世界半導体市場統計(WSTS)は、2019年春季の半導体市場予測を発表した。19年の市場成長率を前回予測(18年11月発表の18年秋季予測)の3.8%のプラスから12.1%のマイナスへと大きく引き下げ、4120.9億ドルにとどまると予測した。また、20年については5.4%のプラス成長に転じるとした。
プラス成長はディスクリートだけ
この予測は、WSTSに加盟している半導体メーカー45社の3月までの実績値と予測データを元にまとめた。予測会議は年2回、原則5月と11月に開催され、6月と12月に市場予測として発表される。市場の定義は「半導体製品が半導体メーカーから第三者に販売された地域」を意味する。
前回予測と比較して、製品別では、半導体市場の約3割を占めるメモリーの予測を0.3%のマイナスから30.6%のマイナス(金額ベースでは1651.1億ドルから1095.9億ドル)へと大きく引き下げ、これが市場全体に影響した。ディスクリートで1.4%増を予測している以外、19年は全製品が前年比でマイナスになると予測している。
これについてWSTSは「18年後半の市況悪化の流れを引き継ぎ、(半導体市場は)月ベースでは前年割れで推移している。予測値作成時点では米中貿易摩擦やBrexitなど、不透明要素を完全には払拭できなかったことに加え、18年からすでに顕在化していたスマートフォン関連需要の頭打ちなどもある」と説明している。
20年は全製品がプラスに回帰
一方、20年については、様々な懸案事項の解決に向けた進展を期待するとともに、データセンター用設備投資の回復や5G導入に伴う様々なサービスの拡大、自動車の電動化・機能向上の継続などを考慮し、5.4%増のプラス成長に回帰して4343.9億ドルになると予測した。すべての製品がプラス成長になるとみているが、メモリーは6.6%の成長にとどまるため、18年の市場規模には届かない。
また、18年の確定値は、市場全体で前年比13.7%増の4687.8億ドルとなった。17年に続いてメモリーが同27.4%増と大きく成長したほか、ディスクリートが11.3%増、アナログが10.8%増と2桁成長を遂げたが、年後半は米中貿易摩擦に端を発して市況が急速に悪化した。
日本も19年は10%減
18年の日本半導体市場は、円ベースで前年比7.5%のプラス、金額では約4兆4126億円(1ドル=110.4円換算)だった。19年はマイナス10%と他地域と同様にマイナス成長を予測し、約3兆9733億円(1ドル=110.2円想定)になると予測した。20年は3.9%のプラス成長に回帰し、約4兆1279億円と予測した。
電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏