3. 【遺族厚生年金】新制度「2028年4月1日以降」影響を受ける人・受けない人

2025年6月、年金制度改正の一環として「遺族厚生年金の見直し」が公表されました。今回の見直しは将来の新規受給者を対象とするもので、すでに遺族厚生年金を受給している人には影響はありません。

改正後の制度が適用されるのは、2028年4月1日以降に亡くなった方の遺族、および施行日に40歳未満の受給権者などが対象となる見込みです。制度の移行は数十年の経過措置を設けて段階的に行われます。今回の見直しは、「男女差の解消」で社会情勢や働き方の変化に合わせた制度の適正化が大きな目的です。

遺族厚生年金の見直し3/3

遺族厚生年金の見直し

出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

これまで、

  • 女性は比較的長期に受給できる仕組み
  • 男性は受給できないケースも多い

という男女の差がありました。これを整理する形になります。

3.1 影響を受けるのは誰?

対象となるのは、子どものいない若年・中年層の配偶者です。

女性

夫死亡時に40歳未満の妻。現在は30歳未満が5年の有期給付ですが、40歳未満まで拡大(段階的)されます。これにより、新たに対象となる30代女性は年間約250人と推計されています。

男性

妻死亡時に60歳未満の夫。現在は55歳未満だと受給できないのですが、今後は受給可能になります。対象者は年間約1万6千人と見込まれています。

3.2 どう変わる?

今回の見直しでは、子どものいない配偶者への遺族厚生年金の仕組みが大きく変わります。

まず、これまで生涯給付となるケースがあった制度を見直し、原則として「5年間の有期給付」へと改められます。対象は、子のない妻(一定年齢未満)と子のない夫(60歳未満)です。

ただし、単に給付期間を短縮するだけではありません。5年間の給付期間中は「有期給付加算」が新設され、モデルケースでは現在の約1.3倍に増額されます。長期保障型から、一定期間に手厚く支える「短期集中型」の仕組みに転換するのが今回の改正の特徴です。

さらに、5年経過後も一律で打ち切られるわけではありません。

継続給付の対象となるケース

  • 障害がある場合(障害年金受給者など)
  • 所得が一定基準以下の場合(単身で年収約122万円以下が目安)

収入が増えるにつれて段階的に減額され、概ね月収20~30万円を超える水準で支給終了となる仕組みです。

3.3 影響を受けない人

制度改正と聞くと不安が広がりがちですが、次の人には影響はありません。

  • すでに遺族厚生年金を受給している人
  • 配偶者死亡時に60歳以上の人
  • 18歳年度末までの子がいる人
  • 2028年度時点で40歳以上の女性

とくに子育て世帯については給付期間の変更はなく、むしろ遺族基礎年金の子加算は増額方向とされています。