参議院選挙や企業の決算発表を前に様子見ムード

2019年7月12日の日経平均株価の終値は、前日より42円37銭高の21,685円90銭となりました。前日の米ダウ工業株30種平均が最高値を更新したことから連れ高となりました。ただ、3連休を前に利益確定売りも出て伸びは小幅でした。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米株は好調です。12日(日本時間13日)のダウ平均は前日比243ドル高の27,332ドルとなり、連日で過去最高値を更新しました。S&P500種株価指数、ナスダック総合株価指数も堅調です。

背景には連邦準備制度理事会(FRB)による、金融政策緩和への期待があります。10~11日にパウエルFRB議長が議会証言を行い、利下げ方針を明らかにしました。

今月末に行われる連邦公開市場委員会(FOMC)で、約10年ぶりに利下げが行われると見られています。そうなると、投資家がリスクを取り、株式市場に資金が流入することになるでしょう。

ただし、ここで注意すべきは、今回の利下げにトランプ米大統領の緩和圧力が見え隠れするところです。再選を目指し、なんとしてでも結果を出したいところでしょうが、形だけ数字を整えても実体が伴わなければ後でしっぺ返しをくらう可能性もあります。

日本株にとって心配なのは、米国株が高値を更新しているにもかかわらず出遅れ感があることです。

足元では、21日に投開票が行われる参議院選挙の結果を見極めたいという動きがあることに加え、10月に予定されている消費税引き上げの影響なども懸念されています。利下げ観測によりドルが売られ、円高傾向になっていることも日本株にとってはマイナス要因です。

日本では今週から企業の決算発表が本格化します。しばらくは個別企業の発表に一喜一憂するような動きになるかもしれません。15日は「海の日」の祝日で日本市場は休場ですが、米国など海外市場は動いています。米株がさらに最高値を更新するようなことがあれば、16日は買いから考えてもいいでしょう。

高値圏で小幅にもみ合っているが、目線は上に持ちたい

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。7月の相場は、75日移動平均線を回復する動きから始まりました。大きなポイントはこれを維持できるかどうかです。現状は75日線に下値をサポートされるような堅調な動きになっています。ただし、上値も重く、小幅にもみ合っているような状態です。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。チャートの形は悪くありません。直近のチャートは6月4日の安値(20,289円)を底とする上昇トレンドになっています。

先週にはいったん、7月1日にあけた窓を埋めるような動きもあったのですが、トレンドラインの下限であり窓埋め直前となるあたりで反発。結果的にはセオリー通り、押し目買いの好機でした。

また、25日線が75日線に近づき、ゴールデンクロスが形成されようとしています。目線は上に持っていいでしょう。

ただ、今のところローソク足の実体は、上は7月2日の高値(21,784円)と、下は意識されやすい21,500円に挟まれた狭いレンジの中にあります。本格的に出動するならば、21,784円を超えてからでも遅くはないでしょう。その後、22,000円を前にやや抵抗はあるかもしれませんが、抜けてしまえば視界が広がっています。

逆に下値めどとしては75日線の21,437円付近や、25日線の21,379円付近となりますが、よほどインパクトのある悪材料が出ない限り、今週早々にこれらを割り込むことはないと考えられます。

むしろ、日本株に出遅れ感がある中、一段上のステージに急に上昇する可能性もあります。柔軟に対応できるよう備えたいところです。

下原 一晃