すぐに体調を崩す。毎朝不機嫌。学校でケンカばかりする。勉強しない。便秘、肥満……。
子育て中に起こる様々な“子どもの困った”に頭を抱えている親は多いと思います。子どもは可愛いし、親の思い通りにならないのもわかっている。でも毎日のように発生する子どものトラブルに、思わず声を荒げて叱ってしまい、自己嫌悪に陥る……。
そんな人は子どもの睡眠を見直してみてください。
実は、子どもの体調面のトラブルも、勉強や、感情面の問題も、睡眠が原因で起こっている可能性が高いのです。
あなたのお子さんは十分な睡眠時間がとれていますか?
時間は十分でも正しく眠れていると言えますか?
4月に発売した書籍『子どもが幸せになる「正しい睡眠」』には、子どもにとって睡眠がいかに大切か、ということが書かれています。その中からいくつかの参考事例をご紹介します。
まずは大人が「正しい睡眠」を知ることが大切
夜になったら何となく子どもを寝かせている、という親は多いと思います。
しかし、実は子どもの睡眠と大人の睡眠では役割が違うのです。子どもにとって睡眠は、脳の発達に欠かせないものです。
また、年齢によって脳をきちんと発達させるために必要な睡眠時間は異なります。大人は、まずは子どもの睡眠の役割をしっかりと理解し、年齢に合った睡眠時間をとらせることが重要です。
小学生なら10時間は寝かせたい
十分な睡眠時間とは、深い眠りのノンレム睡眠と、浅い眠りのレム睡眠を4~5回繰り返す睡眠のこと。
小さい頃は、大人と違ってノンレム睡眠とレム睡眠のリズムが定まっておらず、効率よく繰り返せないため、大人よりも多めの睡眠時間が必要となります。小学生の理想の睡眠時間はだいたい10時間前後です。
しかし日本の小学生の平均睡眠時間は、これよりも約2時間も少ないことが調査によりわかっています。親の都合で子どもの睡眠時間を削ってしまっているご家庭は要注意です。
睡眠のリズム作りは「朝起きる」ことから始める
本書では具体的な睡眠の整え方も紹介されています。
例えば、幼稚園から小学校に上がり、毎朝起きられず、ぐずって大変な小学1年生の男の子の場合は、週末に早起きリズムを作ることをアドバイス。
夜寝かせることからではなく、朝起こすことから改善していく方がリズムが作りやすくなります。また、時間がある週末や長い休みを利用した方がリズムの改善がしやすくなります。
勉強よりも睡眠が大切なわけ
子どもの勉強の問題についても、睡眠が大きく関わっています。受験や成績不振のため夜遅くまで塾に通わせている親も多いと思います。成績が思ったように伸びないと、さらに塾の時間を増やしたりしてしまいがちですが、勉強時間をやみくもに長くすることは全くの逆効果なのです。
学習は脳で行うものであるため、その効率化のためには睡眠が不可欠です。記憶の整理と固定は睡眠中に行われるため、正しい睡眠をとらないとせっかく勉強した内容が定着しないばかりか、新しい知識も入りにくくなります。
毎日当たり前のように寝ているため、睡眠については気にかけている人が少ないと思います。しかし、子どもにとって睡眠は脳を育てるためにとても大切な生活習慣なのです。塾やその他の習い事も大事かもしれません。しかし1日は24時間しかありません。限られた時間の中で何を優先させるかを決めるのは親の大事な役目です。「睡眠」を第一にした子育てで、“子どもの困った”を解決してください。
成田 奈緒子・上岡 勇二(著)
産業編集センター