2019年5月13日に行われた、田辺三菱製薬株式会社2019年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:田辺三菱製薬株式会社 代表取締役社長 三津家正之 氏
ジレニア ロイヤリティについて
三津家正之氏:田辺三菱製薬株式会社、取締役社長の三津家でございます。本日はお忙しいなか、当社の2018年度決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。
本日は、まず2018年度の決算の概要、続いて2019年度の業績の予想、それから成長軌道への回復に向けて、最後に株主還元について、考えをご説明します。
すでにご承知の方も多くいらっしゃると思いますが、「ジレニア ロイヤリティ」の取り扱いについて、再度ご説明したいと思います。
4月24日に「業績予想の修正に関するお知らせ」にて公表したとおり、「ジレニア ロイヤリティ」の収入に関しては、ノバルティス社との間で仲裁手続きに入ったため、「ジレニア ロイヤリティ」の一部について、IFRS第15号に従い、売上収益の認識を行わないことといたしました。
当社は、ノバルティス社が契約に従って支払うべきロイヤリティの全額を受領する権利があると主張しております。今後、仲裁において適切にこの権利を追求していきます。
なお、「ジレニア ロイヤリティ」について、売上収益の認識を行わない部分につきましては、仲裁終結時にその結果に応じて、会計年度に一括して収益認識されることになります。
以上について、ご理解いただきたくお願い申し上げます。
2018年度決算概要
売上収益についてご説明します。
国内においては、前期比マイナス4.1パーセント、131億円の減収となり、海外においては、前期比プラス3.6パーセント、40億円の増収となりました。その結果、(全体としては)前期比マイナス2.1パーセント、90億円減収の4,247億円となりました。
コア営業利益は、収益の回復と成長に向けた投資の加速にともなう研究開発費の増加により、前期比マイナス28.9パーセント、227億円減益の558億円となりました。
これらの結果、当期利益は前期比マイナス35.5パーセント、205億円減益の373億円となりました。
売上収益の増減
売上収益の増減についてご説明します。
国内重点品において、炎症免疫領域では2018年7月より、ヤンセンファーマとの販売枠組みを変更した「ステラーラ」の寄与および「シンポニー」の伸長があり、糖尿病領域では、合剤である「カナリア」などの伸長により、前期比プラス226億円となりました。
一方で、前期では半年分残っていた薬価改定の影響、長期収載品等の減収、ジェネリックの事業譲渡にともなう影響がすべてなくなるということで、国内医療用医薬品全体としては、前期比マイナス105億円となりました。
海外医療用医薬品においては、「ラジカヴァ」が米国発売2年目を迎え、前期比プラス147億円と大きく寄与いたしましたが、ロイヤリティ収入等については、「ジレニア」等の減少により、前期比マイナス160億円となりました。
これらの結果、売上収益は前期比マイナス90億円の4,247億円となりました。
売上原価・販管費・コア営業利益
売上原価・販管費・コア営業利益について、順にご説明します。
売上原価は前期比6.4パーセント増で、108億円の増加となりました。売上原価率は薬価改定による影響、ロイヤリティ収入の減少および製品構成の変化等により、42.5パーセントとなり、3.4ポイント上昇しております。
販管費は、業務生産性改革の推進等により、前期比5.6パーセント減、58億円減少の982億円となりました。
研究開発費については、パーキンソン病の「ND0612」、インフルエンザワクチンである「MT-2271」などのグローバル後期開発プロジェクトの進展にともなう増加により、前期比プラス9.4パーセント、74億円増加の865億円となりました。
これらの結果、コア営業利益は227億円減益の558億円となりました。
非経常項目・当期利益
非経常項目についてご説明します。戸田事業所の閉鎖決定にともなう減損損失が52億円ほど発生し、前期比で42億円の費用増加となりました。この結果、営業利益は前期比マイナス34.9パーセント、269億円減益の503億円となりました。また、金融損益はネットで1億円の利益となりました。
これらの結果、当期利益は前期比マイナス35.5パーセント、205億円減益の373億円となりました。
2019年度 業績予想
2019年度の業績予想についてご説明します。
売上収益については、国内医薬では2019年10月の消費税増にともなう薬価改定の影響を、重点品の伸長によりほぼカバーすることを目指しております。
一方、海外売上収益の「ジレニア」ロイヤリティ収入に関しては、ノバルティス社との仲裁手続きが継続していることを見込んで、その一部について売上収益の認識を行わないため、前期比マイナス11.5パーセント、487億円減収の3,760億円と予想しております。
コア営業利益については、前期比マイナス82.1パーセント、458億円の大幅な減益の100億円となる予想です。非経常項目は資産整理にともないプラス15億円を見込んでおり、営業利益は前期比マイナス77.1パーセント、388億円減益の115億円となる予想です。
これらの結果、当期利益は前期比マイナス86.6パーセント、323億円減益の50億円となる予想でございます。
売上収益の増減
売上収益の増減についてご説明します。
国内の重点品においては、「ステラーラ」「シンポニー」「カナグル」「ルパフィン」等が伸長するものの、長期収載品等の減収および2019年10月の消費増税にともなう薬価改定を一定程度見込むことにより、国内医療用医薬品全体としては前期比マイナス6億円となる予想です。
海外医療用医薬品においては、米国の「ラジカヴァ」が前期比マイナス50億円となる220億円を予想しております。ロイヤリティ収入については、前期比マイナス438億円となる見込みです。
これらの結果、売上収益は前期比マイナス487億円の3,760億円と予想しております。
ロイヤリティ収入等
ロイヤリティ収入等についてはご覧のとおりです。
先ほども説明いたしましたが、2019年度はロイヤリティ全体では192億円となり、前期と比べて約430億円の減少となる見込みを立てております。
売上原価・販管費・コア営業利益
売上原価・販管費・コア営業利益についてご説明します。
売上原価は前期比1.2パーセント減、21億円の減少(となる1,785億円)を予想しております。販管費は、前期比0.8パーセント増、7億円増加となる990億円、研究開発費は1.2パーセント減、10億円減少となる855億円と、2018年度の水準をほぼ維持する見込みです。
これらの結果、コア営業利益は458億円減益の100億円の予想となります。