定年後も働き続けるシニア世代にとって、雇用保険の給付金や年金制度をきちんと理解しておくことは、手取り収入を左右する重要なポイントです。

再就職手当や高年齢雇用継続給付、高年齢求職者給付金など、活用できる制度は複数あります。さらに2026年4月には在職老齢年金の支給停止基準額が引き上げられ、より働きやすい環境が整います。制度を正しく把握して、賢く備えましょう。

1. 【雇用保険】働くシニア向けの給付金

昨今は働く高齢者の方が増えています。雇用保険制度から支給されるシニア向けの給付金について、見ていきましょう。

1.1 再就職手当(65歳未満)

再就職手当は、失業後できるだけ早く再就職・起業した人を支援するための手当です。再就職までの期間が短ければ短いほど、受け取れる金額が多くなる仕組みになっています。

対象者は、雇用保険の基本手当受給資格がある人です。また、支給条件は雇用保険の被保険者として就職し、就職日前日時点の基本手当「支給残日数」が所定給付日数の 1/3以上残っていることが求められます(他にも細かい要件があります)。

なお、給付率は支給残日数に応じて決まり、受け取れる金額は以下の式で計算します。

  • 所定給付日数の1/3以上残して就職した場合→基本手当日額 × 支給残日数 × 60%
  • 所定給付日数の2/3以上 残して就職した場合→基本手当日額 × 支給残日数 × 70%

給付率を上げるには、早期の就職活動が重要です。たとえば所定給付日数が150日の場合、100日以上残した時点で就職すると70%の給付率が適用されます。

先延ばしにすると受け取れる金額が大きく減ることがあるため、求職活動は早めにスタートしましょう。

1.2 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、60歳以降も働き続ける人が、給与が大きく下がった際に受け取れる給付金です。定年後の再雇用などで、賃金が下がったシニア層を支援する制度です。

  • 対象者:雇用保険の被保険者期間が 5年以上 ある、60歳以上65歳未満の被保険者
  • 支給条件:60歳時点の賃金と比べて 75%未満 に低下した状態で就労を継続していること

なお、2025年4月からは制度が見直され、最大支給率が15%から10%に引き下げられています。

老齢年金を受給しながら厚生年金に加入しつつ、この給付金も受け取る場合は注意が必要です。在職による年金支給停止に加えて、標準報酬月額の最大4%に相当する年金額がさらに支給停止となります。

年金・給与・給付金を組み合わせた手取りのシミュレーションを、事前に行っておくことをおすすめします。

1.3 高年齢求職者給付金

高年齢求職者給付金は、65歳以上の雇用保険加入者(高年齢被保険者)が失業した際に、一時金として受け取れる給付金です。

  • 対象者:65歳以上の高年齢被保険者で失業した人
  • 被保険者期間:離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算6カ月以上あること
  • 失業状態:就職したい意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず就職できない状態にあること

65歳未満が受け取る失業手当は4週間ごとに失業認定を受けながら分割で支給されますが、高年齢求職者給付金は一括支給される点が大きな違いです。また、老齢年金との併給が可能な点も見逃せないメリットです。

65歳以降に離職した際は忘れずにハローワークへ申請しましょう。なお、受給期限は離職日の翌日から1年以内です。