上海株と人民元が下落を続けている

2016年は年初から株式市場が急落を続けています。特に上海の株式市場と人民元の下落は非常に注目され、世界の市場のトーン全体にネガティブな影響を及ぼしています。

インバウンド期待の盛り上がりはどこへ?

振り返ると、2015年の前半のムードは真逆でした。上海株は急騰し、日本に訪れる中国人観光客が激増しました。株式市場でも「インバウンド銘柄」がもてはやされていました。

その後2015年7月から上海株が急落しましたが、中国人を始めとする訪日外国人の人数は、これまでのところ増加傾向が続いています。

では、株式市場でのインバウンド銘柄の株価はどうなっているでしょうか。

2極化するインバウンド銘柄

初めに、上海総合指数の動きをおさらいします。2014年の年末から+60%上昇したあと▲42%下落し、2016年1月11日現在は2014年末から通算で約▲7%下落しています(以下、同じ算出)。

では、同じ期間にインバウンド銘柄の株価はどうなっていたでしょうか(以下、2016年1月8日終値ベース)。

ラオックス(8202)は特に中国人観光客にフォーカスを当てて業績を伸ばしていましたが、株価は+119%上昇した後、▲64%下落し、通算で▲20%下落しています。

次に百貨店の代表として三越伊勢丹ホールディングス(3099)を見てみると、株価は+59%上昇した後、▲35%下落し、通算で+4%の上昇に止まっています。

これらの企業はどちらかと言えば、小売業の中でも面展開というよりは点で顧客を受け止めるビジネスであり、しかも最近の業績は訪日外国人に牽引されていますので、昨今の中国市場の変調に大きな影響を受けています。

値を保っているインバウンド銘柄も

次にマツモトキヨシホールディングス(3088)はどうでしょうか。株価は+101%上昇した後、▲17%下落し、通算+67%上がっています。

また、訪日外国人に人気のある象印マホービン(7965)の株価は、+178%上げた後、▲25%下げ、通算+109%上昇しています。

これは先に述べたラオックスや三越伊勢丹ホールディングスとは対照的に、良いパフォーマンスと言えそうです。マツモトキヨシはどちらかと言えば、面でインバウンド需要に対応できる可能性がありますし、象印マホービンは高まった認知をテコに改めて海外での拡販を期待できるからではないでしょうか。

今後はインバウンドの人数だけではなく、質の変化や消費の様式も変わっていくと思われます。インバウンド銘柄も変容するインバウンドのニーズへの対応力が問われていくでしょう。

LIMO編集部