「なんだかんだいって、やっぱり仕事と育児の両立はキツいだろうな……」国および企業レベルで働くママのサポート体制を整えようとしているとはいえ、その効果を実感できている人はまだまだ多くないでしょう。

そのため、現在正社員として働いている人でも、出産を機にパートタイマーになろうと考えている人もいるでしょうし、今は正社員としての仕事と育児を両立しているけれど、そろそろ働き方を変えたいと思っている人もいるかもしれません。今回は、正社員として働き続けることと、途中からパートタイマーになることを金銭面、キャリア面、気持ちの面の3つの視点から比較してみます。

収入面での差はどのぐらい?

まず一番気になる人が多いであろう収入のこと。ずっと正社員として働く方が生涯賃金が高いことは容易に想像できますが、実際どのぐらいの差が出るのでしょうか。

労働政策研究 研修機構が発表した「ユースフル労働統計2018」によると、60歳までフルタイムの正社員を続けた場合、大卒女性の生涯賃金は約2億1590万円とされています。(退職金を含めない。同一企業継続就業 とは限らない)

一方、22歳~30歳まで正社員として働き、出産を機に退職。子どもが小学生になるタイミングで、37歳~60歳までパート社員働く場合。正社員時代の平均年収を約310万円、そしてパートタイマーとしては扶養範囲内(103万円/年)で働くと仮定します。このような場合、Aさんの生涯年収は、103万円×パート期間23年間+約310万円(正社員時代の収入)×8年間 = 約4,849万円の生涯賃金とシミュレーションできます。

約2億1590万円と約4,849万円。正社員として働き続ける場合と、途中からパートタイマーになるのでは、生涯賃金の面では大きな違いが出ることがわかります。

子供の教育費や住宅ローン、老後資金など考えなければならないことはたくさんあります。配偶者の収入を踏まえながら、マネープランを練っていく必要があるでしょう。

キャリアの面ではどうなる?

一度正社員でなくなると、再び正社員、そして以前と同じレベルの条件の仕事に就くことは難しくなると考えられます。子育ても一段落したし、出産前のような働き方に戻りたいと思っても、なかなか厳しいかもしれません。

ただし、働き方改革や女性活躍推進の機運の高まりにより、ブランクのある求職者を積極的に採用している企業もあります。そのような企業にターゲットを絞って再就職のための活動をすると良いでしょう。また、再就職支援に実績のある人材紹介会社を活用する方法もあります。

もちろん、パートタイマーの仕事内容にやりがいを感じていたり、専門スキルを活用してフリーランスとして働いたりしている場合は、再就職しなくても仕事の満足と家庭時間の充実の両方を叶えることができるでしょう。

忘れてはいけない気持ちの面