目先意識されやすい21,500円を回復
2019年7月26日の日経平均株価の終値は、前日より98円40銭安の21,658円15銭となりました。4日ぶりの反落です。
25日までは3日続伸で、25日の終値は21,756円55銭と、5月7日以来およそ2カ月半ぶりの高値を付けました。背景には米株が好調なことが挙げられます。ダウ工業株30種平均は高値圏でもみ合う動きですが、27日にはS&P500種株価指数、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数がともに過去最高値を更新しました。
今週以降の動きはどうなるでしょうか。米中貿易協議については今週、閣僚級の協議が再開される予定で、進展が期待されます。このほか、今週は材料が多く、29〜30日には日銀の金融政策決定会合、30~31日には米連邦準備制度理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれます。
FOMCでは10年半ぶりに利下げが決まる見通しです。0.25%の利下げ実施が見込まれていますが、市場ではすでに織り込み済みで、過度な緩和期待が先行しているという声もあります。利益確定売りなども出やすい局面なので注意したいところです。
今週はこのほか、31日には米7月ADP雇用統計、EU域内4-6月期GDP、8月1日には英イングランド銀行金融政策発表、米7月ISM製造業景況指数、2日には米7月雇用統計などと、重要指標の発表が続きます。
一つ懸念されるのは、日経平均は最近、薄商いが続いていることです。26日の東証1部の売買代金は概算で1兆7301億円と、6日連続で2兆円を割り込んでいます。指標の結果や米株の動向などを受けて、急に上下に振れることもあるので注意したいところです。
ただ、21,500円台を回復したことから、投資家の間では買いが優勢だと思われます。米国の決算発表に続き、日本企業の決算発表も本格化します。週末の為替相場は1ドル=108円中盤で落ち着いていることから、業績のいい輸出関連企業などでは買いが進むのではないでしょうか。積極的にチャンスをつかみたいところです。
主要な移動平均線を回復、目線は上へ
先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週末の19日には大きな陽線引けとなり、75日移動平均線、25日移動平均線を回復しました。
先週は、両線を維持できるかどうかがポイントでした。ところが22日には窓をあけて下落。ヒヤリとさせられましたが、後場にかけて長い下ヒゲとなって上昇、結局は陽線で引けました。投資家の迷いが感じられますし、翌日以降反発する可能性が高い形です。
実際に翌23日は大きな陽線となって上昇。週末にかけてはやや調整となりましたが、高値圏で引けました。
今週以降の展開はどうなるでしょうか。大きな特長として、25日線、75日線、200日線と、主要な移動平均線をすべて突破したことが挙げられます。このあたりは過去にもみ合ったところであり、節目になりがちな21,500円にも重なります。ここを超えたことで、上値抵抗線から下値支持線に転換することが期待されます。
25日線が75日線を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成されているのもチャートとしてはいい形です。ちなみに、25日線と75日線のゴールデンクロスが点灯するのは3月5日以来です。前回のゴールデンクロス点灯では22,362円(4月24日)まで上昇しました。今回も、上値メドとしてはここまで期待していいと思います。
その先、23,000円はまた、過去に売買が積み上がっているところで簡単には突破できないでしょうが、そこまではするすると上昇する可能性もあります。逆に下値めどとしてはサポートラインの25日線、75日線が集まる21,500円あたりになるでしょう。
下原 一晃