事では、個人向け国債の基本的な仕組みや最新金利、定期預金との違いや活用に向いているケースについて詳しく確認していきます。
1. 日本政府が発行する「個人向け国債」とは?
個人向け国債は、財務省が発行する債券で、個人による資産運用を想定してつくられた金融商品です。
国が元本と利息の支払いを行う仕組みのため、金融商品の中でも信用力が高い運用先とされています。
個人向け国債には、「変動10年」に加え、満期まで金利が固定される「固定5年」「固定3年」が用意されており、目的に応じて選べる点が特徴です。
1.1 変動金利タイプ「10年満期」の特徴
- 半年ごとに適用金利が見直される
- 最低金利として年0.05%が保証されている
- 市場金利が上昇すると、受け取る利息が増える可能性がある
1.2 固定金利タイプ「5年満期」の特徴
- 発行時に決まった金利が、満期まで変わらず適用される
1.3 固定金利タイプ「3年満期」の特徴
- 発行時に設定された金利が、満期まで一定となる
では、最新となる2026年5月募集分の個人向け国債では、どの程度の金利が設定されていたのでしょうか。
2. 【最新の金利】2026年5月募集の「個人向け国債」の金利は?
2026年5月募集(6月発行)の個人向け国債では、固定5年タイプが年1.89%と、3タイプの中で最も高い金利となりました。
続いて、変動10年タイプが年1.67%、固定3年タイプが年1.57%となっており、いずれも1%台の利率が設定されています。
募集期間は2026年5月14日から5月29日までで、利払いは毎年6月15日および12月15日の年2回行われます。
近年では、日本銀行の利上げや市場金利の上昇を背景に、個人向け国債の金利水準も以前より高まっており、「元本割れリスクを抑えながら運用したい」と考える人にとって、選択肢の一つとして注目されています。
なかでも変動10年タイプは、市場金利に応じて受け取れる利息が変わる仕組みとなっています。
3. 「3種類の個人向け国債」で最も応募が集まったのは?
2026年1月8日に財務省が公表した、2025年12月時点における個人向け国債の「種類別応募額」を確認してみましょう。
- 個人向け利付国庫債券(変動 10年)第189回債:2112億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 5年) 第177回債:2136億円
- 個人向け利付国庫債券(固定 3年) 第187回債:785億円
3種類の中では、固定5年タイプが最も多くの応募を集めており、高い人気がうかがえます。
続いて、個人向け国債「変動10年」の適用利率がどのように推移してきたのかを見ていきましょう。
4. 個人向け国債「変動10年」の適用利率はどう推移している?
個人向け国債の「変動10年」は、半年ごとに金利が見直される仕組みとなっています。
2024年3月にマイナス金利政策の解除が決まって以降、日本の金利環境は緩やかな上昇傾向にあります。
こうした流れを受けて、個人向け国債の変動金利がどのように推移してきたのかを確認していきましょう。
個人向け国債「変動10年(第158回)」適用利率の推移
- 令和5年6月16日から令和5年12月15日:0.28%
- 令和5年12月16日から令和6年6月15日:0.60%
- 令和6年6月16日から令和6年12月15日:0.57%
- 令和6年12月16日から令和7年6月15日:0.65%
- 令和7年6月16日から令和7年12月15日:0.84%
- 令和7年12月16日から令和8年6月15日:1.10%
変動10年の第158回債は、発行当初の適用利率が0.28%でしたが、その後は上昇傾向となり、現在は1.10%まで高まっています。
ただし、変動金利型であるため、今後も利率が上がり続けるとは限りません。
市場環境によっては、適用利率が低下する可能性もあるため、その点には注意が必要です。
5. 「個人向け国債」や「定期預金」以外の選択肢を検討したい場合も
個人向け国債や定期預金は、安全性の高さに加え、金利による収益が期待できる点が特徴です。
一方で、状況によっては、ほかの金融商品も視野に入れたいケースがあるかもしれません。
5.1 物価上昇(インフレ)への対応を重視したい場合
資産運用を考えるうえで、「実質的な資産価値を維持できるか」は重要な判断材料となります。
インフレが進行している局面では、個人向け国債の利息収入(名目利回り)だけでは、物価上昇のペースに十分対応できない場合があります。
そのため、リスクは高まるものの、より高いリターンが期待できる、またはインフレに連動する特徴を持つ金融商品(株式・投資信託・不動産など)のほうが、実質的な資産価値を維持しやすい可能性があります。
5.2 より高い収益を目指したい場合
ここでポイントとなるのは、「機会損失をどこまで許容できるか」です。
一般的に、安全性が高いとされる個人向け国債や定期預金は、利回りが比較的低くなる傾向があります。
そのため、資金を個人向け国債や定期預金に置くことで、高金利の個人向け社債や高配当株など、より高い利回りが期待できる商品へ投資する機会を逃す可能性(=機会損失)が考えられます。
6. 個人向け国債は「安全性」と「使う時期」を踏まえて選ぼう
本記事では個人向け国債の「2026年5月募集分の最新条件」を整理するとともに、変動10年の仕組みや過去の金利推移について解説しました。
変動10年は金利上昇局面で利息増加が期待できる一方、固定タイプは購入時の金利が満期まで維持される安心感があります。
また、定期預金と比べる際は、資金をいつ使う予定なのか、金利変動をどう考えるのかが重要な判断材料となります。
さらに、資産全体のバランスを考えた場合、安全資産として組み入れる選択肢も考えられるでしょう。
ただし、中途換金時の条件やインフレ時の実質的な資産価値など、注意すべき点もあります。
資金の用途や運用期間を整理し、自身に合った方法を選べるとよいでしょう。




