中国やアジア諸国の追い上げで、日本は経済的にその地位を脅かされているような気がします。たとえば、中国の経済成長率は下がったといっても年率6%を超えていますし(日本は1%そこそこ)、台湾やシンガポールには金持ちがゴロゴロ…なんて話を聞くと、なんか自信を失っちゃいますよね。

ところが、国を“会社”と見立てて比べてみると、日本のスゴイ一面が見えてきます。今回はそんな話です。

国をバランスシート(貸借対照表)で考えると、日米は“債務超過”

儲かっているかどうかを企業で考えると、黒字かどうかということですね。売り上げからいろいろな費用を除いて、お金が残っているのなら黒字です。世の中には、1年だけ儲かった一発屋というのも数多く存在しますが、国が健全に運営されるには1年だけではダメです。継続的に黒字で、それがうまく引き継がれて再投資され、また黒字を継続するというのが理想ですね。

ところが、財布にはお金が入ってきても、借金ばっかりと言うこともありえます。ということで、まずは世界経済のビッグ3である、米国、中国、日本のバランスシートを見ていきましょう。

図表1:米国、中国、日本のバランスシート

出典:米国はBureau of the Fiscal Service、中国はBIS、日本は財務省のデータを参照


ありゃ? にわかには信じられないデータですが、中国が大幅な資産超過で、米国と日本は債務超過になっています。中国のバランスシートが日米の倍以上というのも信じられませんが、中国の資産の半分程度は金融資産以外で国が保有している資産です。

中国が保有している資産の価値はそんなに高いのかなあ…という感じではありますし、あれだけ国を挙げてインフラ整備しているのに負債が少ない、というのも何かカラクリがあるのでは?と勘ぐってしまいますね。

一方、日米は債務超過。両国ともどこからか借金をしているということになります。米国の場合、負債のうち約6割は米国債となっています。つまり、これらは米ドル建ての米国政府保証の債券ですね。

米ドルは世界の基軸通貨ですから、米国政府(財務省)は米ドル建て米国債を誰にでも売ることができますし、日本も中国も買う超人気金融商品なわけです。

ですから、米国の財政は誰かが米国債を買ってくれる限り、借金中心でも全く問題ないのです(というか、借金本位制が米国の立ち位置。これが、トランプ大統領がどんなわがままを言おうとも、米国がうまくやっていける理由の一つ)。

日本も負債のうち約8割はやはり国債です。日本の財政も資産を支えているのは国が発行する債券ということになります。これを聞くと、日本は借金過多でいつか破綻すると思っている方が多いのですが、このバランスシートには国の子会社である日本銀行が含まれていません。

経済学者の高橋洋一先生によると、日銀を入れた連結バランシートでは、政府の国債による負債は150~200兆円ということですから※、実質的な負債はほとんどないという論も成り立ちます。つまり、借金で日本が沈没する恐れはないということです。めでたし、めでたし。

※参考 『「日本の借金1000兆円」はやっぱりウソでした~それどころか…』(2015年12月28日付、現代ビジネス)

国をキャッシュフロー(損益計算書)で考えると、日本は銀メダル

日本の破綻はないとして、稼ぐ力はどうなっているのでしょう。国としてのキャッシュフローですね。いくらバランスシートが“健全”と言っても、稼げなければNGです。ま、これは “経常収支”を見れば比較的わかりやすくなっています。