2. 2026年度の年金額はプラス改定!なぜ「実質目減り」と言われているのか
前述したように、2026年度(令和8年度)の年金額は、前年度と比べて国民年金(基礎年金)は1.9%、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%の引き上げとなっています。
ただし、物価の上昇を踏まえると、実質的には受給額が減少しているのが実情です。
この背景にあるのが「マクロ経済スライド」による調整です。
2.1 「マクロ経済スライド」とは?
マクロ経済スライドは、年金制度を将来にわたって安定的に運営するため、現役世代の負担が過度に増えないよう導入された調整の仕組みです。
賃金や物価の動きをもとに決まる改定率から、被保険者数の減少や平均寿命の延びを考慮した「スライド調整率」を差し引くことで、支給される年金額が調整されます。
年金額を見直す際には、基本的に「物価変動率」または「名目賃金変動率」のいずれかが基準として用いられます。
このうち、物価変動率が名目賃金変動率を上回る場合は、名目賃金変動率に基づいて年金額が改定される仕組みとなっています。
2.2 2026年度のマクロ経済スライドによる「改定率」はどれくらい?
令和7年における物価変動率は3.2%であったのに対し、名目賃金の伸び率は2.1%にとどまりました。
この差を踏まえ、マクロ経済スライドによる調整が行われ、年金額の改定率は、国民年金(基礎年金)が1.9%、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%とされています。
マクロ経済スライドは制度の持続性を確保するうえで重要な仕組みですが、今回の改定率(1.9%・2.0%)は物価上昇率(3.2%)を下回っており、金額上は増額であっても、実質的な受給水準は低下している状況といえるでしょう。
なお、前章で示した年金額は、「国民年金を満額で受給するケース」や「標準的な夫婦モデル」を前提とした金額例であり、すべての受給者に当てはまるものではありません。
年金を受給している人には、年金額の改定時期に「年金振込通知書」が送付され、そこに毎月の支給額が記載されています。
自身の受給額を確認するためにも、一度目を通しておくとよいでしょう。
