まずは、ヒラ社員のままでいたいと考えている人の意見を聞いてみましょう。
・「スキルアップはしたいが、出世したいわけではありません。『もしものときに役立つスキルがあれば』と思っているだけで、出世欲とは別物です」
・「仕事も大切だけど、家族や趣味に使う時間もキープしたい。出世すれば自分のこと以外に費やす時間も多くなるので、プライベートを満喫できなくなってしまう」
・「管理職になると、多くの書類に目を通さなければならない。承認を求められる場面が増え、会議の参加回数も一気に多くなる。そう考えると、管理職になりたいという気持ちは薄れていきます」
・「上の立場になったら、周囲の人たちをマネジメントする力が問われてしまう。実際に部下たちの人間関係などに苦労している人を見てきたので、自分はやりたくないと感じました」
・「管理職なりの責任を取らないといけない、それなのに自分で判断できる場面は少ない…。そんな状況で働いている上司が辛そうで、『自分には無理だな』と悟りました。たとえお金をもらえたとしても、こんな風になってしまうのは避けたいです」
出世後に苦労している人を見ると、出世に対する意欲が低下してしまうのも無理はないのかもしれません。スキルを磨ける、生活できるだけの収入があるという環境なら、その状態を保とうとするのも間違いとはいえないのかもしれません。
「出世をすれば給料が上がる」とは限らない
出世によって得られる大きなメリットといえば、「給料が上がること」ではないでしょうか。しかし、ポジションが変化しただけで給料には反映されないという場合もあります。
たとえば、若手社員が高評価を得て先輩を越えたポジションになったのに、給料は先輩のほうが高いというケースも。そんな状況を見て、「出世にとらわれていない先輩がうらやましい」という声も耳にします。
せっかく評価を認められたのに給料は変わらない。そして出世しないままの先輩は、このまま定年まで安定した給料をもらい続けられる。この状態では、若手社員の出世欲も低下していく一方でしょう。
終身雇用制度に期待していない世代、出世よりも大切にしているもの
「出世したくない」=「サボりたい精神がある」とはなりません。終身雇用制度の維持が困難になりつつある現代、1つの会社に定年まで勤めあげることを目標としている人は少ないのかもしれません。そのため出世欲も高くないのでしょう。
新入社員などの若い世代ほど、転職にネガティブな印象はないのかもしれません。転職や独立でキャリアアップを目指している人は多く、「会社で生き残る能力」よりも「社会で通用する力をつける」ことを重視しているのかもしれません。
LIMO編集部