GPU大手のエヌビディアが発表した2020年度第1四半期(19年2~4月)業績は、売上高が22.2億ドル(前四半期比1%増/前年同期比31%減)となり、2四半期連続で低調な内容となった。ゲーミングおよびデータセンター向けの需要減に加え、仮想通貨向けの落ち込みがこれに拍車をかけた。

2四半期連続で30億ドル割り込む水準

 同社の四半期業績は、19年度第3四半期(18年8~10月)まで3四半期連続で30億ドルを超える売り上げ水準が続いていたが、18年初頭から仮想通貨需要が大きく減少したことに加え、直近2四半期ではゲーミングおよびデータセンター向け売上高が減少している。

 分野別でゲーミングは同11%増/同39%減と、前年同期比で大きく減少しており、一時の勢いがない。データセンター向けは同7%減/同10%減となり、同社によれば、一部のハイパースケーラーならびに、クラウド顧客の投資中断の影響を受けたとしている。

20年度通年見通しは横ばい~微減

 第2四半期(5~7月)は売上高が25.5億ドル(±2%、中心値で前四半期比5%増/前年同期比18%減)を見込む。ハイパースケーラーならびにクラウド顧客の投資中断の影響は5~7月期も続く見通しだという。一方でゲーミングは増収を見込んでおり、19年度第4四半期を底に回復基調にある。20年度通年の売上高見通しは、前年比で横ばい、もしくは微減を見込んでおり、売上高は下期偏重になるとコメントした。

 なお、同社は19年3月に高速イーサネット技術などに強みを持つ、イスラエルのMellanox(メラノックス)を69億ドルで買収すると発表している。メラノックスはInfiniBandなど高速通信インターフェース技術やスイッチ製品などを手がけており、エヌビディアが今後注力するHPC(High Performance Computing)市場でのシナジー効果が期待されている。買収完了は19年末を予定している。

インテルも通年見通し引き下げ

 ハイパースケーラーの投資停滞はエヌビディアだけでなく、半導体業界全般に影響をもたらしている。DRAMやNANDなどメモリー市場もクラウド顧客の過剰在庫が重荷となって、需給バランスが悪化。足元でも価格下落が続いており、主要各社のメモリー投資は大きく抑制されている。

 4月末に19年1~3月期決算を発表したインテルも、データセンター需要の低迷などを理由に、19年通年の売上高見通しを従来の前年比1%増から同3%減の690億ドルに引き下げた。1~3月期においても、データセンター部門の売上高は前四半期比19%減/前年同期比6%減と大きく減速。クラウドサービスプロバイダーの在庫圧縮の影響を受けたとしており、4~6月期も在庫調整の影響が継続するとしている。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳