国民年金の平均月額と男女差
続いて、国民年金の平均受給月額を厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』で確認します。
- 全体平均:5万9310円
- 男性平均:6万1595円
- 女性平均:5万7582円
国民年金受給額の分布状況
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円~2万円未満:21万3583人
- 2万円~3万円未満:68万4559人
- 3万円~4万円未満:206万1539人
- 4万円~5万円未満:388万83人
- 5万円~6万円未満:641万228人
- 6万円~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上:299万7738人
国民年金の平均月額は、男女ともに5万円台後半から6万円台前半に集中しています。
厚生労働省年金局『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』のデータが示すように、受給額は1万円未満から7万円以上まで分布していますが、厚生年金ほど大きなばらつきはありません。
これは、国民年金の満額が制度上決まっているためです。最も多い層は「6万円以上7万円未満」であり、多くの方が満額に近い年金を受け取っていることがわかります。
データで見る高齢者世帯の平均所得と収入源
次に、高齢者世帯が実際に得ている「1世帯あたりの平均所得」はどのくらいなのでしょうか。
厚生労働省が公表している『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』を基に、その実態を見ていきます。この調査では、高齢者世帯を「65歳以上の人のみで構成されるか、または65歳以上の人と18歳未満の人で構成される世帯」と定義しています。
高齢者世帯の平均所得はいくら?
厚生労働省『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯の平均総所得は年間で314万8000円です。続いて、その所得がどのような収入で構成されているのか、内訳と割合を詳しく見ていきましょう。
高齢者世帯の所得構成の内訳
- 稼働所得:79万7000円(25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円(4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円(0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)
年間の総所得を月額に換算すると約26万円となり、そのうちの約3分の2にあたる約16万7000円を「公的年金・恩給」が占めています。
次に大きいのが「雇用者所得」で、月額約5万5000円です。このデータから、多くの高齢者世帯が公的年金を生活の基盤としつつ、就労による収入で家計を補っている実情が読み取れます。
※雇用者所得とは、世帯員が勤務先から受け取った給料・賃金・賞与の合計額を指し、税金や社会保険料が差し引かれる前の金額です。
年金受給者の確定申告は必要?不要?
年金を受け取っている方の中には、特定の条件を満たすことで確定申告が不要になる「確定申告不要制度」の対象となる場合があります。この制度に該当する方は、毎年税務署で手続きを行う必要がありません。
確定申告が不要になる2つの条件
確定申告が不要になるための条件は、以下の通りです。
- 公的年金など(※1)の収入合計額が400万円以下で、かつその全額が源泉徴収の対象であること
- 公的年金などに関連する雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下であること
※1 国民年金、厚生年金、老齢共済年金などの公的年金や恩給、確定給付企業年金などが含まれます。
※2 給与所得や個人年金、生命保険の満期返戻金などが該当します。
ただし、この確定申告不要制度の対象者であっても、確定申告を行うことで払い過ぎた所得税が戻ってくる(還付される)場合があります(※3)。
所得税の確定申告が不要な方でも、住民税の申告は別途必要になるケースがあるため注意が必要です(※4)。
※3 医療費控除や雑損控除などを適用し、公的年金から源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合などです。
※4 所得税の確定申告を行えば、その内容が自動的に市区町村へ連携されるため、改めて住民税の申告をする必要はありません。
スマホとマイナンバーカードで確定申告がより手軽に
近年、スマートフォンとマイナンバーカードを活用した確定申告が非常に便利になっています。
2025年分の確定申告からは、スマホに搭載されたマイナンバーカード機能を使えば、カードを読み取ることなく申告書の作成からe-Taxでの送信まで完結できます。
国税庁のウェブサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に従って入力するだけで申告書が作成でき、計算ミスも防げます。
さらに、マイナポータルと連携させることで、各種控除証明書や源泉徴収票のデータを自動で取り込み、申告書に反映させることが可能です。これにより、書類準備の手間が省け、申告作業の時間を大幅に短縮できるでしょう。
まとめ
今回は、公的年金の基本的な仕組みから、厚生年金と国民年金の平均受給額、そして年金生活と関わりの深い確定申告について解説しました。
データを見ると、多くの方にとって公的年金が老後の生活を支える重要な柱であることが改めてわかります。
ご紹介した平均額はあくまで目安であり、実際の受給額は一人ひとりの加入履歴によって大きく異なります。
ご自身の正確な年金額を知るためには、毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」や、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認することが大切です。
これからもご自身の年金や家計に関心を持ち続け、穏やかなセカンドライフを送るための準備を進めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明
- 政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」
- 国税庁「令和7年分の確定申告はスマホとマイナポータル連携でもっと便利に!」
石津 大希


