桜の便りが聞かれ始め、本格的な春の訪れとともに新年度が目前に迫る3月下旬となりました。
来月には年金の支給日もやってきますが、2026年1月に公表された「令和8年度の年金額改定」を受け、ご自身の受給額がどう変わるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回の改定では、国民年金(老齢基礎年金)の満額が月額7万円台に乗るなど、前年度からの増額が決定しました。
本記事では、最新の公式データに基づき、改定後の国民年金や厚生年金の具体的な受給額モデルを解説します。
さらに、私たちの年金資産を運用している「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」についても掘り下げます。
その運用手法や好調な実績を知ることで、年金制度への理解がより深まるはずです。将来の生活設計にお役立てください。
1. 国民年金の満額受給額が月7万円台に到達!2026年度は1300円増額へ
2026年1月に厚生労働省が発表した「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」によると、物価や賃金の変動を反映して、2026年度の年金額が前年度から引き上げられることになりました。
令和8年度の年金額の例

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
改定された主な年金額(月額)は、以下のようになっています。
- 国民年金(老齢基礎年金):満額で1人あたり月額7万608円(前年度比+1300円)
- 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額):月額23万7279円(前年度比+4495円)
※厚生年金の金額は、夫が平均的な収入(平均標準報酬額45万5000円)で40年間厚生年金に加入し、その期間中、妻が専業主婦であった場合のモデルケースに基づき算出されたものです。
2. 厚生年金、月20万円以上もらえるのは少数派?受給額「年240万円」の壁
しかし、厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で実際の受給額分布を確認すると、老齢基礎年金を含む厚生年金の平均受給月額は15万289円であることがわかります。
受給額ごとの詳しい割合は、以下の通りです。
- 10万円未満:19.0%
- 10万円以上:81.0%
- 15万円以上:49.8%
- 20万円以上:18.8%
- 30万円以上:0.12%
このデータから、年間の受給額が240万円となる「月額20万円以上」を受け取っている人は全体の18.8%に過ぎず、多くの受給者にとって年金額は決して高くないという実情がうかがえます。
3. 私たちの年金を運用するGPIFとは?293兆円を動かす巨大ファンドの仕組み
年金制度の財源は、現役世代が納める保険料だけで賄われているわけではありません。
将来にわたって安定的に年金を支給するため、「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」という組織が年金積立金の運用を担っています。
「GPIF」って何?

出所:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「年金積立金の管理・運用のしくみ」
少子高齢化が進行する日本では、現役世代の保険料負担が過度に増えることを避けながら年金制度を持続させるうえで、この積立金運用がきわめて重要な役割を担っています。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の「年金積立金の管理・運用のしくみ」によると、現在、将来の年金給付額のおよそ1割は、この運用によって得られた収益などでカバーされる計画です。
GPIFが採用する運用の大きな特徴は、「長期・分散・積立」投資です。
基本ポートフォリオとして、以下の4つの資産にそれぞれ25%ずつ均等に配分して投資を行っています。
- 国内債券
- 国内株式
- 外国債券
- 外国株式
これにより、リスクを効果的に分散させつつ、長期的視点で安定した収益を確保することを目指す、シンプルかつ合理的な運用が行われています。
3.1 好調を維持するGPIFの運用状況
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の「2025年度第3四半期運用状況(速報)」によると、2025年度の運用実績はきわめて好調です。
2025年10月から12月までの第3四半期における収益率は+5.84%を記録し、収益額は約16兆円にのぼりました。
2025年度第3四半期「運用状況」

出所:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)「2025年度第3四半期運用状況(速報)」
さらに、2025年度の累計(4月〜12月)の実績を見ると、以下のようになっています。
- 収益率:+16.25%
- 収益額:約40兆円
と、非常に大きな伸びを示しています。
この結果、2025年12月末時点での運用資産総額は約293兆円まで増加しました。
資産構成割合も基本ポートフォリオである各25%をほぼ維持しており、安定的な運用が継続されています。
市場運用を開始した2001年度からの累積収益額は約196兆円に達しており、運用目標である「長期的に賃金上昇率を1.9%上回るリターン」を達成しています。
4. 年金額の改定と将来への備え
2026年度の年金額は増額改定されましたが、実際の受給額のデータを見ると、公的年金だけでゆとりある生活を送るのは一部の人に限られるという現実があります。
その一方で、GPIFが着実に運用収益を上げて年金財政を下支えしていることは、制度の持続可能性にとって心強い要素といえるかもしれません。
まずはご自身の将来の年金見込額を「ねんきん定期便」などで確認し、現状を把握することが第一歩です。
その上で、公的年金をベースとしながら、不足分を補うための「プラスアルファ」の準備をどのように進めるか、早期に検討を始めることが大切になるでしょう。
※当記事は再編集記事です。
