この記事の読みどころ
日経平均株価の騰落率カレンダーを見ると、勝率第1位の日は2月11日の80%となっています。
2月11日は「建国記念の日」ですが、祝日に“復活”したのは1967年からです。終戦後にGHQによって廃止されていたのです。
「建国記念の日」に株式市場が開くような状況を繰り返してはならないと思います。
日経平均株価の騰落率カレンダーを見てみる
日本経済新聞社のホームページには、有料会員専用のウェブサイト(電子版)があります。この有料会員ページにログインすると、その日の発行紙面を読めるだけでなく、発行紙面には掲載されない様々な特集記事や、詳細な経済データにアクセスすることができて、なかなか有益です(念のため、日経新聞の宣伝をするつもりは全くありません)。
さて、その有料会員ページには、1950年から始まった日経平均株価に関する様々なデータ(騰落記録など)が掲載されています。改めて、日経平均株価の歴史の長さを感じさせられますが、その中に「騰落率カレンダー」という項目があります。
これは、その日(例えば2月5日)の日経平均株価が前営業日より上昇したか(勝利)、下落したか(敗北)を毎年記録して「○勝●敗」の勝率を記載しています。ちなみに、2月5日は24勝28敗0分で勝率46.5%です(注:2016年を含まず)。
日経平均株価の騰落率カレンダー上位5日は?
こうして勝率の上位を見てみましょう。上位5日は、
第1位: 2月11日(勝率80.0%)
第2位: 5月4日(同76.7%)
第3位: 12月26日(同74.1%)
第4位: 1月14日(同74.0%)
第5位: 6月30日(同70.4%)
となっています。それにしても、1位の勝率80%は非常に高いと言えましょう。理論的には、前日に日経平均株価連動の商品を買っておけば、翌日は8割の確実で値上がりすることになります。実際には、そう上手くは行かないのでしょうが。
勝率第1位は2月11日。なぜ、祝日が?
ところで、これを見て“あれーっ?”と疑問に思った人が多くいるはずです。そうです、2月11日は「建国記念の日」という祝日です。当然、株式相場も休場です。これは一体全体、どういうことなのでしょうか?
確かに、国民の祝日には最近になって設けられた日があります。7月第3月曜日の「海の日」が典型例ですし、今年から8月11日が「山の日」となります。
また、第2位にランクされた5月4日も、今は「みどりの日」という祝日ですが、1988年までは祝日ではありませんでした。そのため、5月4日は1988年までの相場の記録となります。ちなみに、5月4日は23勝7敗0分となっており、この数字はもう変わることがありません。
かつての紀元節、「建国記念の日」
しかし、「建国記念の日」は明らかに違います。そもそも、「建国記念の日」である2月11日は、明治期に「紀元節」として祝祭日に定められた日です。この「紀元節」とは、日本の初代天皇である神武天皇が即位した日とされています。
実は、これは日本書紀や古事記で記されていることであり、神武天皇が実在した人なのか否かは科学的に明らかになっていません。神話の中の人物かもしれませんが、古代から2月11日が、日本国が建国された日とされています。
そのような歴史的な背景のある日に、なぜ株式相場が開いていたのでしょうか?
「建国記念の日」に隠された戦後の重い歴史
この2月11日の勝敗を見ると「12勝3敗0分」となっています。ということは、日経平均株価がスタートした1950年から少なくとも15年間は株式相場が開いていたことになります。
年配の方の中には、もうご存知の方も多いでしょう。2月11日が祝日となったのは1967年からです。先に述べたように、従前より2月11日の「紀元節」は祝日でしたが、第2次世界大戦の終結後の1948年、GHQ(占領軍)によって廃止されたのです。
その後、祝日化に対する国民的な強い盛り上がりもあり、紆余曲折の末、1967年から復活したという重い過去を背負っています。現在の日米関係では考え難いことですが、当時は敗戦国の日本に対しては、歴史的背景のある「建国記念の日」ですら認めていなかったのです。
来週木曜日はその「建国記念の日」です。改めて、「建国記念の日」を巡る歴史を振り返って見るのもいいでしょう。
LIMO編集部