G20や米中首脳会談を控えた様子見が続く

2019年6月28日の日経平均株価の終値は、前日より62円25銭安の21,275円92銭となりました。

先週の週初24日は、米株式相場の先高観から日本株も連れ高となりました。週末の米中首脳会談により両国の貿易摩擦問題が改善されるのではないかという期待感が投資家の間に広がったようです。ただし、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)や、実際の米中会談の内容を見極めたいといった様子見ムードから、小幅な値動きに終始した1週間でした。

商いも薄く、24日の東証1部の売買代金は概算で1兆4115億円と、2014年12月26日以来、約4年半ぶりの低水準でした。また、25日、26日も2兆円割れとなっています。

今週以降の動きはどうなるでしょうか。米国のトランプ大統領と中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は29日、大阪市内で会談を行い、5月から途絶えている貿易協議を再開することで合意しました。

トランプ氏はさらに、3千億ドル(約33兆円)分の中国製品への追加関税を先送りすることや、ファーウェイ(華為技術)への米国企業による部品販売も認める方針を明らかにしました。

毎度のことながら、トランプ氏の言動に相場が振り回される展開になっています。ただ、今回の会談では具体的な期限などが示されなかったことから、問題解決がただちに進展するかどうかは疑問です。現状は、いったんの休戦といったところでしょう。

米中の貿易協議の進展には不透明感があるものの、市場は悲観的ではなく、むしろ期待感が感じられます。

足元ではやはり、連邦準備制度理事会(FRB)が7月末に利下げするかどうかが注目されそうです。すでに織り込み済みといった見方もありますが、パウエル議長からは、過度な利下げ期待をけん制する発言も出ており、注意が必要です。

今週末には6月の米雇用統計も発表されます。結果によってはFRBの利下げの判断にも影響を与えるでしょう。

75日移動平均線と25日移動平均線に挟まれ小幅な値動き

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。結論から言えば、上下の動きはあったものの、終値ベースでは値幅が250円程度の小さな値動きでした。

細かく見ていけば、窓あけがあったり、長い陽線があったり、十字線があったりと、ローソク足の形を分析することもできますが、先週はむしろ、上は75日移動平均線、下は25日移動平均線の間を小幅に行ったり来たりといった動きと見ることができます。

今週以降の展開はどうなるでしょうか。日足を見ると、直近のチャートは三角形のペナントのような形になっています。ペナントの形では、だんだん値幅が小さくなって収束し、その後はペナントの上下どちらかに抜けていきます。価格がペナントの中にあるときはもみ合いになり方向感が出しにくくなります。

現状は上下幅も小さいので、売買の判断はペナントをどちらかに抜けてからのほうがいいでしょう。その場合の上値メドは6月27日の高値(21,338円)、下値メドは6月26日の安値(21,035円)あたりになるでしょう。確度を高めるなら、75日線(21,400円付近)、25日線(21,100円付近)を上下どちらかに抜けてからということになります。

さらに6月21日の高値(21,497円)を抜けると、6月4日の安値(20,289円)を底とする上昇トレンドラインの高値が更新されることになりますので、目線を上に持つことができます。

逆に言えば、6月4日の安値を割り込むまでは、下降トレンドが形成されません。調整する局面があったとしても、押し目買いの好機になるでしょう。

下原 一晃