この記事の読みどころ
12月は米国利上げ、日銀の緩和補充策などのイベントがありましたが、日本の株式市場はじり安でした。
海外投資家の買い越し額はごくわずかでした。個人の売りが出る一方、信託銀行、事業法人等、及び投資信託の買い越しが目を引きます。
1月に入り世界的にリスクオフ相場になっています。クリスマス休暇明けの海外投資家と信託銀行の動きに注目です。
海外投資家は、全体として金融イベントとクリスマス休暇のためポジションを傾けなかった
日本取引所グループの月次データによると、海外投資家の日本株現物の売買は、2015年6月以降4か月連続で売り越しでしたが、10月に約4,630億円の買い越しに転じ、11月も約6,777億円の買い越しでした。
しかし12月はわずか330億円の買い越しに止まりました。日米の金融政策をめぐるイベントがあったこと、年末に休暇シーズンだったことから、全体としては銘柄の入れ替えによるポートフォリオの調整にとどまり、売り買い一方にポジションを動かすことなく越年しました。
信託銀行は株価が下がり、買い出動
一方、個人は売り越しでした。
これに対して、信託銀行は引き続き逆張りスタンスです。8月から10月までの株価の下落局面で累計約1.3兆円買い越しましたが、株価が反騰していた11月に約4,500億円売り越しました。さらに12月株価がじり安に推移すると、約7,400億円の買い越しに転じました。
このほかに事業法人等と投資信託も買い越しが目立ちます。
焦点は1月の海外投資家と信託銀行の動向に
休暇明けの海外投資家は、1月に新しい年の投資戦略に沿ってポジションを大きく動かしていく傾向があります。米国で昨年12月に利上げが実施され、しかも中国を始めとして世界経済に下振れリスクが意識される相場展開になっていますが、こうした文脈で株式リスクを減らすのか増やすのか、減らすならばどこまでどう減らすのかが注目です。
一方、この数か月逆張りに動いてきた信託銀行が従来と同じ取引レンジで買いに出てくるのか、あわせて見ていきたいと思います。
LIMO編集部