子どもを乗せていながら信じられないような危険運転をしている自転車がある一方で、どうしてもそのような状況で自転車に乗らなければいけない現実があるのも事実。子どもを乗せていても乗せていなくても安全に乗らなければいけない自転車ですが、危険な乗り方をしなければいけない現状にも目を向けなければいけません。

子乗せ椅子に乗ってくれないイヤイヤ期の子ども

1歳~2歳ごろに現れるイヤイヤ期は、子どもが成長している証である一方日常生活に支障をきたすことがあるのも事実。子乗せ椅子に乗るのを嫌がるケースも多く、頭を悩ませているママも少なくありません。

そんなときについ使ってしまうのが、抱っこ紐。泣きわめいてもとりあえず抱っこ紐で抱っこしてしまえば出発することができるので、ついつい前抱っこで自転車に乗ってしまうという人も多いのです。時間がないときには、いつまでも子どものイヤイヤに付き合ってあげることができません。“送迎の間だけちょっと見ておいて”と頼れる人がいない場合、とにかく先へ進むために抱っこ紐という手段に手を出すしかないケースもあるのです。

分刻みで動かなければいけないワンオペワーママ

ものすごいスピードで駆け抜けていく、子乗せ自転車。はたから見れば、「子どもを乗せているのに、あんなスピードを出して何を考えているんだ」というのが多数派の意見でしょう。
しかし、“子どもを危険な目に合わせてやろう”という考えを持って、スピードを出している自転車がどれくらいあるでしょうか。おそらく、ほとんどがそんな考えなくスピードを出しているケースばかりです。

急がざるを得ない理由のひとつに、ワンオペかつ働きながら育児・家事をしている“ワーママ”の存在があります。中でも、歳の離れた兄弟を持つママは、それぞれ子どもを迎えに行く場所が異なる場合もあり、仕事が終わってから分刻みでお迎えを終えていかなければいけないケースも。スピードを出したら危ないということは分かっている…でも急がないとお迎えの時間に間に合わない…。こんな事情も、子乗せ自転車の暴走を生み出している理由のひとつなのかもしれません。

子の命を守れるのは自転車を運転している大人だけ

いかなる事情があっても、自転車の危険な運転は許されません。しかし、子どもを乗せていながらも危ない運転をしている自転車が増えている現実を非難するだけ、というのも少し違うような気がします。

問題を解決するには、なぜそのような危険な行為が起きてしまうのかというリアルを知ることが大切です。気軽に便利に乗ることができる自転車だからこそ、当事者と周囲とが安全に対する意識を強く持つことが大切なのではないでしょうか。

川西 まあさ