2026年3月に入り、確定申告のシーズン真っただ中です。実は、確定申告の内容は国税庁によって集計・データ化され、統計資料として公開されていることをご存じでしょうか。このデータを読み解くことで、例えば次のような実態が見えてきます。

  • 日本には1億円の所得を得ている人が何人いるのか
  • どのような種類の所得を得ているのか

普段はなかなか知ることのできない「高所得者の実態」も、客観的な数字から把握することが可能です。そこで今回は、年間1億円超の所得を得ている人の人数や、所得が多い人が住む都道府県の特徴などについて紹介します。

※本記事では便宜的に、年間所得1億円以上の人を「億り人」と表現します。

1. 【億り人】確定申告「所得1億円超」の申告者3.8万人!全体の何パーセントいる?

国税庁の調査によると、2024年分所得税の確定申告で1億円超の申告をした人数は下記のとおりです。

  • 1億円超2億円以下:2万4830人
  • 2億円超5億円以下:9444人
  • 5億円超10億円以下:2232人
  • 10億円超20億円以下:844人
  • 20億円超50億円以下:466人
  • 50億円超100億円以下:117人
  • 100億円超:67人
  • 合計:3万8000人

2024年分所得税の確定申告を行った人は2336万人ですので、1億円超の所得を得ている人は全体の0.2%であることが分かります。

中には、67人というごくわずかな人数ではありますが、年間100億円もの所得を得ている人もいるようです。

1.1 雑所得で10億円を超える人も!

所得階級別人員(その2)2/3

所得階級別人員(その2)

出所:国税庁「令和6年度2直接税2-2所得階級別人員」

ひとくちに所得といっても、給与所得や事業所得、不動産所得などさまざまな種類があります。所得が多い人というと、経営者や不動産オーナーなどを思い浮かべがちですが、中には雑所得で年間10億円超もの所得を得ている人も見られます。

雑所得で年間10億円超の所得を得ている人は、下記のとおりです。

  • 10億円超20億円以下:13人
  • 20億円超50億円以下:7人
  • 50億円超100億円以下:1人
  • 合計:21人

雑所得とは、給与所得や事業所得、配当所得、譲渡所得などのいずれにも分類されない所得を指し、公的年金や副業収入などが該当します。この調査では具体的にどのような所得なのか公表されていないものの、暗号資産やFXでの利益も雑所得となるため、こうした金融取引による利益が含まれている可能性も考えられます。

2. 【億り人】年間所得「100億円超」が住む場所「東京の次に多いのは?」

また、都道府県別の所得の状況についても見てみましょう。

年間1億円以上の所得を得ている人の都道府県別の人数を並べてみると、上位5位は下記のとおりです。

  • 1位:東京都(1万5397人)
  • 2位:神奈川県(3386人)
  • 3位:大阪府(2513人)
  • 4位:愛知県(2326人)
  • 5位:埼玉県(1748人)

このランキングは人口の多い順番と一致するため、「富裕層の人数は人口と比例しているだけ」と捉えられます。しかし、年間100億円超の所得を得ている人に絞ってみると、少し様相が変わってきます。

  • 1位:東京都(33人)
  • 2位:愛知県(9位)
  • 3位:神奈川県、大阪府(5人)
  • 5位:埼玉県、石川県、愛媛県(2人)

1位の東京は変わりませんが、2位に愛知県、5位には石川県や愛媛県などがランクインしており、必ずしも人口と比例していないことが分かります。

こうした都道府県がランクインしているのは、地方に拠点を置くグローバル企業のオーナーなど突出した富裕層の存在が関係していると推測されます。

2.1 大企業オーナーが地方に拠点を置くメリット

先ほど紹介した愛知県や石川県、愛媛県は世界的にも有名な大企業の拠点が置かれている都道府県でもあります。こうした企業の創業家や役員がその地域に住民票を置き続けていることが反映された結果といえるでしょう。

このような超高額所得者の存在は、自治体側にとっても大きなメリットがあります。年間100億円超ともなると、住民税による税収もかなり大きなものとなるためです。

仮に課税所得が半分の50億円だったとしても自治体には5億円もの税収になりますので、地域貢献という面から見ても大企業オーナーが地方に拠点を置く意義は大きいといえるでしょう。

3. 【億り人】累進課税のしくみ「所得が多いほど税負担も増える」

「所得が100億円超」といった話を聞くと羨ましく感じられますが、所得が増えるほど大きくなるのが税金の負担です。累進課税の仕組みが用いられている日本では、所得が多い人ほど所得税の税率が高くなります。

所得階級別の構成割合

所得階級別の構成割合

国税庁:「令和5年度 申告所得税標本調査結果」

 

先ほど紹介した調査とは年度が異なりますが、国税庁の「申告所得税標本調査結果」によると、2023年度における申告納税者のうち、1000万円超の所得がある人は全体の14.4%となっています。

しかし、税額の構成割合を見ると、所得1000万円超の人が納める税金が全体の85.4%を占めていることが分かります。

つまり所得税の8割以上は、わずか1割強しかいない所得1000万円超の人たちによって納められているのです。このことからも、所得が多くなるほど税負担が大きくなることが推察できるでしょう。

4. 【億り人】所得と税金の仕組みをよく理解しよう

確定申告を行うときによく考えたいのが、「どれくらいの所得を得たか」ということに加えて「どれくらいの税負担を負っているか」という点です。確定申告は所得の状況を振り返る重要なきっかけでもあります。

特に所得が多い人は税負担も大きくなりやすいため、自ら税負担を軽減する対策を講じることが大切です。まずは税金の仕組みをよく理解して、活用できる控除や節税制度はないか検討してみましょう。

参考資料