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1月29日(金)22時30分発表予定の米国10-12月期GDPに注目です。

米国10-12月期GDP成長率(前期比年率)の市場予想は足元で下方修正が相次いでいます。

米国10-12月期GDP成長率(前期比年率)の市場予想は+0.8%となっています。

2016年1月29日(金)22:30発表予定の米国10-12月期GDPの動向に注目

年明けから世界的な株安が進行する中、米国GDP(国内総生産)に対する関心が一段と高まっています。

GDP見通しは、外国人投資家が投資判断をする際に最初にチェックする経済指標の1つですが、直近、市場関係者の米国GDP(2015年10-12月)予想値の下方修正が相次いでいます。

特に、1月4日に、アトランタ地区連銀が前期比年率+0.7%と試算(同連銀の経済予測モデル「GDPナウ」で試算)したことから、7-9月期の確報値と同じ水準の+2.0%を予想していた市場関係者の下方修正も増加しました。

米国10-12月期GDP成長率(前期比年率)の市場予想は+0.8%

前回、2015年7-9月期の米国GDP成長率(前期比年率)は+2.0%と堅調に推移していました。特に消費部門では、自動車購入や外食の支払いが増加しており、住宅購入も加速傾向にありました。

しかし、2015年10-12月期の米国GDP成長率(前期比年率)の市場予想は下方修正が相次いだ結果、+0.8%となっています。

既に発表された2015年12月の米消費者信頼感指数や、米住宅着工件数が振るわなかったこと、また、米原油安の影響から米国内のエネルギー部門で低迷が続いていることから、米国内の製造業への需要が減少していることも一因かと考えられます。

こうした中、米国10-12月期GDP成長率(前期比年率)が、市場予想の+0.8%を上回るかどうかが注目されます。市場予想を上回る内容だった場合、S&P500を始めとした株価指数の支援材料となるでしょう。

一方、市場予想を下回る内容だった場合、FRBによる今後の利上げ動向に対する市場関係者の関心が一段と高まるでしょう。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】米国GDP(国内総生産)の基礎知識

そもそもGDP(国内総生産)とは?

GDPは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額です。QE(Quarterly Estimations)と呼ばれ、四半期毎の国内総生産の伸び率を算出します。また、把握の対象が国民経済全体の生産活動になるので、景気動向を把握するには便利な統計でもあります。

GDP統計を見る上では、2つの留意点があります。第1に、統計として集計するのに時間がかかることです。第2は、速報値として発表されるので、後日、一段と多面的なデータで計算される確報値として修正される点です。

そこで、通常はGDP統計よりも早く発表される経済指標をチェックして、経済動向を把握しようと努めます。

米国GDP(国内総生産)について

米国のGDPは、商務省経済分析局(BEA)が1、4、7、10月に速報値を発表します。GDPの構成要素は、消費・投資・輸出・政府支出などで構成されており、米国の場合、国内消費が約70%を占めます。

なお、メディアでよく用いられている「経済成長率」とは、名目GDPから物価変動の影響を除いた「実質GDPの成長率」を指します。

また、実質GDPの四半期データを見る際は、上記グラフのように「前期比年率の伸び率」で表記されることが多いため、最初は戸惑う方が多いかもしれません。これは、季節調整値を年換算して表記しているのです。したがって、前期比・前期比年率で捉えることが可能なのです。

市場関係者は、この「前期比年率の伸び率」を重視しますが、あくまで該当四半期に限定された「瞬間風速」である点に注意しましょう。

※元データの確認は、米国商務省経済分析局のウェブサイトをご参照ください。

【2016年1月25日 投信1編集部】

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岡野 辰太郎