6. 働き方で変わる、将来の年金額シミュレーション
働き方や生き方が多様化する現代において、「将来、自分はいくら年金を受け取れるのだろう」と気になる方も多いでしょう。
厚生労働省は、年金改定の発表とあわせて、さまざまなライフコースに応じた年金額の試算例を公表しています。
ここでは、年金加入歴を5つのパターンに分け、「2026年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算が示されています。

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
6.1 ケース1:厚生年金中心の男性
年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与を含む月額換算。以下同じです。
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
6.2 ケース2:国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性
年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
6.3 ケース3:厚生年金中心の女性
年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
6.4 ケース4:国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性
年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
6.5 ケース5:国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性
年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
これらのデータからは、厚生年金への加入期間が長く、現役時代の収入が高かった人ほど、老後に受け取る年金額が多くなる傾向が明確にわかります。
現役時代に国民年金中心だったか、厚生年金中心だったかによって、老後の年金水準は大きく異なるのです。
働き盛りの世代にとって、現在の働き方や収入は、目先の家計だけでなく、将来の年金額を左右する重要な要素と言えるでしょう。
7. まとめ
この記事では、公的データをもとに65歳以上の無職夫婦世帯の家計や貯蓄、年金の平均像を見てきました。
データによれば、平均的な家計は毎月約4万2000円の赤字である一方、平均貯蓄額は2500万円を超えています。
この背景には、一部の資産を多く持つ世帯が平均値を引き上げていること、そして多くの世帯が貯蓄を取り崩しながら生活している現実があると考えられます。
実際に、生活意識調査では半数以上が暮らしに「苦しさ」を感じていると回答しており、データだけでは見えないシニアのリアルな姿が浮かび上がります。
平均はあくまで一つの目安です。大切なのは、ご自身の年金見込額を正確に把握し、ご自身のライフプランに合わせた備えを考えることです。
まずは「ねんきんネット」などでご自身の記録を確認し、将来の生活設計を具体的に描いてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果の概要-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
中本 智恵