今期も『ストロベリーナイトサーガ』や『特捜9 season2』など、刑事ドラマが豊作です。こうした刑事ドラマでよく耳にする「デカ」という言葉。多くの方がご存じのように、「刑事」を表す俗語ですよね。
多くの人が「デカ」=「刑事」と知っている
特に40代以上なら知らない人のいない『あぶない刑事』のほか、同作で柴田恭兵さんと共演した舘ひろしさんが一時期主役を務めた『刑事貴族』、その続編で『相棒』の水谷豊さんが主演の『刑事貴族2』、多部未華子さんが大倉忠義さんとコンビを組んだ『ドS刑事』など、刑事と書いて「デカ」と読むドラマや小説も数多くあります。
これらの人気作品の影響もあり、「デカ」と言われれば、われわれの多くも、特に違和感なく「刑事」のことだとわかります。
では、そもそもなぜ刑事はデカと呼ばれるようになったのか、みなさんはその由来をご存じでしょうか?
「デカ」の語源は?
デカの語源は明治時代に遡ります。そのころの犯罪者や街のゴロツキたちが、仲間同士で使っていた隠語がもとになったといいます。
当時の刑事巡査は、「犯人に警察関係者だとバレにくい」など職務上の必要から、制服ではなく私服を着ている場合がありました。時代的には私服といっても洋装ではなく、和服でしたが、その上には和服用のコート(外套:がいとう)を着用していました。このコートは袖が四角かったことから「角袖(かくそで)外套」と言われ、それを着ていた巡査のことは「角袖巡査」や「角袖」と呼ばれていました。
この「角袖(カクソデ)」の文字を並び替えた「クソデカ(糞デカ)」というのが、一部のゴロツキたちの間では、刑事を軽蔑したりバカにしたりしていう呼び方、いわゆる蔑称(べっしょう)として使われていました。その「クソ」を取ってより短い言葉で定着したのが「デカ」というわけです(もとは刑事だけでなく警察官を指した蔑称だったという説もあります)。
「カクソデ」→「クソデカ」→「デカ」
と変遷してきたわけですね。
デカが行う「ガサ入れ」の語源は?
このように、犯罪者仲間の間で使われていた「デカ」が一般的に広まったのは、先ほども述べた通り、刑事ドラマや映画の影響が大きいでしょう。もとは蔑称だったのが、いまではニュートラルな呼び方として定着しているのも面白いところです。
ちなみに、同じく刑事ドラマでよく耳にする「ガサ入れ」。刑事事件が起きた際に、建物や敷地内に立ち入って証拠品を捜すことを指します。いわゆる「家宅捜索」のことですね。ガサ入れの「ガサ」とは、「さがす(捜す)」の「さが」を逆さにしたもので、この「ガサ」を入れるということで「ガサ入れ」となったという説が有力です。
なお、ガサ入れは、裁判所の令状(捜索差押許可状)を取った上で行うもので、警察の独断では行えません。容疑者に「おいおい、おまえら令状はあんのかよ? あぁ?」と挑発的に言われて悔しい思いをしないためにも、事前に令状を取っておく必要があるわけです。ただ、令状を取った上での捜査は、任意ではなく強制処分のため、容疑者が拒否することはできません。
いずれにしても、デカにガサ入れされない平穏な生活を送りたいものですね。
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