日本人はお金に対して潔癖?
一般的に、日本人はお金の話をしたがりません。家族や身内ではするかもしれませんが、少なくとも職場では資産運用や住宅ローンの話はほとんどしませんね。たとえば、「お前、貯金いくらくらいあんの?」とか「子供の教育費、どうやって貯めている?」とか、です。
もちろん、本当に仲の良い同僚・友人なら、“ランチにでも誘って、腹を割って話す”でしょうが、何となく重い感じがします。
筆者はかつて80年代後半から10年ぐらい海外勤務をしていたのですが、少なくとも筆者が働いていたロンドンやサンパウロでは、オフィスでお金の話をするのは当たり前でした。
「どこどこの銀行は金利が高い」だの、「当座貸し越しは○○バンクがイケてる」だの、「ロンドンの不動産は今が買い」などと言う話題は日常茶飯事でした(今では、同僚が言うように当時ロンドンで不動産を買っていればよかったと反省しています)。
特に、90年代前半にロンドンにいた時、ブリティッシュテレコム(日本のNTTのようなもの)の個人向け株式放出があり、ディーラー仲間は買うか買うまいか、いくらなら買うか等、パブでよく議論をしていました。
このように、お金の話は一般的な話題で、むしろどん欲にお金の情報を交換しているというイメージです。
一方で、筆者は日本人がお金に対して潔癖症だとか、穢れ信仰があるとか喧伝されているのには違和感を持ってます。確かに、日本の個人金融資産のうち預貯金が6割くらいを占めており、業界では岩盤預金と言われ、預貯金以外の投資や支出に向かわないと嘆かれていますが、決してお金を無意味に存置しているわけではないと思います。
お金の話をしない理由
では、なぜ日本人はお金の話を気軽にしないのか?という疑問に突き当たります。
筆者はその理由をこう推察します。
(1)お金の話は難しいと思っている。
これだけ教育システムがしっかりしている日本で、教科としての「お金」はありません。習っていないものは分からないと思われているのではないでしょうか。実のところ、お金を増やすも使うも、計算自体は加減乗除さえできれば十分なのですが。
だからと言って、学校でお金の授業をやるべきだと言っているわけではありません。むしろほかの教科の邪魔になるので、やる必要はないと思います。