度々ニュースなどでも取り上げられている通り、日本の人口は深刻な減少傾向にあります。2004年12月の1億2784万人をピークに減り始め、2050年には9515万人まで減ってしまうだろうと予想されています。一方、最近のマンションは建築技術や材質が向上して長寿命化しています。
良質の中古マンションが増えてきており、2016年には中古マンションの売買件数が新築マンションの販売戸数を上回ったという東日本流通機構のデータも出ています。このような状況から、不動産を資産として考えていくには、減少していく購入検討者に選ばれるための良質な中古である必要があり、そのためには「どのように維持管理をされているのか」が重要になってきます。
中古マンション購入時に管理面で気をつけるべきポイント
長期修繕計画の確認は必須!管理面で気をつけるポイントの1つとして長期修繕計画が挙げられます。長期修繕計画とは、「そのマンションの将来の修繕計画を練り、それに基づいて修繕積立金をどのように集めていくかをまとめた表」です。長期修繕計画は大多数のマンションで作成されているものですので、これが作成されていないマンションは言ってしまえば論外です。将来の見通しが立っていないのと同様ですので、急に一時金の発生する、設備に不具合が発生しても修繕されないなどの状況に陥るリスクがあります。
1. 長期修繕計画は見直しされていますか
長期修繕計画が作成されていたとしても、それだけで安心してはいけません。確認すべきはその計画の妥当性です。例を1つご紹介します。
2008年に分譲されたときに長期修繕計画が作成された総戸数100戸のマンションがあったとします。築後12年が経過する2020年に大規模修繕工事が予定されており、工事費1億円(100万円×100戸)のために毎月の修繕積立金を貯めています。このマンションの場合、大規模修繕工事が近づいた2019年に工事の見積を取得すると当初の計画にあった1億円を大幅に超える恐れがあります。
なぜならば、2008年から2019年までの社会情勢の変化が反映されていないからです。消費税は2008年段階で5%でしたが、2020年に工事を実施する頃には10%になっており、これだけでも約500万円の増加です。各戸に割り当てると5万円の負担増です。また、大規模修繕工事では足場の架設を必要としますが、事故防止のために安全性の高い工法を採用しなければならなくなり、その費用も増えてきています。
そして、2008年に比べれば、工事を実施する職人の人件費も大幅に上がっております。消費税を含めれば数千万単位で工事費が増加する恐れがあり、これを各住戸に割り戻すと数十万円を追加で負担することになります。この例からも分かる通り、長期修繕計画は作成され、その後適切に見直しがなされる必要があります。国土交通省は5年1回程度での見直しを推奨しています。長期修繕計画をチェックするときは作成時期と見直し時期を必ず確認するようにしましょう。
2. 修繕積立金が急に値上がりしていないか
長期修繕計画の見直しを適切にしていない場合は、見直し時に工事費用が大きく増加するため、修繕積立金が大きく値上がりする資金計画になっていたり、どこかの時期に一時金を集める計画になっていたりします。高額な修繕積立金になってしまうと毎月のランニングコストが増え、購入検討者が減少する恐れがあります。
自分で判断できないときは仲介の営業担当に聞いてみよう
長期修繕計画は多くの数字が並んでいます。その良し悪しを見分けるのは難しいと感じた方は仲介の営業担当にアドバイスを求めるのも良いでしょう。仲介の営業担当は、多くのマンションの長期修繕計画を見ていますので、参考になるアドバイスが得られるでしょう。そのマンションを管理している管理会社に聞くという方法もありますが、管理会社はあくまでそのマンションを管理している立場ですので、他マンションと比べた場合の良し悪しなどのアドバイスには不向きです。
管理組合の活動とは
「管理組合」という言葉に馴染みのない方がいらっしゃるかもしれません。管理組合とはマンションの区分所有者(組合員)で構成する組織であり、エントランスやエレベーター、植栽など共用部と呼ばれるエリアを維持管理していくことが目的です。区分所有者から集めた管理費で日常の管理を行い、修繕積立金で大規模修繕工事などの計画工事を行います。管理会社の動きも重要ですが、最終的な判断は管理組合が行う事案が多いので、この管理組合の活動がマンションの資産価値の維持に対してとても重要な役割を担っています。