2026年1月27日に公示、2月8日に投開票が予定されている衆議院選挙において、最大の争点の一つとなっているのが「税と社会保障」のあり方です。物価高が家計を直撃する中、主要各党は負担軽減や手取り増を掲げた公約を打ち出しています。

税と社会保障に関する各党の公約1/5

税と社会保障に関する各党の公約

出所:各党の公約をもとにLIMO編集部作成

各党とも、消費税や社会保険料の見直しなど掲げています。私たちの生活に直結するものだからこそ、投票を前に、現在の消費税がどのような仕組みで、何に使われているのかを正しく理解しておく必要があります。

1. 消費税「税収は約24兆9000億円」消費税の使い道は?

2025年度の予算ベースで、消費税の税収は約24兆9000億円に達する見込みです。私たちが毎日支払っているこの税金は、国が自由に使途を決められるわけではなく、法律によって使い道が明確に定められています。

消費税の使途(2025年度予算)2/5

消費税の使途(2025年度予算)

出所:財務省「消費税について教えてください。」

1.1 消費税の使い道→「社会保障」

消費税の税収は、2014年度以降、法律により次の「社会保障4経費」に充てることが定められています。

  • 年金
  • 医療
  • 介護
  • 子ども・子育て支援

つまり、消費税は国のさまざまな支出に自由に使われているわけではなく、実質的に使い道が「社会保障」の財源として限定されていることがわかります。

1.2 それでも財源は不足している

「消費税だけで社会保障を賄えている」と思われがちですが、現実は異なります。2025年度当初予算において、社会保障4経費の総額は約34兆円。対して、消費税(国税分)の収入は約24.9兆円にとどまります。

  • 社会保障4経費の支出:約34兆円
  • 消費税収(国税分):約24.9兆円

この約10兆円の差額は、他の税金や国債(国の借金)で穴埋めされています。それでも消費税が重視されるのは、現役世代だけでなく高齢者も含めて広く負担するため、景気変動に左右されにくく、安定した財源となるからです。少子高齢化が進む日本において、社会保障の土台を支える役割を担っています。

2. 消費税「店内10%・持ち帰り8%」複雑な軽減税率の仕組み

消費税は、商品やサービスを購入する際にかかる税金で、現在は原則10%(一部は軽減税率8%)が適用されています。年齢や収入、働いているかどうかにかかわらず、多くの人が日常的に負担している税金です。そのため、国にとっては景気の影響を受けにくい、安定した収入源となっています。

軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡の範囲(イメージ)3/5

軽減税率の対象となる飲食料品の譲渡の範囲(イメージ)

出所:国税庁「消費税のしくみ」

軽減税率(8%)の対象となるのは、主に「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読の新聞」です。

2.1 「本みりん」は消費税10%で「みりん風調味料」は8%!

税率が8%になるか10%になるかは、提供方法や契約形態によって細かく分かれます。

「新聞・食料・飲料」の税率8%・10%判定リスト4/5

「新聞・食料・飲料」の税率8%・10%判定リスト

出所:国税庁「消費税のしくみ」

  • 新聞:「紙」の新聞を「定期購読」している場合のみ8%。駅の売店で購入する場合や、電子版は10%となります。
  • 食料品:ポイントは「食事をする設備があるか」。店内で飲食すれば「外食」として10%、持ち帰り(テイクアウト)なら8%です。
  • 飲料:アルコール度数が基準です。酒類や本みりんは10%ですが、ノンアルコールビールや水、お茶などは8%が適用されます。
    ※ノンアルコールビールは「酒類」ではないが、製品によっては「外食」か「持ち帰り」かで変わります。スーパー等で買う場合は8%、飲食店で頼めば10%です。

3. 消費税「国の収入の約3割」、最大の税収源

私たちが日々の買い物で支払っている消費税は、国全体で見るとどのくらいの規模になるのでしょうか。国が公表している令和7年度(2025年度)一般会計歳入の当初予算をもとに見てみましょう。

国の収入(2025年度の一般会計歳入・当初予算)5/5

国の収入(2025年度の一般会計歳入・当初予算)

出所:国税庁「国税庁レポート2025」

一般会計歳入とは、社会保障、教育、防衛など、国の基本的な政策に使われるお金の収入部分を指します。

2025年度の一般会計歳入(約115.2兆円)のうち、税収全体は約77.8兆円です。この内訳を見ると、消費税の存在感が際立ちます。

  • 消費税:約24.9兆円(約32%)
  • 法人税:約19.2兆円
  • 所得税:約18.2兆円

現在は消費税が税収全体の約3割を占め、最大の柱となっています。景気が悪くなっても大幅に減ることがないため、国の財政運営にとって極めて重要な収入源となっているのが現状です。

4. 消費税「集めた税収以上にかかる社会保障費」約10兆円の不足分

今回は、衆院選の大きな争点である消費税と社会保障の関係について解説しました。「消費税を払っているのに生活が楽にならない」と感じることもありますが、データを見ると、集めた税収以上に社会保障費がかかっている現実が見えてきます。

約10兆円もの不足分をどう埋めるのか、あるいは給付をどう見直すのか。これは国の家計簿だけの話ではなく、私たちの将来の安心に直結する問題です。各党の公約を見比べる際は、「減税」という言葉の裏にある「財源の確保」や「社会保障の維持」にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美